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#ご本人様には関係ありません
透楽※お知らせ必読願います
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冷たい水の中。
透明なはずなのに薄暗く先が見えない。
指先が熱い。
神経が燃えるような痛みを感じる。
吐き出される泡とともに沈んでいく体。
ゆっくり、ゆっくり、沈んでいく。
まるで奈落の底が口をあけて待っているよう。
自分を包み込むのは柔らかな水流。
不思議なくらい優しく頬を撫でて通り過ぎる。
優しさに包まれて、どこまでも落ちていく。
出口はない。
どこから来たのかもわからない。
ただ、沈んでいくだけ。
いつの間にか痛みは消えていた。
熱く感じた指先も、今は何も感じない。
ああ、終わりだ。
このまま眠りにつく。
気持ちは安らかなまま。
頬を撫でる水流も止んだ。
全てが止まっている。
ぜんぶ、さよなら。
さよなら。
「…ぃ、じんと…おーい、仁人!」
ぱち、と音がするんじゃないかと思うくらいはっきりと目を開いた。
まぶしい。どこだ、ここ。
突然変わる場面に頭が付いて行っていない。
さっきまで暗い場所に居た気がする。
あれ、なんだか身体が重い。
やたらとうるさい息遣いも聞こえる。
それが自分の息だと気づくまでに少し時間がかかった。
「大丈夫か?すげぇ苦しそうだったけど」
「…ぁえ?」
素っ頓狂な声が出た。
ここは自分の家だ。寝室の、ベッドの上。
少しずつ認識がクリアになっていく。
それと同時に、全身がべたついているような気持ちが悪さも感じる。
ついでに喉もカラカラしていて何かがへばり付いているみたい。
「水のむ?」
そう言って差し出されるコップ。
あれ、そういやなんでコイツうちに居てんの?
「…ありがと」
掠れる声でお礼を言い、体を起こした。
身体の節々が痛い。
ああ、これはー
「熱が上がってるらしいから、今日と明日はゆっくりしていいって」
「…収録は、」
「撮り溜めしてるから急がなくてもいいんだと。取り合えず休め」
はぁ、とため息が出た。
普段ならここまであからさまに出すことは無いが、色々と重なって思わず口から出てしまう。
確か先ほどまで雑誌の撮影で5人集まっていたはずだ。
自分の番は終わり楽屋で帰宅準備をしていた記憶はある。
そこでソファーに座ったが最後、いつの間にかここに居た。
変な夢も見た。
水の中にいた気がする。
泳ぐわけでもなく、息をするわけでもなく。
ただ沈んでいた夢。
「珍しくソファーで横になってた仁人見て、太智が悪戯しようとしたら」
なんだそれ。
「仁人が燃えとる!って言って叫んでさぁ…」
なんだ、それ。
何となく想像できて思わず笑ってしまう。
ギシとベッドの淵に座りなおしながら勇人は言う。
「デコが熱すぎて、速攻持って帰っちまった」
持って帰ったって、お前…
「…モノじゃねーよ」
バカ、と小さく言うと、安心したように笑った。
「さっきまで苦しそうだったから心配した」
「あぁ…なんか、変な夢見た」
言ったら笑われそうだから言わないけど。
まだ体がだるくて、水を全て飲み終えるとコップを渡して横になった。
「…大丈夫か」
「うん、寝たら治ると思う」
「いや、そうじゃなくて…」
珍しく言い淀む勇人が気になり顔を見る。
何か言いたげな、困ったような表情でこちらを見ていた。
きっと変な夢が影響して苦しんでいたからだろう。
ふっ、と笑い何でもないように見せた。
事実、何ともない。熱のだるさはあるが苦しくはない。
呼吸も出来ている。本当に溺れることはない。
それでもなお、勇人は心もとない様子で仁人の方を見つめていた。
「…そんなに見られてたら寝れないんだけど」
「…悪い…」
歯切れの悪い言い方。
気にしないように目を瞑るが、絶対にこちらを見ている確信がある。
本当に、メンバーの事になると人一倍心配性になるな、この男は。
ゴロン、と改めて勇人の方へ向き直り、口を開いた。
「しばらく傍に居てよ。苦しんでたら勇人が起こして」
「…おう」
まるで主人の指示を待ってましたと言わんばかりに、嬉々としてミッションを受け取る。
それもどうかと思いながら再度目を瞑った。
同じ夢を見るのは怖かったが、今度は沈む前に助けてくれるだろう。
布団の上からそっと置かれる手の感覚に、仁人はばれない程度に微笑む。
ー彼が救い上げてくれるから大丈夫。
見守られるやさしさを感じながら、また眠りについた。
コメント
1件
みぅです、読み終わりました🥀 夢の水の中の描写、すごく綺麗で切なくて…「優しさに包まれて落ちていく」感覚、なぜかすごくわかる気がしました。でも現実の勇人さんの「おーい、仁人!」でふっと浮上するところ、心臓がぎゅっとなりました。布団の上から置かれる手、あの優しさが仁人くんをちゃんと救い上げてるんだなって。静かで温かいエピソード、ありがとうございます🤍