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番外編・研究被験者逆転
スネージナヤ研究棟・実験室。
中央の測定台。
そこに拘束されているのは――
ドットーレ。
ド「随分手慣れてきたな、隊長」
カ「黙っていろ」
カピターノは端末を操作しながら答える。
今日は完全に立場が逆。
⸻
カ「次は触覚反応だ」
ド「……本格的だな」
手袋越しに手首へ触れる。
脈拍測定名目。
だが――
指がゆっくり動く。
ド「必要以上に時間をかけている」
カ「精度を上げている」
ド「クク……」
⸻
次は首元センサー。
カピターノが身を屈める。
白衣越しの体温が伝わる距離。
ド「隊長」
カ「動くな」
ド「そんな至近距離で固定する必要は?」
カ「ある」
吐息が仮面に触れる。
端末が反応音。
ド「どうだ?」
カ「……上がっている」
ド「触られている側の数値か?」
カ「……両方だ」
一瞬沈黙。
⸻
カ「神経反応を追加測定する」
ド「追加、ね」
手首から腕へ。
圧をかけ、反応を確認。
ドットーレの呼吸が少し変わる。
ド「……観察している顔だな」
カ「測定だ」
ド「そういうことにしておこう」
⸻
最後の固定。
胸部センサー装着。
カピターノが手を伸ばす。
白衣越しに触れる。
距離ぜろ
ド「隊長」
カ「……何だ」
ド「顔が近い」
カ「固定のためだ」
ド「手も止まっているぞ」
⸻
その瞬間
――ガチャ。
実験室の扉が開く。
明るい声。
???
「失礼しまーす……って」
空気が固まる。
入ってきたのは――
タルタリヤ。
タ「……あれ?」
視線が測定台へ。
拘束されたドットーレ。
至近距離のカピターノ。
胸元に手。
タ「……何してんの?」
沈黙。
ドットーレは平然。
ド「実験だ」
タ「どんな?」
ド「触覚刺激測定」
タ「へぇ〜」
カピターノは手を離す。
だが遅い。
完全に見られている。
タルタリヤが近づく。
タ「へぇ、隊長が触る側なんだ」
ド「今日は逆転日だ」
タ「それはそれは」
ニヤニヤ。
タ「続けてよ」
カ「終わりだ」
タ「えー?今いいとこじゃん」
ド「私もそう思う」
カ「黙れ」
タルタリヤが測定台を覗き込む。
タ「顔近すぎない?」
カ「測定だ」
タ「脈速かった?」
ド「非常に興味深い数値だった」
カ「……」
タ「ねぇ隊長」
カ「何だ」
タ「触るの、楽しかった?」
完全沈黙。
ドットーレが吹き出す。
ド「クク……答えてやれ」
カ「任務外発言は禁止だ」
タ「任務なのこれ?」
空気を満喫した末席。
タ「ま、邪魔したね」
扉へ向かいながら。
タ「続き頑張って〜」
カ「待て」
タ「なに?」
カ「今日のことは――」
タ「言わないよ」
ニヤッと笑う。
タ「でも顔見たら思い出すかもね」
扉が閉まる。
静寂。
カピターノは手を離したまま。
ドットーレが言う。
ド「測定は?」
カ「……終了だ」
ド「逃げたな」
カ「終わりだと言っている」
ドットーレが立ち上がる。
ド「だが良いデータだった」
カ「……どの項目だ」
ド「触覚刺激時の隊長の反応だ」
カ「……記録するな」
ド「もうした」