テラーノベル
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どうも皆さんゆっぴーです☆
おはよ〜
続きどうぞ〜
「ドアの向こうにいる」
翌朝。
クローゼットの前に残る細い爪痕は、確実に増えていた。
昨夜は三本だった。今は――七本。
しかも、内側から外へ向かって引っ掻いたような跡。
美咲は震える手で管理会社にもう一度電話をかけた。
だが昨日の担当者は「退職しました」と言われる。
昨日、あんなに普通に話していたのに。
「その部屋のクローゼットですか?」
電話口の女性は、少し考えるように間を置いた。
「……ああ。あれは“飾り”です。開きませんよ」
「開けないでって言われました」
沈黙。
「……誰にですか?」
通話が切れた。
その夜。
美咲は録音アプリを起動したまま、午前2時を待った。
2時16分。
静寂。
2時17分。
コン。
コン。
コン。
ゆっくり、三回。
美咲は震えながら録音を続ける。
「……あなた、誰?」
数秒の沈黙。
そして。
『わたしだよ』
その声は、確実に美咲自身だった。
録音アプリの波形が跳ね上がる。
だが奇妙なことに――
声は、クローゼットの中からではなかった。
イヤホンの中から聞こえたのだ。
録音アプリは、再生していない。
それなのに。
『開けないと、入れない』
ドン。
クローゼットの中で何かがぶつかる音。
白い小さなドアの縁が、わずかに膨らんでいる。
内側から押されている。
美咲は後ずさる。
そして気づく。
部屋の玄関ドアに、内側から引っ掻いたような跡があることを。
まるで――
何かが外へ出たがっているように。
終わり〜
次最終回