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ユナ @お嬢様化
44
るーぱ
249
まーや
354
へ
「――現時刻を以て、全警察・機動隊は、指定テロリスト3名の捜索を最優先とせよ」
深夜のパトカーから流れる無線。
東京の街頭の大型ビジョンには、乃木憂助、野崎守、そして朝野太陽の顔写真が映し出されていた。鷹野副総理がメディアと警察権力を完全に掌握し、3人を凶悪なテロリストに仕立て上げたのだ。
「まいったな……。まさか自分が指名手配される側になるとはね」
野崎は、追跡を逃れるためにナンバーを偽装した軽トラックのハンドルを握り、苦笑いした。助手席には乃木、荷台のシートの隙間には太陽が潜んでいる。
東京から高速道路を避け、下道を走り続けること十数時間。
辿り着いたのは、深い霧に包まれた島根の山奥――乃木家の家系が代々守ってきた神社だった。
「ここは……」
トラックから降りた太陽は、厳かな空気に思わず息を呑んだ。都会の空気とは全く違う、どこか神秘的な力が満ちている。
「僕の実家です。ここなら、政府の監視カメラも届かない。公安の追跡班でも、この山の複雑な地形は突破できませんよ、野崎さん」
乃木はいつもの穏やかな笑顔を見せた。実家に戻ったことで、少しだけ張り詰めた糸が緩んだようだ。
その夜。
神社の社務所で、3人はドラムが秘密裏に届けてくれた保存食のレトルトカレーを囲んでいた。
「美味しい……。乃木さん、この世界のご飯、本当にレベル高いです」
太陽はスプーンを動かしながら、無邪気に笑った。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。バルカの砂漠の赤飯も美味しかったけれど、やっぱり日本のお米が一番だね」
野崎はカレーを食べ終え、煙草に火をつけながら、じっと太陽を見つめた。
「太陽。お前、本当ならこんな泥仕合に巻き込まれる筋合いはねえはずだ。元の世界に帰る方法だって、まだ見つかってねえのに」
太陽はスプーンを止め、薬指の結婚指輪を見つめた。
「……俺、元の世界に大切な妻がいるんです。何が何でも生きて帰らなきゃいけない。でもね、野崎さん。この世界の人たちがタンポポの毒水で全員兵器にされるのを知っていて、自分だけ逃げるなんて、夜桜のスパイとしては失格です」
太陽の目に、真っ直ぐな強い光が宿る。
「この世界を救って、タンポポを全員ぶっ潰す。それが、俺が元の世界に胸を張って帰るための絶対の条件です」
乃木はその言葉に深く頷いた。
「素晴らしい覚悟だ、太陽くん。君を必ず、元の世界へ帰してみせる。……そのために、この国を裏から貪る根を、僕たちの手で断ち切りましょう」
乃木は部屋の畳の上に、手書きの日本地図を広げた。
「鷹野が言っていた『水道水へのソメイニン混入計画』。日本中の全人口を一瞬で汚染するには、大元の供給源を押さえる必要があります」
乃木の指先が、地図上の一点を指した。
「利根川水系の上流にある、日本最大級の極秘貯水管理センター。……ここが、タンポポの最終目的地の核心です。鷹野が手配したタンポポの主力部隊が、すでにここを占拠し、薬剤の投入準備を進めているはずです」
「ここを叩けば、全ての計画が瓦解するってわけか」
野崎の目がギラリと光る。
「ああ。だが、敵の防衛線は今までの比ではない。まさに総力戦になる」
その時、乃木の脳内で『F』が狂おしく吠えた。
(おい憂助! 面白くなってきたじゃねえか。国家を敵に回して、巨大な貯水池を分捕る大博打だ。太陽のガキの『開花』ってやつと、俺の銃、どっちが余計に敵をブチ殺せるか勝負だな!)
神々の住まう島根の地で、3人は静かに武器を磨き、次なる最終作戦への準備を完了した。
日本の命運、そして太陽が元の世界へ帰るための、文字通りの命がけの決戦が目前に迫っていた。
コメント
1件
第8話、すごく重くて大事な回だったね…🥀 島根の山奥、乃木さんの実家の神社っていうロケーションがもう、静かで深い霧に包まれてて、一瞬だけ時間が止まったみたいな安心と緊張が両方あったよ。 太陽くんが「この世界を救って、タンポポを全部ぶっ潰す」って言ったところ、すごく心に響いた…!元の世界に帰るための条件って言い切る覚悟、かっこよすぎてちょっと泣きそうになった。 そしてついに最終作戦の核心が見えたね…。静かに武器を磨く3人、本当に楽しみで怖いです。次話もちゃんと読みます🌙