テラーノベル
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〈終わったよ〉
〈了解〜〉
〈今どこ?〉
〈会社から出る所〉
〈どこで待ってればいい?〉
〈スーパーの駐車場〉
〈は〜い〉
とにかく、誰にも見つからないように……
父に許可をもらうまでは、まだまだ、秘密の交際だから……
珍しく洋平が車だったから、そこから、わざわざ車を走らせて、ようやくお店に入る。
一応、顔見知りが居ないか確認。
「ふ〜外食は大変」
「やっぱり、家が良いなぁ、とっとと食べて帰ろう」
「うん」
「で、お爺さんどうだった?」
ニヤッとする美優
「え? 何?」
「お爺ちゃんね、洋平のこと、すごく褒めてたよ」
「え? 俺のこと知ってくれてたの?」
「うん。課長に推したって……」
「え〜! ビックリ」
「若手エリートとか、将来有望とか、すごく褒めてくれてた」
「うわ〜嬉しい〜」
「だから、困ったらお爺ちゃんが言ってくれるって」
「良かった〜最強の味方だな。有り難い」
「お爺ちゃん、社員のことは、ほぼ把握してるんだって」
「さすが、すごいなぁ〜俺も頑張ろう!」
「うん、良かったね」
「あ〜ホッとしたら、腹減った〜」
「何食べる?」
2人で焼肉を食べて帰った。
「美優、今日は、ウチに来る?」
「うん、行く〜散らかってない?」
「ちょっと散らかってるから片付けて〜」
「え? だから呼んだの?」
「ふふ」
「お邪魔しま〜す。え?」
散らかっているどころか、
綺麗に片付けられていて、オシャレに飾られていた。
「え〜!」
「5月1日、美優と初めて付き合った記念日でしょう?」
「覚えてくれてたの?」
「うん、だから焼肉パーティーに、家呑み!」
「ありがとう〜」
「昔は、5月1日はメーデーだったから、若手は会社から言われて、歩いたんだよね」
「そう、その時、私はこの人、誰だろう? って思ってた」
「俺は、新入社員に可愛い子が居るって思ってた。だから、話したかったから、声をかけて……」
「そうだったね。そして、初日に告白⁈ ビックリだよ」
「ふふ、だって美優のこと、皆んなが可愛いって競争率高かったから、早くしなきゃって思った」
「自信満々だったんだ」
「いや、そうでもなかったけど、堂々としてた」
「ふふ、そうだったんだ。懐かしいね〜」
「美優、これからもよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ふふ」
ぐっと、美優を抱き寄せて
キス
「俺、頑張るよ! 認めてもらえるように……」
「うん、ありがとう。きっと洋平は、今のままでも
十分頑張ってるから、大丈夫だと思うよ。お爺ちゃんの太鼓判つきだから……」
「ありがとう。次は、美優のご両親に、認めてもらいたいから……」
「うん、きっと母は応援してくれるよ」
「そっか〜お父様だよな。とりあえず、初めての挨拶に行くか‼︎」
「本当?」
「うん、真正面からぶつからないと、逃げてても仕方ないから」
「うん、頑張って!」
そして、次の土曜日
父も休みだったこともあり、洋平に会ってもらうことにした。
もちろん、私からは言いづらく、母に頼んで、家に居てもらうようにした。
父は、朝から何も喋らない。
もともと、家では寡黙な人だから、美優は気にしない。ただ、今日だけは、きちんと洋平と話して欲しいと思っていた。
洋平との約束の時間が迫ってきた。
お昼ご飯を一緒に食べようと、
午前11時に来てもらうことにした。
朝から緊張した洋平から、何度もメッセージが届く。
〈緊張しすぎて、全然眠れなかった〉
〈あー早く着きすぎた〉
近くのパーキングに車を停めて、待っているらしい。
〈まだ、30分もあるね〉
〈はあ〜大丈夫かなぁ?美優、助けて〜!〉
〈ふふふふ、大丈夫よ。ありのままの洋平を見てもらいたいから……あなたは、そのままでイイのよ。私が隣りに居るから……〉
〈うん、分かった。10分前には、行こうかな〉
〈分かった。こっちも準備してるから、もう大丈夫よ〉
〈了解〉
かなり、緊張しているようだ。
上手くいきますように〜
また、美優にメッセージが届く
〈やっぱり、余り早く行ってもいけないので、時間ピッタリに鳴らします〉
〈ふふ、さすがね……〉
ピンポ〜ン
「は〜い」母と共に玄関へ
「初めまして、杉野と申します」
「初めまして、美優の母です。どうぞお上がりになってください」
「はい、失礼致します」
美優は、洋平の顔を見る。
目が合った。かなり緊張している様子だから、
ニコッとした。
『大丈夫!』と言わんばかりに頷き、そっと、美優の肩に右手で触れて中に入った。
美優も後に続き、用意された和室へと入った。
母が父を呼びに行ってくれた。
その間中、洋平は無言で集中している。
しばらくすると、父が部屋へ
すぐに2人で立ち上がった。
「はじめまして、杉野洋平と申します」
「はじめまして……かな? こうして、きちんと話すのは……会社では、お噂は|予々《かねがね》……美優の父です。どうぞお座りください」
「失礼します」
──やはり、知ってくださってるんだと思った洋平
先に手土産を渡す。
「お好きだと伺いまして……」
「あ〜お気遣いありがとう。頂戴します」と言って
母に芋羊羹を渡す。
「あら〜ありがとうございます。主人も私も好きなのよ」
と、喜ぶ母に少し和んだ。
「4月にマレーシアから帰国されたんですね?」
「はい、5年間の海外赴任の末、戻って参りました」
「ご苦労様でした」
「ありがとうございます」
「そして、電気事業部の課長に?」
「はい、先日、辞令をいただきました」
「異例の昇進ですね」
「有難いことです」
「おいくつですか?」
「31歳です」
「美優より4つ上ですね」
「はい」
「美優とは、いつから?」
「美優さんが入社された5月から2年間お付き合いさせていただきまして、その後、マレーシアに海外赴任しましたので、疎遠になってしまいましたが、先日帰国し、プロポーズさせていただきました」
「なるほど!……と言うことは5年間、離れていた時は、連絡を取っていなかった?」
「はい」
「それは、どうして?」
「当時、私はまだ未熟でして、お年頃の美優さんを5年間も束縛することが出来ずに居ました。
マレーシアへ一緒に行って欲しかったというのが本音でしたが、美優さんは、当時、常務取締役の秘書という大切なポストが決まっておりましたので、無理に連れて行くということは、会社への損失を考えますと出来ませんでした。が、やはり後悔しておりまして、美優さんを諦めることが出来ませんでした。なので、帰国したらすぐに美優さんとお話させていただきました」
「そうでしたか……美優が今まで結婚しなかったのは、杉野くんのためか?」
「はい、私もずっと彼のことを待っていたから……」
「そうか……」父は、母の方を向いて
「じゃあ、何も反対する理由はないな」
「そうですね」と、ニコニコする母
「まあ、美優ももう《《いい》》歳だし……」
父も案外ニコニコしていた
「失礼な! ほっといてよ」
すかさず……
「改めまして、美優さんと結婚させてください。
まだまだ、未熟者ですが、精一杯、美優さんを大切にします。よろしくお願いします」
──洋平、完璧♡ きゅん
「はい、こちらこそ、|不束《ふつつか》な娘ですが、よろしくお願いします」
「ありがとうございます」
ようやく、ニッコリ笑った洋平
目を合わせて、笑い合う
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