「あの、さ…」あっとが言いずらそうに口を開く。うん、大体分かっている。きっとおいもの下半身が丸出しな件についてだろう。俺もずっと気になってんねんそれ。
「わぅ?」
当の本人は気にする様子もなく自身に向けられた視線に不思議そうに首を傾げている。
「ズボンが履けないんよ」
あっとが何かを言う前に自ら牽制する。
「そう、だろうな…」
あからさまにおいもから視線を逸らすあっと。分かるで、俺も飼い犬に何度欲情しそうになったか…。
__ぴんぽーん
突如鳴り響いたインターホン、俺とあっとの間に妙な緊張感が走る。ここからの連携はバッチリだった。あっとが鳴かないようおいもの口を抑え、その隙に俺がインターホンにでる。付いたモニターの先にいたのは…まぜ太だった。
「おーい、居るのは分かってるぞー。出てこーい」
なんて呑気にインターホンに向かって話しかけている。
「終わったわ」
あっとも同じ気持ちだったらしい、何とかおいもと一緒に寝室へ隠れようとしている。
「今行くから待ってろ」
まぜ太に声をかければあっととおいもを寝室へ隠す。
「頼む、あっと!」
そう言いながら扉を閉めれば玄関に向かう。ゆっくりと玄関のドアを開ければ無理矢理押し広げて中に入ってきた。
「おい、なんで連絡返さねーんだよ!」
…連絡?連絡なんか来ていたか?とスマホを確認する。確かに来ていた、なぜ気付かなかったのだろう…。
「いやー、すまん!ゲームに夢中やったわ」
誤魔化すように笑えば何かが気になるのか寝室の扉を見つめるまぜ太。
「ん?どしたん?」
冷や汗が止まらない。背中はもうぐっちょりと濡れている。
「いや、別に…ああこれ。さんきゅ面白かったわ!」
まぜ太が渡してきた袋の中身は貸していた漫画だった。
「これ返すために来てくれたん?」
「いやたまたまこの近くで用事あったから。もう帰るよ」
と、まぜ太が玄関へ向か…
「と、思ったか!」
は!?こいついきなり寝室の扉開けやがった。
「ん…まぜ…?」
その行動を読んでいたのか布団の中から眠たげな声であっとが呟く。ファインプレーすぎる。
「なんだあっとかよ〜、女連れ込んでると思ったのに…」
文句を言いながら家から出ていくまぜ太。あいつはほんまに嵐のような奴や…
「あっとナイス」
あっとが入っている布団がもぞもぞ動いたかと思えばおいもが顔を出した。
「お前も大人しくできて偉かったな」
と撫でてやれば嬉しそうに目を細めた。
「そろそろ俺も帰るよ」
あっとが布団から出て身支度を始めた。
「今日はありがとうな…また進展あったら伝えるわ」
あっとを見送り部屋に戻ればおいもが擦り寄ってきた。布団が暑かったのか少し汗ばんでしまっている。…そういえばこいつ人間の姿になってから風呂入ってないな?え?人間の姿のおいも俺が洗うん…?
次回お風呂編!?
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