レベル4 畠山 里香
こんなところに……子供?何故……? 私は不思議に思うが、3メートルもある扉を急いで開ける。中はまた薄暗い通路だった。だが、奥に半透明のドアがある。恐らく、また倉庫だろう。
その時、
「お願い! 早く起きてよ! おじさーーーん!!」
一瞬、私は耳を疑った。だが、やはりどこかに子供が確かにいるのだ。私は気が付いた。この人型機械は音ではなく。
なにか他のもので、センサーが反応するのだろうと。つまりは、見えないのだ……。半透明のドア付近に人型機械が集まって来た。
「一体! どうしたの!? 大丈夫!!」
私は大声でどこかにいるであろうその子に話し掛けていた。
「あれ?! やったー、ここには人がいるんだ! 女の人だよね! ガソリン男じゃないよねえ! お姉さん! こっちに来て! ここは半透明のドアの奥にある倉庫だよ!」
「わかったわ! そこで、じっとしてて!」
「早く来て!」
私は音では探知できないはずだからと、けれども忍び足で人型機械の間を静かに通り抜けようとした。ゆっくりと歩いていたが、そこで重大なことに気が付いた。
あ、そうだ!
「お姉さん! その機械の目の前! 見える場所に入っちゃダメだ!!」
「私も今気が付いたわ! ありがとう!!」
半透明のドアまで、私は人型機械のセンサーがついた目線をかいくぐるため。すぐさま腹ばいになった。いわゆるほふく前進というやつだった。
人型機械は左右や正面に首を振り警戒をしているが、一向に下へは顔を向かなかった。接触しないようにと、人型機械の下の絡まったコードや足には気をつけて前進する。 私は物音がしても平気なので、盛大に前進する際に服の擦れる音を発していた。 と、その時、たくさんの人型機械が左右を警戒する首の動きを止め。目であるセンサーをいじくりだした。
不気味な音が辺りに鳴り響いた。一斉に人型機械が床を這いつくばる私の方。下方へと向きだした。全ての人型機械の拳銃になっている右手が私を狙う。私は恐怖で目を瞑った。
盛大な音が半透明のドアの方から聞こえた。何か大きなものが倒れた音だった。
「な、何! 何なの!! 大丈夫?!」
黒煙がドアの隙間からこちらまでくると同時に高熱が襲う。
「キャ!」
人型機械はそちらに拳銃になっている右手を一斉に向け発砲した。激しい発砲音が通路一杯に木霊し、私はその隙を突いて、再び通路へと走り出した。半透明のドアから遠ざかってしまうが……。
私は必死だった。仕方がなかったのだ。走りながら、頭の隅で考える。恐らくはあの人型機械は、今度は熱で反応してしまうのだろう。きっと、子供の命とおじさんの命は助からない……。
一体? あの半透明のドアでは何が起きたのだろう?
逃げるのは、卑怯……?
確かにそうかもしれない。
けれども、私には……カギがあった。
…………
だいぶ半透明のドアから遠ざかった。私は白一色の空間を駆け抜けるか、それともこのまま通路を走るか迷った。
そう!
私は西村 研次郎から聞いて知っているのだ。ここレベル4には全ての機械の動力炉があると……。だから、すぐに機械を止めてしまえば……。この悪夢から覚められる!!
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