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 ドラゴは水面(みなも)から顔を出しているナッキと口の中に納まったサニーをまじまじと見つめた。

 どう見ても馬鹿にしか見えなかったが、昔馴染みのヘロンに気を使い、特段何も言わずに視線をヘロンに戻して言う。


「か、仮にそれ程の実力者だったとしても、俺は従う事など出来ない! 判ってくれヘロン…… 捕食者として生き抜く事、それが俺たちがリブラ様から与えられた役処なのだ…… この池に生みつけた子供たちを殺すと言うのなら是非も無い、やれば良いだろう! しかし、我々トンボの高潔な理想と精神だけは、誰にも変える事等出来はしない! それだけは覚えて置くが良い!」


 どうやらドラゴの心は変える事等出来ないらしい、誇り高い依り代だったようだ。


 交渉を続けていたヘロンが一番理解出来たのだろう、ここまで気合で上げ捲っていた肩、いや、翼の付け根をがっくりと落としてナッキに向き直り言うのであった。


「頑固者を説得できませんでした…… このヘロンの力不足で御座います…… 申し訳御座いませんでしたナッキ様王妃様…… 出来ればこのドラゴにも『美しヶ池』、『メダカの王国』の仲間になって欲しかったのですが…… 残念です、済みません……」


「っ!」


「仕方ないよ、ヘロンは頑張ってくれたんだよね? 何を話しているか良く判らなかったけどさぁ、ありがとうねぇ」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ! メダカの王国? メダカって言ったのか、今ぁ!」


「む? メダカ? 当然だろう、我が主ナッキ王は『メダカの王様』なのだからな」


「「?」」


 トンボのリーダードラゴが何を言っているか判らないナッキとサニーは頭を傾げるだけであった。

 しかし、ヘロンの言葉を聞いたドラゴはわなわなしながら言葉を続けたのである。


「め、メダカがいるの、か? 数は? メダカは沢山いるのだろうか? 数百匹とかいたりして? とか、有り得るの、か…… ナイト・ヘロンよ……」


「ん? ちょっと待ってくれよ、ナッキ様、メダカってどれ位いるんですかね?」


「えっメダカ? うーんそうだなぁ、成魚で一万匹位かなぁ? 子供たちも入れればもう少し多くなると思うけどぉ、それがどうしたのおぉ?」


「有難う御座います、おい、ドラゴ、一万匹からどんどん増殖中だそうだ、んで、それがどうしたと言うのだ?」


 ここまで堂々とした感じで一切ブレる事無く格好良かったドラゴがプルプル震えながら弱々しいとも取れる声でヘロンに言う。


「あ、あのー、若し、若しですよぉ…… 僕等がお魚やおカエルを害しないとか約束したら、ってか、誓ったりとかしたらですよぉー、メダカの皆さんが生み出す資源を分けて頂いたりぃ、とか? お願いしちゃっても良いんでしょうかねぇ? げへへぇ~?」


 ん? んん? 捕食者の誇りは? 何やら空気感が急激に変わった感じのドラゴである。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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