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ユナ @お嬢様化
44
るーぱ
249
まーや
354
「痛つ……!」
割れた天井の破片と共に、高級料亭の畳の上に転がり出た朝野太陽。すぐさま体勢を立て直したが、眼前に立つ和装の男から放たれる凄まじい殺気に、全身の肌が粟立った。
男の持つ日本刀の刀身には、不気味な緑色の血管のような模様が脈打っている。タンポポの技術で強化された「植物の刃」だ。
「鷹野先生、ここは危険です。お下がりを」
男が静かに告げると、慌てふためいた鷹野副総理とガスマスクの幹部は、数人の護衛に守られながら部屋の奥へと消えていった。
「待て……っ!」
太陽が追おうとした瞬間、和装の男の姿が掻き消えた。
(速い――!)
キィィィン!!
太陽は咄嗟に腕を硬化させて刃を受け止めたが、凄まじい重圧に足元の畳が弾け飛ぶ。男の目は、ソメイニンに侵された禍々しい緑色に染まっていた。
「私の間合いに入って、生きて出た者はいない」
容赦ない居合いの連撃が太陽を襲う。夜桜の体術をもってしても、防戦一方に追い込まれるほどの達人だった。さらに、騒ぎを聞きつけた十数人の植物兵たちが部屋を包囲し、一斉に銃口を太陽に向けた。
「そこまでのようだな、お前たち」
突如、座敷の障子壁が爆発的な勢いで突き破られた。
飛び込んできたのは、長いトレンチコートを翻した公安の野崎守。その手には、大型の散弾銃(ショットガン)が握られていた。
ズドォォォン!!
強烈な一撃が、太陽を狙っていた植物兵たちを吹き飛ばす。
「野崎さん!」
「待たせたな、太陽! 派手にやってるじゃねえか!」
野崎が不敵に笑うと同時に、もう一つの影が天井の梁から音もなく舞い降りた。
眼鏡を外し、冷酷な獣の目をギラつかせる男――『F』だ。
Fは着地と同時に、両手の拳銃を正確無比にコントロールし、周囲の植物兵の頭部(核)を容赦なく撃ち抜いていく。
「おい、その着物野郎は俺の獲物だ。太陽、お前は公安のキツネと一緒にトカゲの尻尾を追え!」
Fが引き金を弾きながら、和装の暗殺者へと突っ込んでいく。
「ハッ、別班か。面白い、斬り刻んでくれる!」
和装の男が刀を構え、Fの放つ銃弾を刀身で弾き落としながら肉薄する。人間の限界を超えたスパイと、植物化された暗殺者の、息詰まる超高速の近接戦闘が始まった。
「行くぞ、太陽! 鷹野を逃すな!」
「はい!」
野崎の誘導のもと、太陽は料亭の長い廊下を爆走した。
裏口の門へと続く庭園に出たところで、高級黒塗りセダンに乗り込もうとする鷹野副総理の姿を捉える。
「鷹野副総理! あなたがやろうとしていることは、この国を滅ぼすことだ!」
太陽が叫ぶ。
鷹野は車内から、冷酷な目を太陽に向けた。
「若造が、大局のわからんことを言うな。我が国が生き残るには、タンポポの力が必要なのだ。……お前たちの身元はすでに割れている。明日からお前たちは、この国の『全警察・全軍』から追われる身となるぞ」
車が急発進し、夜の赤坂の街へと消えていった。
追いついた野崎が、忌々しそうに地面を蹴る。
「チッ……逃げられたか。だが太陽、データは無事なんだろうな?」
「はい、カメラに全部収まってます。奴らの計画も、鷹野の顔もバッチリです」
太陽は胸ポケットの超小型カメラを握りしめた。
そこへ、和装の暗殺者を退けたFが、肩から血を流しながらも、満足そうな笑みを浮かべて戻ってきた。
「着物野郎の首は置いてきた。これで奴らも、少しは俺たちを恐れるだろうよ」
敵の本拠地、そして日本政府そのものが敵となる、かつてない孤独な戦争。
しかし、3人の目には一点の曇りもなかった。国家の全てを敵に回してでも、この「緑の災厄」を根絶やしにする。雨の中、赤坂の料亭を後にする彼らの背中には、確固たる決意が宿っていた。
コメント
1件
うわ、第7話、めっちゃ熱かったですね!赤坂の料亭でのバトルシーン、もう映像が目に浮かぶような迫力でした。特に和装の暗殺者の「間合いに入って生きて出た者はいない」って台詞、かっこよすぎます。でもそこにFが割り込んで銃撃戦になる展開がたまらなかった。野崎さんの乱入もタイミング完璧で「待たせたな!」の一声でテンション上がりました。ラストの「国家の全てを敵に回しても」っていう決意、めちゃくちゃ胸に来ましたね。敵の正体もだんだん見えてきて、設定の緻密さに引き込まれてます。次回が待ち遠しいです!