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「さぁ、目を醒ましなさい。」
『ん、むぅ…?』
目が覚めるとそこはまるで神殿のよう。
白を基調とした装飾そして、美しいステンドグラス。
天井は透明なガラスがあり空が煌々と光っている。
そして高い高い椅子の上に座る女性はとても女神と思えるほど美しい。
『ここはどこですか。』
「ここはどこかは貴方にとってはどうでもいいの。其れよりも貴方は選ばれたの。」
ん?よくある転生モノなのか?
にしては何か強引な気もしなくもないが…。
『其れはどういうことなのか。』
「貴方にはただ此処にいてもらうだけでいいの。そして、私の指示に従ってちょうだい。」
まぁなんて強引なんでしょう。
『これから何をするんだ。』
「まぁ、見ていなさい。」
(女神のような彼女をこれからはゴッデスと呼ぼう。)
ゴッデスがそう言うといきなり近未来的な透明なモニターが出てきた。
そこにはとある人のプロフィールが書いている。
「これからこの人のルートを見るのよ。」
『るーと?』
「そう。貴方は其のルートについて感想が欲しいの。たったそれだけ。ね?簡単でしょう?」
『は、はぁ…、』
そんなことを言われても。
いきなり此処に来たと思うと、人の人生を見て感想を教えろと。
困る。正直言って。
「とにかく、始まるよ。」
『あ、はい。』
『!?』
何だこれは!?
いきなりモニターに吸い込まれたと思うと世界に入ってしまったのか?
「どう?新型なんだよこれ。没入型モニター」
『どう?って言われましても…、』
「ほら!あそこを見て!今日の√者よ!」
『あの男性は…?』
ブォン
『わっ、』
いきなり目の前に先程と同様近未来的な透明モニターが出てきた。
「彼は箕田時 颯斗(みだとき はやと)。この時代はどうやら20歳丁度のようね。この時代は第三次世界大戦が始まった世界線。彼は新日本帝国軍として召集がかかったみたいね。」
『第三次世界大戦…?』
「えぇ、日本が勝って第二次世界大戦が終わり、そのままアメリカが反発した後に第三次世界大戦が始まったようね。」
『そんな世界が…』
「えぇ、つまり貴方が暮らしている世界のもう一つの世界。世界線とも言うね。」
私達はふわりふわりと浮いているが、下を見るととても酷い有様だ。
正直、こんな事を言うことではないと思うが、日本が負けて良かったかもしれない。
それにしても銃の撃ち合いが激しい。
『つまり此処は最戦線で違いないのか?』
「其のようね。彼はあそこにいるね。まだ新米なのにそんなに前に行けるんだね。」
[撤退だー!!!お前ら下がれーーー!!!]
『!?軍が下がっていく!』
「彼の軍が撤退命令を下したようね。私達も彼らを追うよ!」
『は、はい!』
飛んでいくとそこはとても生臭い匂いがした。
最戦線でも臭っていたが、此処では特に臭う。其れにアルコールっぽい鼻にツンと来るような匂いもした。
どうやら軍事医療施設なのだろう。
「中に入ってみようか。」
『あ、はい。』
そこはとても酷かった。とてもとても。
なんというか、筆舌に尽くし難い…。
『あ、彼はあそこにいる。』
「まぁ、本当だ。…ん?」
彼はベットの近くに座っている。
そこには女性がいる。軍服を着ているのでどうやら召集で来た者なのだろう。
『しかし、何故女性が…?』
「きっと、少子高齢化ね。」
『…え?』
「貴方の世界でも起きていることでしょう?きっと若い男性が少なかったから女性も召集されたのだろうね。」
確かに、よくよく周りを見回してみると背の小さい子供もいる。
『この世界は一つ歴史が違うだけでこのような事になるのか…、』
「そうだね。ただあの戦争で日本が勝ってしまった…、これだけでこんな世界があったかもしれない…。」
『え、?』
「っと…、」
『え、急に終わっ…た?』
「どうだった?初めての旅。」
『えぇと…なんていうか、不思議な感じですね…。』
「そうでしょそうでしょ!!」
なんとも不思議な旅だった…。
ともかく早く元の世界に戻りたいけど、戻れそうに無いようだ…。
また続くだろう…。
続くかも。