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「おいおい、聞いたか?“森の吸血鬼”の話!」
「ああ、聞いた聞いた。なんでも“対吸血鬼討伐部隊”にやられたんだってな」
「これで俺らも安心して生活出来るってもんだ。ざまあねえな!」
…こんな噂が流れたのも、もう5年も前
の話。
街はすっかり平和ボケして、かつてこの地を脅かしていた吸血鬼の噂など、殆どの住民が忘れ去ってしまっているだろう。
「…ふん、嫌な空気ですね…」
皺ひとつない燕尾服を身にまとった青年が、顔を顰めながらそう言い捨てる。
どうやら買い出しの途中だったようで、彼の手には大きな紙袋が抱えられている。奇抜な桃色の髪を揺らし、金色に輝く瞳を伏せ、彼は踵を返す。
「…主様は、死んでなどいない…」
コツコツと革靴を鳴らし、青年は森の中へと入っていく。
今から数百年前。この地にはある御伽噺があった。「この街にある森、その奥深くには強大な吸血鬼が住まう城がある」と。
初めはただの御伽噺として聞き流されていたが、大昔からこの地は体の水分を全て抜かれたような変死体が絶えず発見されていたため、徐々に住民はその吸血鬼を恐れるようになった。
果てには“対吸血鬼討伐部隊”などという人間による組織まででき、彼らは吸血鬼を恐るべき化け物として迫害した。_罪なき吸血鬼さえも。
そして5年前、ある寒い冬の日。対吸血鬼討伐部隊が大々的にこう公表した。「森の吸血鬼を討伐した」と。証拠となる物は何も無かったが、吸血鬼に怯えて暮らしていた人々はその希望に縋るように大層喜んだという。
_そして時は戻り現在。燕尾服を纏った青年は森に入り、迷うことなく突き進む。真昼間だと言うのに薄暗く、鬱蒼としている森はとても不気味だ。そうして暫く歩いていると、ある場所から急に草木が枯れ、力無く項垂れていた。色を失った森から少し進んだ所を見てみると、周囲が崖で覆われた、森と同じく彩度のない荘厳な城が立っていた。
強固な塀に覆われ、城への出入口は正面の門のみ。その門へ続く道も1本だけ。幅は馬車3個分と言ったところだろう。
そんな道を歩き、門に辿りついた青年は、城に向かい大きな声でこう言った。
「“使用人統括”ネフェルシュタイン・クロウ。只今戻りました。」
そう彼…もといネフェルが言うと、ぎぎぎ、と重厚な音を立て門が開く。
門が開いたその先に、2つの影があった。
そう、影。何か物がある訳でもない。比喩でもない。ただそこに影があるだけだ。
その内のひとつからヒョコっと顔を出したのは、愛らしい姿をした少年。
真っ黒な軍服を身に纏い、右肩から垂れるマントは銀の刺繍で飾られていた。右分けのモノクロツートンカラーの髪に、彼の髪質とは明らかに違うタッセルピアスを右耳に付けている。
手首や内腿にいくつかの異様な傷跡を持った少年は、ややぎこちなくだが無邪気に笑いかける。
「おかえり!ネフェルくん!」
少年がそう言った後、もう一方の影から今度は青年が出てくる。少年とは対称的な容姿だ。黒の軍服は同じだが、そのマントは左肩から垂れており、少年のマントのもう片方を補うように銀の刺繍がなされていた。左分けの髪に、これまた彼の髪質とは違うタッセルピアスを付けている。身長は180程度。衣服で包まれているにも関わらず、その鍛え上げられた肉体は目に見えて明らかである。青年は表情が変わらず、感情を読み解くのが難しいと感じるだろう。
そんな2人にネフェルはぺこ、と軽く一礼し、
「只今戻りました。アル、ルル。私の留守中何もありませんでしたか?」
アルとルル。青年と少年はそう呼ばれている。
青年の名前はアルカメイド・ロルドウ。そして少年の名前はルルカメイド・ロルドウ。彼らは兄弟である。それも“双子”の。
あまりに違う見た目と体格差であるが、これには事情があるのだ。
それは、ルルの“偏食”によるものだ。通常であればルルもアルと同じくらいには成長できて居たはずだが、ルルは他人の血肉を嫌い、アルの血しか摂取しなかったがため、栄養が足りず成長出来なかったのだ。
「だーいじょうぶ!ネフェルくんがいない間はボクたちがちゃーんと守ってたからね!」
ルルは自信ありげに小さな胸を張り、ふふんと威張り散らしている。そんなルルを微笑ましく思い、ネフェルはルルの頭をぽんぽんと撫でてやる。
「あー!今ボクの事子供扱いしたでしょ!!これでもボクはれっきとした“オトナ”なんだからね!」
プリプリと愛らしく怒るルルを見て、アルはそれを宥めるようにルルを抱き上げ、まるで赤ん坊をあやす様な優しい声で
「…大丈夫だ。…ルルが大人だって事は、ネフェルもわかっているさ。…だが、さっきのはあまりに…ルルが愛らしかったからつい、ネフェルも子供扱いしてしまったんだろう。許してやれ。」
アルからそう話をされたルルは少々照れくさそうにしながら
「そ、そう!?ま、まーボクってば可愛いもんね!知ってるー!」
恥ずかしさを必死で隠すように虚勢を張るルルを見て、またアルとネフェルは微笑ましい気持ちになった。
それから3人は城の中へと帰って行った。
_𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭…?
如何でしたか?当方は小説初心者であるため、理解しづらかったり、読みにくかったりする場合があると思います。そのため、疑問に思ったことはどんどんご質問して頂けると嬉しいです!
これからもこの物語の行く末を是非見守って下さると幸いです✨
ℂ𝕙𝕒𝕣𝕒𝕔𝕥𝕖𝕣 𝕚𝕟𝕥𝕣𝕠𝕕𝕦𝕔𝕥𝕚𝕠𝕟
ネフェルシュタイン・クロウ
性別:男
種族:ワーキャット
地位:使用人統括
桃色の髪と金色の瞳を持つ青年。顔はやや童顔。身長は170前半程。猫の姿と人間の姿を使い分けることができる(中間の獣人のような姿にもなれる)。一見完璧な執事に見えるが、少々欠点アリ。
アルカメイド・ロルドウ
性別:男
種族:ヴァンパイア
地位:双剣
左分けのモノクロツートンカラーの髪、普段は真っ黒な瞳だが、ヴァンパイアとしての力を使用すると赤く光る。身長は180程度。双剣とは呼ばれているが、彼は鎌の方が扱い易いという。首元にいくつもの噛み跡があり、衣服とチョーカーで隠している。
ルルカメイド・ロルドウ
性別:男
種族:ヴァンパイア
地位:双剣
右分けのモノクロツートンカラーの髪、普段は真っ黒な瞳だが、ヴァンパイアとしての力を使用すると赤く光る。身長は160程度。彼は小柄であるため、身軽に動けるよう短刀を装備している。手首と内腿にいくつもの傷跡がある。
〜双剣〜
双剣とは、城を守る門番であり、主の矛であり、盾である存在。彼等によってこの城は防衛されているのだ。
コメント
3件
うわわわわっ!面白そうなお話ですね、、、!! それはそうと、草様、、! いつもYouTube見させていただいております! 草様のおかげでカンヒュの絵を描こうと言う気持ちになり、現在も描き続けています! 部活が忙しくて凹んでいた時に草様の絵や動画を見ると元気が出て助かっていました!!草様のおかげで今の私がいます!本当にありがとうございます😭💕 YouTubeはやりたいのですが許可が出ず、、、
はつこめ失礼します! 素敵な作品ですね!続きが楽しみです!