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アフレコが進んでいく中、入野自由はついに気がついた。宮野真守が静かにしている間も、彼の視線がどこか挑発的で、毎回のセリフの合間に触れてくる。もう、体が反応してしまうことが耐えられなかった。
だが、神谷浩史が静かにスタジオの端に立っているのに気づかず、入野自由は気を抜いていた。
「次は…」入野自由がセリフを言う番になったとき、宮野真守がまた軽く手を伸ばし、入野自由の背中に触れる。その瞬間、入野自由の体がびくっと反応して、甘い声を漏らしてしまった。
「う…っ、マモ…っ!」その声が、どこか必死に抑えたように響いた。
神谷浩史はその声に気づき、じっと二人のやり取りを見つめていた。最初は気づかなかったふりをしていたが、すぐに宮野の手が入野自由に触れていることに気づく。彼の目が冷静に、しかし驚いたように見開かれた。
「ん?」神谷浩史は思わず声を漏らした。「今の、自由…?」
その一言が、スタジオの空気を変えた。入野自由は一瞬だけ顔を赤くして、口を開くことなく言葉を飲み込む。視線を神谷に向けた瞬間、心臓が速く打ち始めた。
「神谷…さん?」入野自由は口をつぐんだが、その顔に焦りが見えた。
「どうした?」神谷浩史は無意識に歩み寄り、静かに笑みを浮かべながらも、目は鋭く入野自由を見つめる。「ちょっと、さっきから変じゃないか?」
「いや、なんでもないよ…」入野自由は必死に笑顔を作ったが、その顔にドキドキする感覚が隠せなかった。宮野真守の手が触れるたびに、その反応がますます抑えきれなくなる。
「ほんとうに?」神谷浩史は、一歩近づき、今度は少し意地悪な笑みを浮かべた。「あ、もしかして、触れられるのが苦手だったりするのか?」
その言葉に、入野自由は目を見開いた。「そ、そんなことないけど…!」
宮野真守は少し肩をすくめながら、意図的に入野自由の肩に手を回し、さらにその反応を引き出すように優しく触れる。「いや、でも自由、なんか声がすごいことになってるよ?」
その瞬間、入野自由はまた小さな声を漏らしてしまう。「んっ、マモ、やめて…!」
神谷浩史はその甘い声を聞き逃さず、顔をにやりとさせた。「ああ、やっぱり。自由、案外敏感なんだな。」
「ちょっと…! 神谷さんまで!」入野自由は、完全に赤面してしまっていた。宮野真守がにやりと笑って、肩をすくめる。
「神谷さんも気づいちゃいましたか?」宮野真守は楽しげに言った。
神谷浩史は、少し考えるようにしてから、ようやく言った。「いや、気づかないわけがないだろう。あれだけ反応してたら。」神谷は、あくまで冷静に、しかしその視線はどこか温かい。
「でも、自由、それが意外と面白いな。」神谷浩史は、少し不意にやわらかく言った。「何で隠そうとしてるんだ?」
入野自由は、宮野真守と神谷浩史の間で、ますます焦る気持ちを抑えられなかった。「違うんだよ…! 本当に、ただ、変な感じがするだけで…」
「ふーん…」神谷浩史は静かに頷き、笑みを浮かべた。「でも、そんなに反応するなんて、実はちょっと楽しんでるんじゃないか?」
「や、やめてよ!」入野自由はその一言にもう耐えきれなくなり、宮野真守の手を強く払いのけると、スタジオの隅に足早に移動してしまう。
宮野真守はその反応を見て楽しそうに笑った。「ほら、やっぱり照れてる!」
神谷浩史はその背中を見つめながら、少し微笑んで言った。「面白いな。こんなに素直に反応するなんて、自由も案外、隠しきれないんだな。」
その後、入野自由は冷静さを取り戻そうと必死になったが、心の中では宮野真守と神谷浩史にバレてしまったことが、どうしても気になって仕方がなかった。