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本気にさせたい恋

90 - 第90話  確かめ合う想い①

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2024年09月22日

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オレは神崎さんにそう宣言した通り、予定してた時間で今日のノルマの仕事を仕上げ、急いで家へと戻る。

そして自分の家の前へと着いたと同時に、隣の透子の部屋のチャイムを鳴らす。

だけど何回か鳴らしても何の反応もなくて。


もうあれから2時間以上経ってるよな?

え・・まだ透子あの男と一緒にいるってこと?

長くないか・・?

いつまで一緒にいる気?


オレは不安になりながら一旦自分の部屋へと戻る。

足取りが重く、ソファーへと腰を下ろしても落ち着かなくて、脳裏には想像したくないことばかりが思い浮かぶ。


どうする? このまま帰って来なかったら?

やっぱりあの時引き止めておけばよかった・・・。

もう透子が誰か他の男の元へと行くとか考えたくない。

自分達の意志で仕方なく離れてしまうのは耐えられるけど、透子の気持ちが誰か別の男へと向かって、誰かのモノになることは絶対耐えられない。

こういう風にならないように、今まで仕事でも頑張って自信つけてきたつもりだったのに。


その時、ドアの向こうの廊下で足音が聞こえる。

透子が返って来たのかと思って、急いで玄関へ向かいドアを開けて確認すると、部屋の前を別の女性が通り過ぎた後だった。


はは・・なんだよ、オレ、余裕ねーな・・・。


オレはそのまま落ち着かなくて、そのままドアの外に出て透子が戻って来るのを待つ。


透子いつ帰ってくんだよ・・・。

ホントにこのまま帰って来ない気・・・?

いつまで経っても帰って来ないことで不安がどんどん大きくなり始めたその時。


透子・・・!


ようやく帰って来た透子を確認する。


オレは一気に安心して、笑顔で声をかけようかと思ったら・・・。


何かを考えながらゆっくり歩いてる透子。

そして、ようやく顔を上げて、一瞬こっちを見た、と思ったら。


・・・は??


今オレがいること気付いたはずなのに、なぜかそのまま無反応なまま。

それどころか何かやっぱり考えてる感じで、オレのことなんて気にもしてない様子。


いや・・今絶対オレ気付いたよな・・?

一瞬絶対目合ったって。

なのに、なんで無視?

え・・もしかして・・やっぱりもうあの男のこと・・・。


一安心したかと思ったら、今度はまた別の不安が襲って来る。

そして透子はすぐ近くにいるオレをやっぱりスルーしたまま、そのまま自分の部屋に入ろうと鍵を開け始める。


「オイ。なんで無視すんの?」


オレはさすがにもう耐えられなくなって、その透子の腕を掴み声をかける。

するとようやく透子がこっちに顔を向ける。


「え・・・本物・・?」


そして透子は予想もしなかった反応と言葉を口にする。


何その顔。

目合ったのに、なんでそんな驚いた顔してんの?


「は? 何意味わかんないこと言ってんの? 当たり前じゃん」

「ホントに・・樹・・なんだ」


どんな反応だよ。

でも、オレだと認識してからの透子は、明らかにさっきと違う表情で。

オレを見つめながら、なぜか泣きそうに、だけど嬉しそうに呟く。


「だから、そう言ってんじゃん」

「だって・・あまりにも樹のこと考えすぎてたから幻覚見たのかと・・」


すると、透子からまさかの言葉。


「えっ? マジで言ってんの? だからオレ無視したの?」


だから、オレ見てもあんな反応だったってこと?


「無視というか、そこにいると思わなかったから、幻覚だと思って」

「ははっ。何それ!」


だけど、そう語る透子は、冗談のような言葉を言いながら、至って真剣な表情で。

ホントにそう感じていたのだとわかって、思わず笑ってしまう。


なんだよその可愛い理由。

てか、ちょっと待って。

いつもと違う透子に気を取られて、思わず今一瞬聞き逃しそうになったけど。

オレのこと考えすぎて・・って、幻覚だと思うほどオレのこと想ってくれてたってこと?


「そんなにオレのこと考えて恋しくなってたんだ」


オレは嬉しくてニヤけそうになるのをこらえながら、透子にストレートな言葉を伝える。


「・・・うん」


へ!?

いやいや、いつもの透子ならこういう時は素直に認めず照れて誤魔化したりすんじゃん。

なのに、なんでそんな今日はしおらしく素直に言ってくれちゃうわけ?

しかも、たったそう一言頷いただけなのに。

そう呟いて、オレを見つめる透子が。

また今まで見たことないような顔で。

オレのことが恋しかったと、その視線で表情で、その切なさを伝えて来る。

そんな透子があまりにも美しくて、纏う雰囲気に表情に、オレの胸は一気に高まる。


「ちょ・・何。随分素直でビビるんだけど」


だから今は逆に透子があまりにも素直すぎて、どうしていいかわからなくて、オレの方が恥ずかしくなって、そんな言葉で誤魔化す。


「だってずっと会えなかったから恋しかったんだもん」


すると、今度はもっと強気に攻めてくる透子。


え? 透子ってそんなこと言う人だったっけ?


「やばっ。透子からそんな素直に言われたの初めてかも」


こんな透子やばいって。

身が持たないから、こんなの。


「・・初めて言ったもん」


何、その素直な可愛い言い方・・・。


「いや、調子狂う・・」


今までならオレが強気に気持ち伝えることがほとんどで、ある意味照れて戸惑うそんな透子を見てるのが可愛くて。

実際それで満足で嬉しかったのに。

まさかこんな言葉を透子から聞けるなんて思ってなくて、戸惑いと嬉しさが一気に溢れて来る。


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