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静かな保健室。
白いカーテンで仕切られたベッドの
ひとつに、こさめが眠っていた。
顔にはまだ殴られた痕が残り、
薄い呼吸に胸が上下する。
そんなこさめの傍らに、
LANとみことが現れる。
カーテンをそっと閉めて、声を潜める。
「…朝にやられて…こさめもこのざまだよ」LANが低い声で呟く。
「このまま黙ってるの、ありえないよね、」みことが鋭い目を向ける。
LANはベッドで眠るこさめを
一度見てから、声を落とした。
「だからこそ――やり返すんだ。
今まで散々やられてきたことを、
そのまま、いや……もっと正確に倍にして」
「“同じ痛み”を味あわせるってこと?」
「そう。殴られたなら殴り返す。
追い詰められたなら、
今度は向こうを追い詰める」
LANの目は真剣だった。
みことは一瞬黙った後、ゆっくり頷いた。
「……いいね。俺らが受けた分、
ぜんぶ返す。誰にも文句言わせない」
眠っているこさめの手をらんが
握りしめる。
「だからこさめ、安心して寝てろ。
次は、俺らの番だ」
ー
LANとみことがひそひそと話し終え、
静かな空気が流れる。
保健室の時計の針の音だけが響く中、
ベッドの上のこさめのまぶたがゆっくりと開いた。
「……ん……」
LANとみことが同時に振り向く。
「こさめ!? まだ寝てろって」
「ムリしんといて、顔まだ腫れてんだし」
けれど、こさめはかすかに笑って、
二人を見上げた。
「……ねぇ、さっきの話……こさも、
きかせてよ」
LANとみことは一瞬、息をのむ。
弱々しい声のはずなのに、その瞳には
しっかりとした光が宿っていた。
「やられっぱなしなんて、もう嫌。
……こさだって、いっしょにやり返したい」
「こさに考えがある」
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