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次の日。

アタシは、昨日のアレをもう一回して欲しいと思い、三階執事室に来た。

だが…。

『え、依頼…?』

ルカスは居らず、代わりにラムリとナックがいた。

ルカスは、東の大地という遠いところに依頼に行っているらしい。

帰るまで、結構日数がかかるそうだ。

ここで、初めて悪魔執事が大体強制的に依頼を受ける何でも屋のような扱いをされていることを知ってしまった。


『クズ!クズクズクズよ!バッッッッカじゃないの貴族野郎達は!』

本性が出てしまい、暴言を吐いてキレたが、ギリギリオネエで耐えた。

もし、昔の口調で話していたらとんでもない事になっていただろう。

「あ、主様!落ち着いてください!」

『分かったわ…落ち着く』

ムーちゃんを抱っこして、やっと暴言は収まった。

どうやら今回の依頼は、ルカス、ベリアン、ベレン、シロの執事が依頼に行っているらしい。

ルカスとベリアンは知っているが、ベレンとシロという執事は出会っていない。

大人しくムーちゃんを抱っこしていると、ある考えが思いついた。

そうだ。追いかければいい。

大人しく待つより、追っかけた方がかっこいい。漢のロマンだ。

『ムーちゃん!今すぐルカスのところ行くわよ!』

膝にちょこんと座っているムーちゃんにそう言った。

「えぇ〜っ!?!?だ、ダメなんじゃないんですか!?」

きちんと確認を取ってくれるところがムーちゃんのいい所だ。

そこを見習いたいが、もう手遅れである。

それに、頑張ってルカスのところに行けばもっと褒めてもらえる!

脳内で、ルカスがアタシの頭を撫でながら、たくさんの褒め言葉を言ってくれる妄想をする。

それだけで、幸せホルモンが分泌される感覚がした。

『さぁ!行くわよ!ムーちゃん!』

行き先は東。

場所もナックに聞いて、把握済だ。

行ける。


と、思っていたが…。

知らない場所に来てしまった。

『んん〜…どこかしらここ』

今、ムーちゃんとアタシしかいない。

完全に迷ってしまった。

「なんか…暗くないですか?」

どこかの路地裏のようだ。

だが、路地裏にしては暗すぎる。 夜でもないのに。

『今頃執事達心配してるかしら…』

自分勝手に出ていったことを後悔する。

よく分からない土地で羽目を外すのは行けないことを知った。

地図を頼りに、路地裏を進んでいく。

すると、明らかに暗すぎるところに着いた。

「これ、大丈夫なんですか?」

『うーん…分かんないわ』

だが、安全確認(危険)の為にその暗いところに入ってみる。

すると、ビーっと警報音が鳴った。

あ、マズイ。そう思ったが遅かった。

自分たちの周りは、イカつい男達に囲まれていた。

「おぉ…誰かと思えば女じゃねぇか。最高だな」

どうやら、アタシのことは女だと思っているらしい。

まぁ、それがなんだということには変わりない。

「猫と合わせて売れそうだな〜おい、こいつとっとと捕まえろ」

そう言ったかと思えば、ジリジリと詰まる距離。

「やめてください!噛みつきますよ!」

「こいつ話せるのかよ!こりゃ高くつくぞ!」

男達は祭りのように騒いでいた。

正直に言って、耳障り。

女の子の正しい扱いすら忘れてしまったらしい。

『ねーぇ。早くことを進めてくれないかしら?じゃないとアタシ困っちゃうんだけど』

全力の女声で偽の色気を演出する。

そんな下手な演技でも、興奮するのが気持ち悪い。反吐が出る。

「へへっ…この女イイな。出来れば俺のモノにしたい」

そう言い、アタシの服を引き裂いた。

「こいつ男か!?」 

周りにいる奴ら全員驚いていた。

やっぱり、相手が焦っているとスッキリする。

『今頃気づいたのか?バーカ。お前らの脳は節穴だなハハッ』

その顔が面白くて面白くて、本性が出てしまう。

隣に居るムーちゃんも目を丸くしていた。

「っ…お前ら!少しでもこいつは金になる!とっ捕まえろ!」

周りにいる奴ら全員飛び出してきた。

その目は、明らかにオレを自分のモノにするような目だった。

『やっべぇムーちゃん!しっかり掴まってろ逃げるぞ!』

「え!?」

路地裏を全速力で逃げた。

だが、リーダーと思う奴に捕まってしまった。

「はっ。お前は特別にお気に入りにしてやろう」

脱臼するような力で、肩を掴む。

さっき女だとか言って興奮していたアレはどこにいったのやら。

お気に入りはお気に入りといっても、どうせヤンチャな子供の人形扱いだろう。

そんな未来はお望みではないので、強制的にお断りすることにした。

『全く…レディーの扱いは丁重じゃないといけねぇぜクズ人間』

太ももにある隠していた短剣を首に当てるギリギリで止めた。

ひっ、と怯える害虫。

冷や汗がダラダラ流れて、オレの額にポタポタと落ちる。

「おっ、お前は…何者だ!」

酷く動揺していた。

息も荒い。

『ただの社畜薬剤師さんデース。ま、オレの血筋が有名な英雄の血筋ってだけ』

「はぁ!?」

動揺から、驚きへと感情が変わる。

だから人間は面白い 。

『あ、ちなみにこの短剣毒塗ってるからなオレ特製の』

そう言うと、怯えまくって皆ドタドタと逃げ回って消えた。

「あ、ああ…あるじ、さま…?」

ムーちゃんも怯えている。

ブルブルと震えて、子猫のようで可愛らしい。

その体をぎゅっと抱きしめた。

『わぁぁぁぁぁん!怖かったわよぉぉぉぉ!アタシ虫大っ嫌いなのに〜!!』

ムーちゃんは、大きく口を開けて俗に言うスペキャ状態になっていた。

「あの…主様、先程のアレって…」

ムーちゃんの手がまだ震えている。まだ安心できていないと分かった。

『乙女のひ・み・つ♡』

現役薬剤師が処方した薬は、アタシ。

人差し指をアタシの口元にもっていって、おまけ程度に得意になったウインクもした。

そうすると、手の震えが収まって、また可愛いムーちゃんに戻った。


あの後、少し歩いていくと執事達がいる目的地に着いた。

執事達は、案の定驚いていたし、説教もされた。

服を破かれたことに関しては、すごく怒られた。 他人が破いたのに。

だが、その後ルカスにたくさん褒められた。

その言葉の中には、邪魔な害虫を追い払った話もあったような気がしたが、流石に気のせいだと思い、その情報は頭の中のゴミ箱に捨てた。

ルカスに、アタシの本性を知られたらきっと、嫌われちゃうから。

ただ、今はこうして執事に全てを委ねていたい。そう思った。

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