みことはある日の朝、目覚めた瞬間から身体が重かった。
頭がじん…と熱く、視界がぼやける。
「……あれ、なんか……へん……」
昨夜もすちの世話をしながら寝落ちしてしまったせいか、身体が休まっていない。
額に触れると熱い。明らかに発熱だ。
部屋の隅では、まだ幼い姿のすちが小さな手をぺたんと床につき、首を傾げる。
「みこちゃ?」
「…なんでもない…よ……」
そう言いながら立ち上がろうとしたが、足元がふらつく。
すちは慌てて駆け寄り、小さな腕で必死にみことの腰にしがみつく。
「みこちゃ、あつい……!ねつ、あるの……?だめ……!」
みことは床にしゃがみ込み、すちを抱き寄せるが、震える腕に全く力が入らない。
「すち……ごめんね……ごめん、ね……」
熱で涙腺が壊れたようにポロポロと涙がこぼれ落ちる。
止めたいのに止まらなかった。
その涙がすちの頬に落ちた瞬間——
すちも表情をぐしゃっと崩した。
「みこちゃ……ないてる……やだ……やだよ……」
すちも肩を震わせ、みことの胸にぎゅうっと顔を埋める。
「みこちゃ……うわぁぁ……っ」
小さな声で泣き出す。
ふたりはしばらく、弱った体を寄せ合いながら泣きっぱなしだった。
でも、このままじゃいけない。
みことは震える指でスマホを掴んだ。
手が汗で滑る。
画面がぼやける。
でも、助けを呼ばなきゃ。
連絡先から彼を選ぶ。
呼び出し音が一度鳴っただけで、彼は出た。
『みこと?どした?』
その声を聞いた瞬間、みことの堰が完全に崩れる。
「なっちゃん……っ、たすけて……」
震える声。
鼻にかかった泣き声。
言葉にならない甘えと弱さが全部にじみ出てしまう。
電話越しにひまなつのやわらかい息が一つ。
『すぐ行く。みこと、そのまま無理に動くなよ』
「……っ、うん……」
腕の中では幼いすちがまだすすり泣き、必死にみことの服を握りしめる。
「みこちゃ……もう、なかないで……」
涙の音だけが静かに響いていた。
コメント
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すっちーが泣いてるの可愛いすぎる(/ω\)