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×××が敵の攻撃で声が出なくなっちゃった!?
任務帰り。
敵を倒したあと、×××は安心したように息をついて――
キルアのほうを向いた。
「……っ、……」
口を開けて、何か言おうとしている。
ぱく、ぱく。
でも――声が出ない。
「……ん?」
キルアは首をかしげる。
×××は必死にもう一度。
「……っ……」
ぱくぱく。
その姿を見て。
「……ぷっ」
キルアは思わず吹き出した。
「……なにそれ。金魚みてーじゃん」
「可愛すぎだろ」
×××は一瞬きょとんとして――
すぐにムッとする。
ぷいっとそっぽを向いた。
「……あ、ちょっ」
「ごめんごめん!悪かったって!」
慌てて謝りながら、キルアは頭を撫でる。
「でもさ……」
少しだけ寂しそうに笑って。
「……×××の声、聞けねーのは正直つらい」
「早く治るといいな」
×××は、少しだけ申し訳なさそうに微笑んだ。
⸻
その日は、いつも通り×××の家に泊まることになった。
キッチンでは――
「なに?切る?」
「洗う?」
「皿持つ!」
やけに積極的なキルア。
「今日はオレが全部やる」
×××は驚きつつも、くすっと笑う。
エプロン姿のキルアを見て、スマホで写真まで撮った。
キルアは気づいて赤面。
「撮んなよ!」
⸻
夕方。
ソファで並んで座る二人。
×××は楽しそうに笑っている。
でも――
キルアには、わかっていた。
時々、不安そうに伏せる目。
無理に明るくしていること。
(……無理すんなよ)
キルアは、わざと明るく話しかける。
「なあなあ、今日さ!」
「ゴンがさ、超ドジって――」
「マジでウケたんだけど!」
わざと大げさに話す。
×××は、だんだん笑顔になる。
肩を揺らして笑う姿を見て、キルアは安心した。
(……よし)
⸻
夜。
布団に並んで横になる。
電気を消して、静かな部屋。
×××は、キルアの袖をそっと掴んだ。
不安そうな目。
キルアは、体を寄せて、優しく抱きしめる。
「……なあ」
「×××」
小さな声で。
「大好きだ」
×××は目を見開く。
「声出なくてもさ」
「×××は×××だろ」
「なにも変わんねーよ」
額をこつんと合わせて。
「オレがずっとそばにいる」
「だから、心配すんな」
×××の目から、ぽろっと涙がこぼれた。
キルアは指でそっと拭ってやる。
「……泣くなって」
「可愛いけど」
×××は、照れながらキルアの胸に顔を埋めた。
⸻
翌日。
学校。
担任の前で、キルアが説明する。
「……えっと」
「昨日の任務で能力食らって」
「今、声出ないんです」
先生は驚きつつも頷く。
「わかりました。無理しないでくださいね」
授業中。
ノートを見せてあげたり、代わりに発表したり。
「ここ写して」
「大丈夫?」
小声で何度も確認するキルア。
×××は何度も頷く。
休み時間もずっと隣。
離れない。
⸻
昼休み。
×××はメモに書いて見せた。
『ありがとう』
キルアは照れて、そっぽを向く。
「……当たり前だろ」
「恋人なんだから」
でも、耳は真っ赤だった。
×××はそれを見て、また笑った。
――三日目の夜。
×××の体が、ふわっと淡く光った。
「……?」
キルアはすぐに気づいて、顔を上げる。
「……×××?」
×××は、ゆっくり口を開いた。
「……き、……」
小さく、かすれた声。
「……キ……」
キルアの目が見開かれる。
「……っ!?」
「今……!」
×××は息を吸って――
「キルア!!」
はっきりとした声。
久しぶりの、自分の声。
「キルア、キルア、キルア……!」
何度も、何度も呼ぶ。
キルアは一瞬固まってから、ぱっと笑った。
「……っ、戻った……!」
「よかった……!」
でも次の瞬間。
×××は、そのまま泣き出した。
「……っ、ひっく……」
「さみしかった……!」
「怖かった……!」
「キルアのこと呼びたかったのに……!」
「ずっと……ずっと……!」
ぎゅっとキルアの服を掴んで、泣きじゃくる。
「大好き……!」
「キルア大好き……!」
「ほんとに……大好き……!」
キルアは何も言わずに、強く抱きしめた。
背中を優しく撫でながら。
「……うん」
「うん」
「そっか」
「……つらかったな」
「怖かったよな」
×××の言葉一つ一つに、ちゃんとあいづちを打つ。
「……うん」
「わかる」
「ちゃんと聞いてる」
「全部言っていい」
×××は、安心したみたいに、さらに泣いた。
「……キルアがいなかったら……」
「無理だった……」
「ずっとそばにいてくれて……」
「ありがとう……」
キルアは、×××の髪に顔を埋めて、小さく笑う。
「……当たり前だろ」
「オレ、彼氏だし」
「離れるわけねーじゃん」
⸻
しばらくして、×××の涙が落ち着く。
まだ鼻は赤い。
キルアは、そっと頬を包んだ。
「……なあ」
「声、戻ったってさ」
「一番にオレ呼んでくれたの」
「めっちゃ嬉しかったんだけど」
照れながら言う。
×××は赤くなって、えへへって笑う。
「……だって」
「一番言いたかった」
「キルアの名前」
するとキルアは耐えきれず、ぎゅっと抱きしめ直す。
「……反則」
「可愛すぎ」
「殺す気かよ……」
×××は笑いながら、キルアの胸に頬をすりっと寄せる。
「ねえ……」
「もう、ずっと一緒にいよ」
キルアは即答。
「当たり前」
「離さねーよ」
額にキスして、優しく囁く。
「×××はオレのだから」
「一生」
×××は、嬉しくてまた少し泣いた。
でも今度は、幸せの涙だった。
to be continued….