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奏(そう)ちゃんの初恋は男の人。
奏ちゃんは話を続ける。
「小5くらいだったかな。周りがクラスの女の子可愛い、とか保健体育の話で盛り上がってるのについていけなくて」
「うん」
「クラスのリーダーみたいな男の子がいて、その子と仲良かったんだけど」
「やっぱり奏ちゃん、一軍じゃん」
「そうゆう話じゃないけど…」
「ごめん、話の腰折った。続けて」
「てゆうか響、嫌じゃないの?ここまで聞いて」
「奏ちゃんの大切な話なら聞きたいよ。まあ…俺がしつこく聞き出したようなもんだし」
奏ちゃんがふっと笑った気がした。
「その一軍リーダーがどうしたの?」
「すっごく女子にモテてて。周りの女の子がカッコいいとか話すの聞いてて、あ、俺の心情はそっち側だと思ったの」
「そっち側?」
「男子達が誰々が可愛いとか話すのは全然共感できなかったんだけど、男友達がカッコいいのは共感できた」
奏ちゃんにカッコいいと思われるなんて羨ましい奴だな、クソ。
「男友達ってさ、距離近いじゃん。肩組んだり、プロレスごっこみたいな…遊びの時とか。俺はそうゆう時に、その子に触れられる度にドキッとしたり。もっと触りたい、手を握りたいとか思ったり。ただの男友達ならこんな感情抱かないよな。おかしいなって」
そいつ、一生分の運使い果たしたな。
「だから、これが人を好きになることなのかなって思った」
「うん…恋だね。」
俺は認めたくなかったけど。
「逆にさ、俺に告白してくれる女の子もいて。それが全然受け入れられなかった」
「その男友達が好きだったから?」
「それもあるけど。俺が男友達に抱いてる感情と同じものをこの女の子は俺に持ってるのかな?と思うと怖かった」
「怖い?」
「その女の子がさ。俺にベタベタしてきたり、顔を真っ赤にしているのを見たら…俺が男友達にしていることも同じじゃん。不快なことなのかって…」
ああ。いろいろわかってきた。
奏ちゃんの知らない一面が。
「奏ちゃん、言いにくそうにしてるから憶測だけど俺が喋ってもいい?」
「うん…」
「要するに性的な?感情を、奏ちゃんはその一軍リーダーに持っていて」
「ダイレクトに言うなぁ、響」
「あっ、ちょっと黙って!だけど、奏ちゃんはその女子から性的な感情を向けられるのは不快だった、と?」
「うん、すごい響。申し訳ないけどそう思ってしまった」
「そして、その不快な感情を一軍リーダーに味あわせているかも知れない、と思って奏ちゃんはその男友達から離れていきました」
奏ちゃんが笑う。
「なに響、小学校一緒だったっけ?」
笑ってくれて良かった。
奏ちゃん、どんな暗い思い出も明るく変えることぐらいなら今の俺ならしてあげられるよ。
「ああ、俺も不快だわ…」
両手で顔を押さえて俺は言う。
「ごめん、響。変な話して。引くよね」
「違う違う。別に奏ちゃんは変じゃないよ。奏ちゃんが男が好きでも女が好きでも俺はどうでも良いの」
「優しいなぁ、響は…」
違う、優しいんじゃない。
奏ちゃんに特定の好きな誰かがいた、という事実に打ちのめされただけ。
一軍野郎め。
あれ?そういえば奏ちゃん、中学が男子校って言ってたよな。
じゃあ地元の公立に行ってないんだ。
「奏ちゃん、中学受験したの?」
「うん、察しの良い響なら分かったかもしれないけど、その男友達とは一緒にいちゃいけないと思った。離れたかった」
「ああ…」
「女子も苦手だったしね。中高一貫の男子校を選んだ」
それなら奏ちゃん、中高一貫に進んだのに高校から何でうちの都立高校に転入してきたんだ?
「まぁ、でも男子校も選択間違えたんだよね」
「何かあったの?」
「男子校ってさ、特殊なの。男子しかいない空間。それでもって、思春期でしょ。どうしても性に対して敏感になる」
「うん」
「やっぱりね、女子がいないぶん男子同士で好きみたいな感情とか生まれやすいんだと思う。実際付き合ってる人達もいたしね」
「奏ちゃんは、好きな人いたの?」
#syp受け
れの
27,669
万業破印
859
ちぃ
奏ちゃんが、一呼吸おく。
「いや、出来なかった。けど…俺ほら女っぽい顔してるから」
「奏ちゃん、可愛いからね」
ここまで自分で言って、嫌な予感がした。
ここから先は本当に聞いていい話なのか?
「そうゆう…性のはけ口になりやすかったんだろうね」
俺はなんてお気楽な生き方してきたんだ。
奏ちゃんの何を見てたんだ。
いくら仲の良い人間でも触れちゃいけないところがあるんだよ、当たり前なんだよ。
なんて愚か。
「無理やりキスされたりとか…」
「ごめん、奏ちゃん。もうやめよ…」
俺の目に少し涙が浮かんだ。
奏ちゃんの気持ちを考えたら、胸の奥が苦しくてどうしようもなかった。
「ごめんね、響。嫌な話聞かせちゃったね…」
「嫌とかじゃない…無理やり話聞いた俺がデリカシーなかった。」
「なんで泣くんだよー、響!」
気付くと涙が溢れかえっていた。
クッソ恥ずい。。
「ごめんね…」
奏ちゃん、謝らないで。
そして俺も気付いてしまったんだ。
奏ちゃんが抱く不快な感情…
たぶん俺が奏ちゃんに抱いている感情。
きっと同じなのだと。
奏ちゃんを傷付けるかも知れないこの感情に、名前をつけてはいけないのだと。
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