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古流斬
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#鬱展開
Mist-404
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うわぁ…第4話、めっちゃよかったです😭💕 義手のユウくんとホログラムのエリサちゃん、見た目も属性も“違う”のに、心が通じ合ってる感じが尊すぎて胸がギュッとなりました。 バスの中でユウくんがエリサちゃんを守ったシーン、まじでかっこよかった…!「僕は“エリサ”が好きなんだ」の告白、ズルいですよもう!! 手も繋げないって言うエリサちゃんに「そんな先のことは考えてない」って返すユウくんの優しさ、エモすぎて泣く。続きが気になりすぎます!! 三毛さん、素敵な世界をありがとうございます🌸✨
<<バスの中で。 >>
バスがドアを閉める瞬間、滑り込むようにその声の主は乗り込んできた。
「…すみません。そこ、どいてくれませんか?」
僕はその子を見たまま、通路を塞いでいた。
「あ、あぁ。ご…すみません。」
僕は半歩下がった。
「どうも。」
そう言ってその子は僕の目の前をすり抜けて前のほうへ行ってしまった。
…が、前席は騒がしい乗客が座席を占拠していたので、その子は戻って来て通路を挟んだ僕の横にすっと座った。
そしてバスが発車した。
ー外を見るともう完全に夜だ。
「それ、重い?」
突然話しかけられた僕は驚いて、一瞬言葉に詰まってしまった…が、なんとか動揺を抑えて言った。
「え?いや、あぁ…これ(右腕)の事?」
彼女が笑った。
「ーあ、ごめん。私、気になった事がすぐ口に出ちゃうんだ 。」
あわてて取り繕う僕。
「いや、…いいと思うよ。これ(腕)…の事だよね?そうでもないよ。元の自分のと同じ重さになるようにオーダーしたし。」
そう言って僕は右肘を曲げて手のひらを上に向けてグーパーを繰り返した。
彼女は目を丸くした。
「へぇ。器用に動くんだね。こんなに近くで身体パーツ初めて見たかも。」
僕はちょっと嬉しくなった。
「そうなの?実はこのモデル…かなり高性能なんだ。少なくとも元の僕のよりは役に立つ笑。」
「どこが、どうすごいの?」
「それは…生身と違って震えないから、正確な動作なら、色々。」
僕は精密作業や射撃、とかいうメーカーの謳い文句は避けた。
…細かい話って盛り下がるし。
すると彼女は言った。
「へぇ。じゃぁ…人とか撃ったことある?」
いきなり凄い事を言われて僕は驚いた。
「そ、それはない!ないよ!さすがに。」
彼女はいたずらっぽい顔で言った。
「冗談だって笑。ごめん笑」
…ちくしょう。バカみたいに動揺したことを覆さないと。
「えー…射撃はないけど、料理の腕前がシェフ並みになったよ。」
「マジ?なんで!?」
「分量完璧だからね。タイマーと泡立てモードも…って…無理無理 笑」
「もう! 一瞬ほんとに信じたよ!笑」
…そう言った彼女の笑顔にやられた。
…もっと話し続けたい。
「笑…でもさ、メンテも楽でほんとにいいパーツだよ。もっと軽いのもあるし。良かったら案内…いやショップの場所教えようか?」
彼女は少し上を向いて言った。
「うーん。私は…いいかな〜。」
…あれ?
”この流れ”で?
「でも、どうせ買わなきゃいけないのならー」
ガタン、と音がしてバスが高架下に入り、
僕が一瞬言い淀んだ瞬間、彼女は言った。
「…わたし、ホログラムなんだよね。」
街灯の光が車内を流れていく際。
彼女はゆっくりと透き通った。
<<分 断>>
…彼女は話し続けた。
「だからこうやって人と普通に話すのはなかなか久々っていうか、ちょっと嬉しくて…」
「…なんで、いやちょっと待って、」
僕はまだ何かを言おうとする彼女を制止して、一度大きく息を吸い込んだ。
よし、落ち着いた。
「オーケーもう大丈夫。あぁ…わかったよ。…驚いた事は認める。でもそれはそんなに重要な事じゃない。ごめん、僕はちょっとこういう事に不慣れで…。」
彼女は笑い出した。
「あなた”変わってる”ね 笑。 普通の人ならここで会話終わってるよ。”ナンパしても意味ない”って。それなのにあなたはまだまだ”話し足りない”って感じ 笑」
え?…変わってる?
「だって、まぁ”言葉”にだって実体は無いけど、それは問題にはならないでしょ?」
気のせいか、彼女が少し赤くなった気がした。
「じゃぁ…あなたは私をー」
彼女が何かを言いかけたとき、”ビー”という音とともにバスが停まり、乗客が大ぜい乗り込んできた。
彼女は何を言おうとしたのかな?
僕は続きが気になったのだが、車内はかなり混んでしまった。
そしてバスは再び出発した。
ーしばらくして彼女の前に立っていた男が突然彼女に声を掛けた。
「…お前、シルフだよな?なら席譲れよ。」
吊革に両手をかけて彼女を見下ろしている。
「…嫌に決まってるでしょ。なんで”そんな理由”で席を退かなきゃいけないの?」
男は表情を歪めた。
「はぁ?お前らはただのデータだろうが。こっちは生身の身体が休みたいんだってよ。てかその前にお前らの居場所はあっちだろうが!!」
その男が指した先は、バスの一番後ろの、床にじかにラインを引いただけの狭いシルフ専用区画だった。
「法律も守れねぇのか?ホログラムめが!!」
ーそう言われてなお彼女は席を立たなかった。彼女は口を閉ざして前の座席の一点を見つめていた。
するとその乗客は天井を一瞬チラッと見てから言った。
「お前…リセットされたいのか?」
男が映写機の1つを塞ごうと手を伸ばした。
ーあぁ!もうたくさんだ!!
「やめろ!なんの権利でそんな事を出来るんだ!?」
僕はとっさに男の腕を掴んでいた。
男は目をひん剥いて僕を見た。
「…あぁ?あんた誰?これの連れ?飼ってんの?
…なら責任持って線の向こう側に立たせとけ!教育がなってねぇな!!」
そう言って男は僕の手を振り払おうとした。
誰が離すか。
「なんだ?離せよ!!やんのか!?」
男は掴まれた腕を僕の手から振り払おうと暴れた。
そんな事でこの手は離れない。
僕は自分側に腕を引いて男の顔ギリギリに近付いて囁いた。
「無駄だよ。だって僕の右腕は君のよりずっと高性能だからさ。黙って消えるんなら放してやるよ。でもケンカしたいって言うんだったら…」
僕は腕の温度を上げていく。
「うおっ!アチ、なんだ?アチチ!やめろ! やめてくれ!!わかった、わかったから!マジだって!アチ!おい!おい!Bro!!やめてくれ。」
やけどをさせる直前で僕は彼を解放した。
男は信じられない、という顔でこちらを見た。
「…あんたなんなんだ。なんだってホログラムなんかと…いや、もういい。」
男は腕を擦りながら人をかき分けてバスの前の方へ逃げていった。
さて…彼女だ。
「だ…だいじょう…ぶ?」
声が震えた。
…僕の方が大丈夫じゃないな。
「…うん。」
そういう彼女は涙を堪えて顔が赤くなっていた。
…僕と話してたときの赤らみと違う。
「…あ、あんな連中がさー」
「ありがとう。」
唐突に彼女が言った。
「え…?」
「ありがとう。…ありがとう。
…ありがとう、ありがとう、ありがとうー」
僕は言葉を遮った。
「もういいよ。 …良いんだよ。」
その一部始終、誰も何も言わなかった。
バスも何もなかったように走り続けていた。
ただ2つの小さな怒りの煙だけが、燻っていた。
<<二人だけ>>
「…ねぇ。もう落ち着いてよ…嬉しかったよ。なんか感極まっちゃってさ、わたし。」
バスから降りても僕はまだ興奮していた。
…と同時に恥ずかしくもあった。こんな場面に出くわした事は今までなかったけど、どう考えても昨日までの僕なら今の僕に睨まれる立場だったはずでー
「わっ!!」
スクロールから彼女の大声がした。
「うわあ!え…何?」
「嬉しかった、って。」
「…あぁ、うん。」
また沈黙。
「ーあぁそうだ。」
バスから降りたあとの彼女は僕と並んで歩いていたけど、声だけがスクロールから聞こえていてなんか変な感じだったのだ。シルフさんっていつも大変なんだな。
「ねぇちょっと待ってて。」
僕はスクロールとリンクしたイヤーパッチをポケットから取り出して自分の耳の裏に貼った。
「これでよし!なにか話してみて。」
「わたしの事好き?」
「え!!?いや…なに…を」
あまりに突然で…かなり驚いた。
「だって会ったばかりでこんな親切だし、守ってくれて…だって関係ないでしょ?あなたはその…”リアルの人”だし。」
「ーえ?…君だって”リアルな人”でしょ?こうやって僕と話してる。で…最初の質問。…えぇと、たぶん、その…そうなのかな?そりゃ、会ったばかりで、変と思うだろうし、まだ名前だってー」
「エリサ。わたしの名前。」
「エリサ…そうか。僕は”エリサ”が好きなんだ。」
…あれ?
僕?
モンシナ、まだ効いてるのか?
エリサを見る。
嬉しそうだった。
でも、
少しだけ悲しそうにも見えた。
その理由をエリサが小声で言った。
「いいの?…手も繋げないんだよ。」
「そんな”先”のことは考えてないし。」
彼女は吹き出して言った。
「そんな”先”なんだ。わたしも好き!えーと…」
「ユウ。 人見夕」
「ユウ−よろしく。…わたしのリアルの彼氏さん。」
(続く)