テラーノベル
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気がつけば、外の空気はひどく冷たい。
「ちょんまげ、立てるか?」
キングの声が遠い。
「ターボー呼んだ方がいいだろ」
カンタローがスマホを手にする。
「やめて……」
言ったつもりだったが、ろれつが回らない。
結局、ターボーは来た。
夜の駐車場。
車のヘッドライトが照らす中、ちょんまげの視界に映ったその姿に胸が締めつけられる。
「ちょんまげ」
低くて優しい声。
その一言で、涙が出そうになった。
「ごめ……」
「謝らなくていい」
ターボーは自然にちょんまげの体を支える。
大きな手の温もりが、酔った体にやけに鮮明だった。
車の中は静かだった。
エンジン音だけがやわらかく響く。
「…あいつらになんか言われた?」
ターボーがぽつりと聞く。
ちょんまげは俯いたまま、呟く。
「貧ちゃんが…ターボー他の人に取られるって」
ハンドルを握る手が一瞬止まる。
「俺が?」
沈黙。
家に着くまで、その話は続かなかった。
ターボーの部屋に連れてこられたちょんまげはソファに座らされ、水を渡される。
「飲みすぎ」
「……ごめん」
また謝ってしまう。
ターボーはため息をつきながら、ちょんまげの前にしゃがんだ。
「俺、そんなに信用ない?」
まっすぐな目。
ちょんまげは首を振る。
「違う…嬉しいんだよ」
「何が?」
「誘ってくれるの。ちゃんと、欲しいって言ってくれるの」
喉が震える。
「でも、怖い。ちゃんとできなかったら嫌われるんじゃないかって」
ターボーの表情がゆっくりやわらぐ。
「ちょんまげ」
名前を呼ばれるだけで、胸が熱い。
「俺、ちょんまげ以外に興味ない」
はっきりとした声だった。
「他のやつに取られるとかありえないから」
涙がぽろりと落ちる。
「でも……」
「ちょんまげのペースでいい」
ターボーはそっとちょんまげの頬に手を添える。
「キスだって、軽いのでも俺は十分幸せ」
触れ合う指先が温かい。
「俺が欲しいのはちょんまげだけだから」
胸の奥に張りつめていた不安が、ゆっくりほどけていく。
「……ほんとに?」
「ほんと」
ターボーは立ち上がり、ちょんまげの隣に腰を下ろす。
「たださ」
少しだけ悪戯っぽく笑う。
「俺も男だから、二人きりになると興奮はするけどな」
ちょんまげは顔を赤くする。
「ばか」
「馬鹿でもいい」
ターボーはそっとちょんまげの顎に指をかけた。
逃げないように、でも強くはなく。
ゆっくりと唇が重なる。
軽いキス。
でも今日は、少しだけ長い。
離れた後も額が触れ合う距離。
「……嫌じゃない?」
「嫌なわけない」
ちょんまげは震える手でターボーの服を掴む。
「僕…もうちょっとだけ…頑張りたい」
ターボーの目がやわらかく細められる。
「無理すんな」
「無理じゃない…ちょっと怖いけど…ターボーだから」
その言葉に、ターボーは息を飲む。
静かな部屋。 外では風が鳴っている。
ターボーはもう一度、ちょんまげにキスをした。
今度は、少しだけ深く。
舌先が触れる瞬間、ちょんまげの体がびくりと震える。
でも、逃げない。
怖い。 でも、それ以上に、好き。
ターボーの手がちょんまげの背中をゆっくり撫でる。
「大丈夫」
低く囁かれる声。
ちょんまげは目を閉じる。
唇が離れたとき、二人とも少し息が荒い。
「……今日はここまで」
ターボーが微笑む。
「え」
「ちょんまげ酔ってるし」
そう言って額に軽くキスを落とす。
ちょんまげは胸がいっぱいになった。
「ターボー」
「ん?」
「取られたくない」
その一言に、ターボーは笑う。
「だから言ってるだろ。俺はちょんまげのだ」
指を絡める。
良い歳をした男同士。
不器用で、遠回りで、それでも真剣だ。
焦らなくていい。
少しずつ。 触れて、確かめて、進んでいけばいい。
ターボーの肩にもたれながら、ちょんまげは静かに目を閉じた。
この温もりを一生失いたくないと、強く思いながら。
END
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いつもご覧いただきありがとうございます。
Xはじめました。ネタを書き溜めたりタボちょん妄想しているだけですが絡んでいただけると喜びます。
→@iw_ta_cho
この後の番外編はカンタロー→貧ちゃんメインの為ご注意ください。
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