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「なぁ〜美優」「ん?」
「美優のお父さんって何をされてるの?」
「う〜ん、サラリーマンだよ」
「そうなんだ、じゃあ話は合うか……」
「あのね、洋平、そのことなんだけど……」
「うん、お父さんのこと?」
「うん、何? どうしたの?」
「驚かないで聞いてね」
「うん」
「私のお父さん、総務部に居るの」
「え? ウチの会社の総務部?」
「うん」
「えーーーー‼︎ まさか⁈
総務部長、あ〜鈴木部長?
うわっ、名前が同じだ」
「うん」
「えーーーー! イヤイヤ、知らなかった。
えー? マズイよなあ?
いや、仕方ないか……あー! 嘘だろ? 美優、嘘だと言ってくれ〜」
「ホント! それに……お爺ちゃんは専務」
「えーーーー‼︎‼︎」
「ちょっと待って、落ち着け!
美優〜俺は、なんてことを……
知らなかったとは言え……
えーーーー!あ〜昔なら処刑レベルだ〜
どうしよう〜」
「どうして? ダメなの?
そう言われるのが怖くて、誰にも言えなかった。
洋平もそうなの? 洋平なら分かってくれると思ってたのに……」
「あ、いや違う。美優が悪いわけじゃない。
あ、いや誰も悪くない。ただ、びっくりしただけ。
そう、あまりにも想定外の話で、驚いただけだよ、
ごめんな。ちょっと待って、落ち着け、落ち着け。
ふ〜」
目の前には、仔犬みたいに、目にいっぱい涙を溜めて、見つめてる美優が居る
思わず抱きしめた
「ごめん、ちゃんと話してくれてありがとうな」
「うん」グスン
「ありがとう、ちょっと動揺しただけだから、ちゃんと理解する。俺は、美優を愛してることに変わりはないから……」
「ホントに?」
「もちろん、俺が努力する! 頑張るよ、美優」
「うん」
「とりあえず、結婚の挨拶から! 認めてもらえるように頑張る!」
「うん、ありがとう」
「うわ〜すごいプレッシャー大丈夫か? 俺」
「ふふふ」
「美優が笑ってるから頑張るしかないな」
「うん、頑張って!」チュッ
「うん、頑張るよ、うん、頑張るけど……ううう」
むぎゅ〜
──なんてこった……でも、好きになってしまったものは仕方ない。やるしかない!
「なぁ、美優、人事部長も俺たちのこと、知ってたぐらいだから、総務部長のお父様もご存知では?」
「う〜ん、かもしれないね。でも、5年も前の話だと思ってるし……」
「そっかあ〜俺がマレーシアから帰って来て、まさか? と思うよな〜」
「はあ〜どうやって話そうかなぁ〜
なあ、美優、もう他にないよなぁ? 驚くような話」
「うん、大丈夫! もう無いよ」
「お兄様が居るとか?」
「居ないよ、一人娘だって言ったでしょ」
「そうだよな、可愛い一人娘だから、尚のこと、
ヤバイなぁ〜俺、生きて帰れるかなぁ?」
「そんな大袈裟な……ふふ。でも……きっと大変よね〜」
「美優、なんか〜面白がってない?」
「ううん、そんなことないよ。あ、分かった、先にお爺ちゃんに話して、バックについてもらう作戦は?」
「あ〜すごくイイ案なんだけど……お父様を飛び越えてお爺さまに会うわけには行かないなぁ〜」
「分かった、じゃあ私がお爺ちゃんに話すよ!」
「う、うん。大丈夫かなぁ?」
「大丈夫よ、お爺ちゃんは、孫には優しいから……」
「まあ、そりゃあ、そうだけど……なんか姑息な手段に思えて」
「洋平は、関係なく美優が1人で勝手にすることだから……ね」
「う、うん……」
「その代わり、父と話す時の練習をしておいてね」
「うん、分かった」
後日、美優は、祖父母宅へ行った。
会社の帰り道なので、祖父母の好きな芋羊羹を手土産に買って行った。
「こんばんは〜」
「は〜い、あら美優ちゃんどうしたの?」と祖母が迎えてくれた。
「お婆ちゃん、久しぶりに会いに来たよ」
「お〜美優いらっしゃい! 会社でもたまにしか会わないものなぁ〜」
「お爺ちゃん、久しぶり!そうよね〜コレお土産に買ってきたよ〜」
「うわ〜嬉しい、芋羊羹、ありがとう〜」
「ありがとう。なんだ、美優、1人か?」
「うん、ちょっと相談があって……」
「なんだ? 言ってみろ」
「まあまあ、とりあえずお茶でも淹れるわ」
「お婆ちゃん、ありがとう〜」
「どうした? 好きな人でも出来たか?」
「え? お爺ちゃんすごいね! 予言者?」
「ハハハハ、そうだよ」
「よく言うわね、まったく、お爺さんったら……
ね〜美優ちゃんも食べる? 芋羊羹」
「ううん、私はご飯前だからいい。2人で食べてね」
「じゃあ、ご飯作ろうか?」
「ううん、このあと、約束あるし……」
「そうか〜で、どこのどいつだ?」
「お爺さん! そんな聞き方!」
「あ、ううん、良いの、やっぱり、そういう聞き方になってしまうよね〜」
「なんだ? 会社の社員か?」
「うん。だから、お父さんに言う時も、そういう風に聞かれるのかなぁ? って思って……」
「まあ、会社の者なら、そういう風になるな、
で、誰だ?」
「同じ部の最近、課長になった、杉野洋平さん」
「お〜あの若手エリートか?」
「え? お爺ちゃん、知ってるの?」
「まあ、社員のことは、ほぼ把握してるつもりだ。
特に彼は、最近マレーシアから帰って来たエリートだから、良く分かってるよ。課長にする時も私も推したぐらいだから……」
「お爺ちゃん、ありがとう〜」
「いやいや、まさか美優の相手だとは……こりゃあ良かった」
「ホントに?」
「うん、ワシは杉野くんは、やり手だから将来有望だと思ってるよ」
「お父さんは、どう思うかなあ?」
「もちろん、良い方に思ってるだろう。
ただし、社員としてだ。娘の相手となると、そりゃあ、どんなに良い奴でも、皆、敵だから……」
「そんな……」
「付き合ってるのか?」
「うん。マレーシアへ行く前も2年付き合ってて、
帰って来て、また……だから結婚したいの」
「お〜そうか、おめでとう!」
「え? いいのかなあ?」
「もう美優も27だろう? 反対する理由がないよ。
しかも、彼は良い男らしいから……」
「ありがとう、お爺ちゃん」
「おめでとう、美優ちゃん」
「ありがとう、お婆ちゃん」
「ただ、お父さんだけが……」
「まあ、じっくり話せば分かるだろう」
「そうよ、コレを逃したら行き遅れる〜って脅せばいいのよ。なんなら、お父さん、ここへ連れて来たらいいんじゃない? お爺さんが話してくれるわよ」
「どうしても、困ったらワシから話してやろう!」
「ありがとう〜」
「そのつもりで来たんだろ?」
「うん。バレてた? よろしくお願いします」
「お〜可愛い孫のためだからな」
「ありがとうございます」
「ところで、仕事はどうするんだ?」
「洋平は、続けてもいいし、辞めてもいいって、私の好きにしていいって……」
「そっかあ、やっぱりイイ男だな」
「うん」
『良かった、早く洋平に知らせなきゃ』