テラーノベル
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現在、商店街通りから外れた人通りが比較的少ない時計台の下に突っ立ってるとこだ。
ダチとの待ち合わせ時刻から少なくとも20分は経ってると思うんだが一向に来ない。
そんな俺が長時間待っていても退屈していない理由は、隣の奴にある。
まず、髪が派手なんだ。髪飾りとかヘアアレンジとか、そういう派手じゃない。
どういう原理なのかは知らんが、左右で色が紺と青に別れてるんだ。多分地毛。
そして、なんと言ってもその顔の良さが印象深いと思う。
鼻筋はくっきりと通ってるし、薄く透き通っている唇に目元のホクロが色っぽい。
まつ毛なんかそこらへんのモデルより長いんじゃないかってくらい長いし。
男の俺でも見とれてしまう程。勿論、大袈裟なんかじゃない。
こんだけ褒めとけばもう十分だろって感じだけど、この男、身長も高い。
何気なくスマホを操作している姿でさえ様になっている。
いや流石に俺が可哀想だろ。
そんなこんなでそれから10分は経ったが、未だに俺も顔良い人も動かない。
恐らく、顔良い人も誰かを待ってるんだと思う。
この人も大変だな、とか思ってた矢先、顔良い人に先を越された。
やっぱ待ち合わせしてたらしい。ちなみに、遅れてきた方はというと。
こっちもこっちでまた顔が良すぎて困る。
顔良い人第2号もまた、髪型が橙色の髪に黄色のメッシュという派手さだ。
それなのにもかかわらず、顔がいいというのはなんでも様になってしまうらしい。
「わりぃ遅れた」なんて言いながら顔に浮かべた笑顔がどこか幼くて可愛かった。
こんな第3者のどうでもいい感想ばかり述べている俺には秘密がある。
その秘密というのは。…腐男子だということだ。
当たり前のように、どちらが下か上かを考え始める。自分でもちょっと引いた。
紺と青の方は「いや、問題ない」っていう声聞く限りは橙色より純粋そうだな。
橙色の方は…、その幼さの顔の下には裏がある的な感じで上がいいな…。(性癖)
こんな馬鹿みたいな考えを頭に浮かべていた俺だが、次の会話によってかき消される。
「…次、遅刻したら…、…昨日のこと覚えてるか?」
「げ、それは腰が殺られるから勘弁してくれ。悪かったって…」
…あー、なるほどね?
俺は名も知らぬ他人によって、新たな扉が開いたかもしれない。
後にモブの友達にこの話聞かせたら「なんか好きかもしれん」とかなんとか言ってた。
全国の腐女子腐男子共、俺はお前らにとっていい仕事をしたぞ。
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