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部屋の中には、エアコンの小さな音だけが響いていた。
たっつんの肩に寄りかかったまま、あなたはだんだん瞼が重くなっていく。
頭を撫でる手が一定のリズムで、安心しきった身体から力が抜けていた。
「……眠い?」
たっつんが小さく聞く。
「ん……ちょっと」
「ちょっとちゃうやろ。もう半分寝とる」
くすっと笑う声が近い。
その優しい空気に、あなたはぼんやりしたまま呟いた。
「……今日、たっつん来てくれてよかった」
撫でる手がぴたりと止まる。
「……」
「一人だったら、多分もっとしんどかった」
素直に言うと、たっつんは少しだけ困ったように笑った。
「……そういうこと寝る前に言うなや」
「なんで?」
「照れるから」
「え、たっつんでも照れるの?」
「そら照れるわ」
そう言いながらも、また頭を撫で始める。
むしろ前より優しい。
あなたは安心して目を閉じかける。
すると。
「……なぁ」
「んー……?」
「もう、“自分なんか”って思うなよ」
眠気の中で、たっつんの低い声が静かに響く。
「アンチが何言おうが、俺はお前のことちゃんと見とる」
「……」
「頑張りすぎるとこも、無理して笑うとこも、全部」
あなたはゆっくり目を開ける。
たっつんは真っ直ぐこっちを見ていた。
「だから、勝手に一人で消えそうな顔すんな」
胸がぎゅっと熱くなる。
昼間、ほんの少しだけ頭をよぎった言葉を見透かされたみたいで、あなたは小さく唇を噛んだ。
するとたっつんは、そっとあなたの頬を包む。
「……怖かった」
珍しく弱い声だった。
「お前が泣いとる顔見て、“間に合わんかったらどうしよ”って思った」
「たっつん……」
「だから頼れ」
額がこつん、と触れる。
近い。
でもその近さが、今は何より安心する。
「俺、お前にはちゃんと笑っとってほしい」
その言葉に、涙がまた滲みそうになる。
するとたっつんは「あーもう」と苦笑して、親指で目元を拭った。
「今日何回泣くねん」
「……たっつんが優しいから」
「それ言われると弱い」
たっつんは耳まで赤くしながら、視線を逸らす。
でも次の瞬間には、あなたをぎゅっと抱き寄せた。
「……もう大丈夫」
胸元から聞こえる声は、眠くなるくらい優しかった。
「今日は俺がおるから、安心して寝ろ」
そのまま背中をぽんぽんされているうちに、あなたの意識はゆっくり沈んでいく。
眠りに落ちる直前。
「……好きやで」
たっつんの小さな声だけが、最後にはっきり耳に残った。
コメント
1件
うわあ……めちゃくちゃ良かったです……。たっつんの「もう“自分なんか”って思うなよ」の台詞、グッときましたね。昼間のSNSの一件をまるごと受け止めてくれてる感じがして。それに「愛してる」じゃなく「好きやで」なのが彼らしくて、方言の温かさも相まって胸に沁みました。二人の距離感がこの短い間でぐっと縮まったのが分かる、丁寧な情感描写だと思います。続きがすごく気になります!