コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜の校舎は異様な静けさに包まれていた。
天音は自分の席に座りながら、まだ夢を見ているのかと思った。
けれど、机の上に置かれた教科書も、肌に感じる湿った空気も現実を示していた。
「また、あの0時が来たら…」と秋冬が呟く。
十六夜舞は目を閉じて、呼吸を整えていた。
「赤い人が来る…あの恐怖をもう一度味わうなんて、耐えられない」
しかし、それ以外の者はまだ恐怖を受け入れきれていなかった。
「これは悪夢じゃない。現実だ。私たちはループしてる」天音が言った。
「じゃあ、どうやって抜け出せばいい?」敦司が眉間にしわを寄せた。
「赤い人が探してるって言った『カラダ』を見つけるしかないんだ」花乃が急に言い出した。
「でも、どこにあるの?バラバラってどういう意味?」海里は混乱気味に聞いた。
天音は思い出す。
赤い人が現れた瞬間、校内のあちこちに不自然な気配を感じたことを。
「あの子はきっと、私たちの中の誰かのカラダの一部かもしれない」
その時、教室の窓に誰かの姿が映った。
だが、振り返っても誰もいない。
「やっぱり、何かがおかしい」舞がつぶやいた。
「見えないけど、赤い人はどこかにいる」
天音は立ち上がり、仲間たちに声をかける。
「みんなで校内を探そう。もしかしたら、カラダのかけらがどこかに隠されてるかもしれない」
6人は静かに動き始めた。
廊下を進むたびに、壁に赤い手形や血の跡が見え隠れした。
何かが迫っている気配に背筋が凍る。
「気をつけて…」秋冬が低く警戒心を露わにした。
しかし、そのとき、廊下の突き当たりから赤い人のすすり泣くような声が聞こえた。
「カラダ…カラダ…」
6人は息を呑みながら、背中合わせになって逃げ場を探した。
その瞬間、廊下の電気が一斉に消えた。
「うわあっ!」花乃が叫び、誰かがつまずく音。
暗闇の中で、赤い人の冷たい手が誰かの肩を掴んだ。
「離せっ!」海里が叫びながら手を振り払う。
だが、その直後、強烈な痛みとともに、誰かの悲鳴が響き渡った。
天音は懸命に目をこらした。
見えたのは、赤く染まった影と仲間の一人が倒れる姿だった。
「また、始まった…」
絶望の中、天音は心に誓った。
「絶対に、このループから抜け出す」