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なんかもう何回も見ちゃう、、😭好きです、、💕続きが欲しい、、🥺
叶わぬ恋って辛いですね… 青くんの辛さが伝わってくる 文章力…本当尊敬します‼︎ 連載ブクマ失礼致します。
ああああまじ好きです😭😭小説書くの上手すぎなんですよはみぃさん、、、次回も楽しみにしてます🥺💗
桃赤
青赤
「あの、そいつ俺の連れなんですけど」
ずっとずっと聞きたかった声。
顔を上げるとキッとこちらを睨んでいる桃くんがいた。
「はぁ?何彼氏?意味わかんないんだけどー?」
「ヒロイン助けに来たヒーロー気取り?ウザ〜w www」
「俺ら4人だけど1人で勝てんの??」
煽る男達のうちの金髪の1人がニヤニヤ笑いながら桃くんの前に出てポキポキと指を鳴らす。
いくら桃くんの運動神経がいいとはいえ、人間だ。あの人数相手に勝てるはずがない。
「やぁ、やだぁっ!やめてっ!桃く、」
「チッ、大人しくしとけ」
必死に掴まれた手足をじたばたさせ、彼の名前を呼ぶが口を塞がれて力が抜けてくる。
その瞬間、男が殴りかかった….と思ったら桃くんはその手をひねりあげて後ろにほおった。
「人間の骨ってさぁ….どんくらい力入れたら折れるんだろーね?」
「うぁぁっ….」
そのままグギギと音がこちらにも聞こえてきそうな勢いでそのまま男の腕をひねり続ける彼。
金髪の男が顔をゆがめて悲鳴をあげるとあとの男達も顔を真っ青にした。
「おまえら全員で試してあげよーか?」
そう言う彼は笑っていたが目には光がなかった。
俺を掴んでいた男達は俺の手をパッと離すと颯爽と逃げていく。
「悪かった!悪かったから許してくれっ….」
「は?許すわけねーじゃん」
更に上に上に手を捻りあげる彼に見ていられなくなって震える声で必死に叫ぶ。
「も….やめてっ、桃くん….俺は、もう大丈夫だから」
すると桃くんはハッと我に返ったようにこちらを見て男の腕をぱっと離した、と同時に金髪の男はふらつきながら逃げていく。
….よかった。桃くん怪我してない。
安心したのか怖かったのかボロボロと視界が崩れていく。
あぁ、ダメだな俺は。
桃くんにまた迷惑かけちゃった。
泣いたらもっと嫌われるって分かってるのに涙が止まらない。
彼の綺麗な顔もぼやけてよく見えない。
「はは、ぶっさい顔」
「へ….」
「あのやつらのせいで髪ぼさぼさじゃん」
少しぼやけた視界に桃くんの顔が鮮明に移る。
せっかく綺麗だったのに、とそのままぐいっと顔を掴まれ親指で涙を拭われた。
「赤はほんと俺の事だとすぐ泣くよね」
「桃く、」
困ったように笑った顔にさらに涙が溢れてきてぎゅっと彼の着ている服を掴んでしまった。
「死んじゃうかとっ….おもっ、た….」
「….俺が死んだら悲しいの?」
「あたりまえ、だしっ….」
ふわりと彼に抱きしめられる。
びっくりして悲鳴を上げそうになった。
変わらない大好きなレモングラスの匂い。
もしかしたら夢でも見ているのかもしれない。
青ちゃんと夏祭りに来ていることも、不良に絡まれた俺を桃くんが助けに来てくれたことも、今彼に抱きしめられていることも。
だってこんなあったかいの久しぶりで。
優しい彼のせいでさっき怖かったことも嘘のように無くなってしまうのだ。
───
「こっち、座って」
「え….」
ひとしきり泣いた後、桃くんに手を引かれ近くにあったベンチに座らされた。
そして彼は俺の前に跪くと下駄をぬがせ足のケガを確認してくれる。
「お前….こんななるまでなんで放置したんだよ」
「だ、だって….」
言葉を濁す俺に桃くんは少しため息をついて薄いガーゼみたいなようなものを手馴れた手つきで俺の足に巻き付ける。
「なんで….怪我してるの気づいたの….?」
「俺が何年お前と一緒にいると思ってんだよ」
ぽかんとする俺に少し呆れながらも視線を変えずに答えてくれる。
それが照れくさくて思わず彼から視線を外してぽつりと呟いた。
「ありがとう….桃ちゃん」
彼の動きが少し止まったように気がした。
でもそれはそんな気がしたようなだけで俺の勘違いだったようだ。
やっぱり彼が好きだった。
───
「そういえば夏祭り一人で来たの?」
手当てをして貰った後、桃くんが不思議そうに聞く。
「え?いや青ちゃんと来てて….」
「ふーん….」
何故か不服そうな桃くんに、我に返り慌てて浴衣の裾からスマホを取り出すと、充電が切れているのか反応しなかった。
さぁーっと血の気が引く。
どうしよう、と泣きそうな顔で桃くんを見上げると彼はしょうがねぇなと青ちゃんに電話してくれた。
「….あ、青?…….うん、赤と今一緒にいる…….はは、そんなカリカリすんなって」
青ちゃん….怒っているのだろうか。
優しい彼のことだから俺の事を探してくれていたのだろう。
会ったら土下座しよう、なんて考えて電話の声に耳を傾ける。
「青こっちに向かうって」
「ぁ….じゃあ俺も行かなきゃ」
「バカ、そんな足じゃ動けねぇだろ」
「うっ….」
しゅんと肩を落とす俺に桃くんは少し屈んで背中を向けて手を広げた。
え….?
勘違いだとしたら死ぬほど恥ずかしいが、要は背中に乗れ、ということなのだろうか。
一人赤くなってあわあわしていると少し振り返ってぶっきらぼうに言う。
「ほれ、」
「え?、えっ!?いやいや重いよ!?//」
「いーから、早く青のとこ行きたいんだろ?」
「う….じゃあ、失礼します….//」
そろりと肩に手を置いて近づくと彼の腕が足に回って体が宙に浮いた。
鍛えられた筋肉質な身体に触れて思わずドキッとする。
「もっとちゃんと捕まってないと落とすぞ」
いたずらっぽく言われたその言葉に慌てて彼の首にぎゅっと腕を回すと彼は可笑しそうに笑った。
ゆっくり歩き出すと彼の少し寝癖のついた綺麗な髪が揺れる。
バグバクとなる心臓の音は聞こえてませんように….。
桃くんの背中はいつかのように大きくて頼もしくて小さい頃の事をふと思い出した。
「小さい頃さ、….雨の日に出かけて転んで….大泣きする俺を桃くんがおぶって家までおくってくれたの….覚えてる?」
「あぁwその後怒られて一緒に風呂入ったやつなwww」
「….そこは覚えてなくていいのにっ//」
「また一緒に入る?」
「誰が入るか!!//」
「wwwwww」
桃くんが笑った瞬間、真っ暗な空に花が咲いた。
思わず立ち止まって2人で次々に打ち上がる花火を見上げる。
「きれーだな….」
「うん….」
この瞬間が、彼の温もりが全部全部夢なら覚めないで。
このまま時間が止まってしまえばいいのに。
正直言って彼の気持ちが読めなかった。
俺の事嫌いなはずなのにどうしてここまで優しくしてくれるのだろうか。
どれくらい経っただろうか、花火をぼうっと見つめていると桃くんが朧気に口を開いた。
「赤、はさ….青と付き合ってんの?」
「え?、」
「赤くん!!!!」
びっくりして間抜けな声を出した瞬間、前方から大きな声が聞こえた。
そこには息を切らした青ちゃんが怖い顔で桃くんを睨み付けていた。
そしてつかつかと俺達の方へ歩いてくる。
「….桃くん、僕の赤くん返して」
桃くんははいはい、と呆れた様子で笑って俺をゆっくり地面に降ろして一言はっきり言った。
「こいつ、足怪我してたぞ。お前赤の彼氏ならそれくらい気づけよ」
「っ….」
その言葉に青ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔をして桃くんから俺を抱き寄せ姫抱きにした。
「青ちゃ//俺歩ける、」
「赤くんは黙ってて」
青ちゃんは桃くんを睨みつけたまま俺にピシャリと言うと唇を噛み締める。
….この2人こんなに仲悪かっただろうか。
俺は青ちゃんに抱かれながら、余裕そうに口元は笑っているが目は笑ってない桃くんと、ひたすら不機嫌オーラ全開の青ちゃんを交互に見つめていた。
「赤くん大嫌いって言ってたくせに心配はするんだね」
「散々傷つけてきた癖によく言うよ」
青ちゃんの言葉に空気が一気に凍りつき、心臓が冷えた気がする。
今度は桃くんが青ちゃんを睨みつける番だった。
背景に咲き誇る花火がまるで火花のような….
「…….」
何を言わない桃くんに青ちゃんはくるりと踵を返すと早足で立ち去ろうとしたので慌てて身を乗り出す。
「も、桃くん!」
俺の声に彼が泣きそうな顔をしてこっちを見た。
「あの、色々今日はありがとう!!//」
大きく手を振ると桃くんはびっくりしたように目を見開いた後、優しく微笑んで俺に小さく手を振った。
───
「青ちゃん….その、勝手に….ごめんなさい」
「…….」
青ちゃんに抱かれながら帰り道を歩く。
「お、俺もう大丈夫だよ….?」
「…….」
怒っているのだろう、彼はさっきから何も答えてくれない。
花火はクライマックスを迎えたのかひっきりなしに音が鳴り響いていた。
そのまま俺の家の前で降ろしてくれるかと思ったらそのまま青ちゃんは自分の家に入っていく。
「あ、青ちゃん…..?」
青ちゃんの両親はまだ仕事なのだろう。家の中は真っ暗だった。
間抜けな声で彼の名前を呼ぶことしかできない俺。
「わ、っ、」
がちゃんと鍵の閉まる音がしてまた彼の名前を呼ぼうとした瞬間、玄関の廊下に押し倒された。
びっくりして顔を上げると、そこには苦しそうな顔をした青ちゃんがこちらを見下ろしている。
「青ちゃ….お、怒ってる….?」
「….怒ってる」
「ごめっ、」
「赤くんを軽々しく1人にした自分に怒ってる」
そのまま青ちゃんは片手で俺の両手首を掴み、頭の上に落とした。
バンっと大きな花火の音がして、玄関の窓から光が真っ暗な空間に差し込んだ。
そして青ちゃんの綺麗な顔が影になる。
気づいたらふにゅりと唇に柔らかいものが触れていた。
「あ、青ちゃっ//」
「好きだよ赤くん。ほんと….好きで好きで….おかしくなる」
「っ….//」
「もう待てないよ….早く僕の事好きになって」
また苦しそうな顔で言う青ちゃんに触れるだけのキスを何度も落とされた。
「んぅっ….//……….っっ!!!」
声をあげようと口を開こうとしたのが間違いで、にゅるりと彼の舌が入り込んできてビクンと身体を震わせてしまう。
抵抗しようと手足をジタバタさせるがキスで段々力が抜けていった。
いつの間にか青ちゃんの空いてる方の片手が浴衣に伸ばされしゅるしゅると帯を解かれていく。
そして、お腹から胸元にかけてはだけた肌に空気が触れる感覚がし、青ちゃんに首筋をペロリと舐められた。
「あお、ちゃぁっ//おねが、やめてっ….//」
「黙って」
「んぅ、//」
呂律の回らない声で彼に助けを求めるも、冷たく言い放ち口を手のひらで塞がれた。
それから首筋から鎖骨にかけてちりりとした痛みが何回も身体を駆け抜けていき、息が上手く出来なくてもう何がなんだか分からなくなって涙がポロポロ零れる。
やだ
「僕、青っていうんだ。よろしくね」
いやだ
「赤くんには僕がいるからいいじゃん」
やめて
「泣いてもいいんだよ、赤くん」
怖い
彼が、はじめて怖いと思った。
あのサッカー部の先輩のように、さっき絡まれた不良の男達のように。
全く知らない、人に見えた。
───
我に返った時には遅かった。
気づけばぎゅっと僕を拒絶するように目をつぶってそっぽを向き、大粒の涙を流す赤くんがいた。
浴衣は帯が乱暴に解かれ胸元まではだけている。白い肌にはいくつもの赤い痕がついていた。
慌てて両手を離すと、嗚咽を零して赤くんは泣き始めた。
細い手首にうっすらと僕が握ったせいで痕のできた両手を何度も顔に擦り付けながら。
もう、こんな風に泣かせるつもりなんてなかったのに。
彼を、僕が_____。
これじゃ、アイツらと同じじゃないか。
「ごめんっ….ごめん赤くん」
花火で微かに光の差し込む空間には、僕の謝る声と君の嗚咽がしばらく静かに響いていた。
To Be Continued….
はじめて1年ほどでフォロワーさんがいつの間にかこんなに増えてて….泣
ありがとうございます(´;ω;`)
レントリリーとか過去の作品にまだコメントしてくださる方がいてほんとに嬉しいです