私は生まれつき心臓が弱かった。
病室の窓から彼と見る花火はこれまでの花火の何倍も何百倍も綺麗に感じた。
誰かと何かをするということが私にとってそれほどまで新鮮で嬉しかったから。
私には”普通”が出来なかった。
普通の恋人なら食事とかデートとか行ってキスとかそれ以上のこととか..出来るんだろうな。
私には出来ない。心臓が弱いから。神様が与えた試練としてはあまりに惨くて辛かった。
彼がこちらを見ている
「ん、なぁに?」
「結婚してくれ、桔梗の人生を俺に下さい」
そう告げれた。
彼をじっと見た。真剣な眼差しだった。
はいと言いそうな私の言葉をグッと飲み込んで言う。
「だめ、あげらんない」
彼は驚いた顔を見せた
「どうして」
「私と結婚したら重荷になっちゃう。柊には幸せになって欲しいの。私以外の誰かと。私は子供も産めないし、病室からもきっと出れない。貴方に迷惑はかけれない。」
涙が溢れて止まらなかった。
心から愛した人をフることは他の何よりも痛かった。痛くて、痛くて、堪らなかった。
「俺は、子供が欲しいわけじゃない。重荷になってなんかない。俺は俺が愛したお前が欲しいんだ。辛い時だって傍にいたい。これからも一生を共に過したい。」
「ベタだなぁ」
正直になることを決めた
「だいすき、私。貴方のこと。世界一愛してる。本当に私のこと責任もって最後まで面倒見てられるの?」
嫌味ったらしく聞いた。
「当たり前だよ。」
彼はそんな私でも受け入れてくれた。
「こんな人、断れないよ。」
頬を辿って彼の手に私の涙がこぼれ落ちる。
彼は私の涙を拭う。
「桔梗、君にはずっと笑っていてほしい。心から愛してる。出会ってくれてありがとう」
ベットから降りてよろつきながら彼の胸に抱きつく。彼の心臓の音が聞こえる。鼓動が早くてそれすらも愛おしく感じた。
「私、柊が好き。もう私をひとりにしないで」 ありったけの感情をぶつけた。それから私たちは 蕩けるような濃厚なキスをした。
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