テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
タボちょん、捏造有り。
皆元気に生きています。
ほんのりカンタロー→貧ちゃん描写あり
苦手な方はご注意ください。
最後にちょっとお知らせ有り。
◇
ネオンが滲む夜の街。
平成の匂いを残すスナック。
――スナックイマクニ。
その小さな店のカウンターにちょんまげは座っていた。
ターボーと付き合いはじめて数ヶ月。
恋人がいるというだけで世界の色が少し変わった気がしている自分に、まだ慣れない。
「ターボーは今日も残業か?」
隣でウイスキーを揺らしながらキングが聞く。
既婚者らしい落ち着きと余裕が、三十四歳という年齢を上手にまとっている。
「うん。忙しいみたい」
ちょんまげはグラスの氷をつついた。
反対側の隣にはカンタローと貧ちゃん。
ここにいないターボー、ニコちゃん、博士を含めた七人は幼馴染だ。
大人になってそれぞれ別の道を歩いたが、こうして時々集まる関係は変わらない。
「で? 最近どうなんだよ。ラブラブは」
ニヤニヤしながら貧ちゃんが身を乗り出す。
独身、恋人なし。恋愛話が何よりの酒の肴だ。
ちょんまげは視線を逸らした。
「……どうって」
「夜の方」
キングがストレートに言い、カンタローが吹き出す。
「おい既婚者、子ども寝てんだろ」
「俺はもう帰ったら静かに風呂入って寝るだけだ」
笑いが弾ける。
でもちょんまげの胸は少しだけ重くなった。
「……まだ、ちゃんとできてない」
三人の動きが止まる。
「は?」
貧ちゃんが目を丸くする。
「え、付き合って結構経つだろ?」
「うん、何回か誘われたけど…」
誘われる度に嬉しいのに、胸がぎゅっと締めつけられる。
キスだって軽く触れるだけで精一杯。
それ以上はどうしても怖くなる。
「なんで?」
カンタローが不思議そうに聞く。
ちょんまげは正直に答えた。
「好きだから…変に思われたくないしがっかりされたくない」
言った瞬間、自分の声がひどく子どもっぽく聞こえた。
貧ちゃんがふっと鼻で笑う。
「ターボー、モテるだろ?」
「…うん」
事実だ。
仕事もできるし、明るくて面倒見も良い。昔から人気者だった。
「断り続けてたらさ、他の奴に取られるぞ?」
その一言は冗談半分のはずだった。
でもちょんまげの心臓はどくん、と大きく跳ねた。
「………」
「だってさ、男なんて溜まるもんは溜まるんだよ。好きでもさ、いつまでも我慢できるか?」
遠慮なく言う貧ちゃんにカンタローが小声で言う。
「貧ちゃん、言いすぎ」
「事実だろ」
ちょんまげを心配しているように見えてカンタローの視線はずっと貧ちゃんに向いている。
貧ちゃんは気づいているのかいないのか、ちょんまげを揶揄いながら知らん顔で酒を飲んでいる。
キングはその様子を見て苦笑する。
だがちょんまげはもうそれどころじゃない。
「マスターもう一杯」
「ペース早いぞ」
キングに言われる。
それでもちょんまげは飲んだ。
不安を流し込むように。
貧ちゃんの言葉がずしりと重くのしかかる。
ターボーが誰か別の人に触れている光景が頭に浮かんだ。
知らない笑顔。
知らないキス。
喉がひりつく。
ちょんまげはグラスを一気にあおった。
「おい、ちょんまげ飲みすぎ」
キングとカンタローが止めるがもう遅い。
――怖い。
その感情から逃げるように、ちょんまげは何杯も飲んだ。