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10 - 第Ⅰ章 地下探索 第9話 古代遺跡とドワーフ

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2024年09月06日

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第Ⅰ章 地下探索 第9話 古代遺跡とドワーフ


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2024 1010 12時07分 投稿

2024 1031 07時21分 一部表記変更


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◆◇◆◇


、、、どこまで歩けば地上に出るんだ、、、


そういえば、ここ数日間ずっと歩き続けて分かったことがいくつかあった。

まずひとつは、あの城塞都市フィルアの中に居たモンスターがどれだけ弱かったか、ということだ。


やはりモンスターの社会にも弱肉強食の連鎖があるようで、生きているモンスターがとても強くなっている。


稀に同じモンスター同士が戦っているところに遭遇することがあったが、その殆どが圧倒的な差で片方が負けていた。


つまり、弱いモンスターは生きていけない、ということだ。

あの城塞都市フィルアの中では大型のモンスターが入り込めない場所が多かった。

これのことで、あまり強いモンスターが居なかったのかもしれない。


豚顔のモンスターにぼろ負けしたあとも何回かモンスターに勝負を吹っ掛けたが、全て返り討ちにされてしまった。


食料は、城塞都市フィルアで何個も確保しておいた乾燥肉を食べるしか無くなってしまった。

調達は、今の俺には出来ない。


ちなみにアルの食べる物はこの乾燥肉で大丈夫なようだ。

初めて乾燥肉を見せた時、目を明らかに輝かせて肉に飛びついてきて、食べ惜しそうに肉をちょっとずつ食べていた。


そして分かったこと2つ目は、俺たちがずっと移動していたこの道は、昔軍事的な通路だった事だ。


数日移動している間に、戦争をしていた様な当時の痕跡がいくつも残っていた。


壁に空いた銃創のようなもの、辛うじて原型を留めている人型の骨、錆びきった剣。


その中に使えるものはひとつも無かったのが残念だった。


それにしても、、と俺は代わり映えのしない真っ暗の通路を見た。


いつまでこの通路は続くんだ。


冒頭にも話した通り数日間ずっと歩き続けているが、何も変化がない。


もう城塞都市フィルアに戻る道も分からないし、歩き続けるしかないんだが。


ちなみに今、アルは俺の背中に背負っている背嚢の中に入って寝ている。

起こさないように移動しないと。


そう思いながらまた歩きづけると、、、


城塞都市フィルアの時と同じように、突然視界が開けた。


そしてそこには、、


とてつもなく巨大な城塞都市、、、ではなく遺跡が広がっていた。


◇◇


巨大な広場、その奥に昔は堂々と聳え立っていたであろう崩れ落ちた神殿。

そして広場を中心に外へと放射状に広がる中世風の、かろうじて原型をとどめている建物の数々。


こんなにも立派な街だったのに、、、フィルアもそうだったが、一体何があったんだ、、、


廃墟となった神殿を前に俺は、その壮大な景色に圧倒された。

かつての栄光が垣間見えるこの遺跡は、今は廃墟と化しているがどこか神秘的な雰囲気が漂っていた。


「これが、古代の遺跡…」


俺は呟いた。広場の中心にある崩れた池からは、まだ水が僅かに流れ出しており、その水面に反射する月光が不思議な輝きを放っていた。


「アル、起きて。」


俺は背嚢を一旦下ろして、中で眠っていたアルを慎重に揺り起こすとアルは眠そうにしながら、小さく「にゃぁ」と返事をした。


俺はアルが起きたのを見ると神殿の内部へと入った。


崩れた神殿の巨大な柱にはそれぞれに奇妙な模様が彫られていた。


「どこかに、使えそうなものがあるかもしれないし、物資を補充できるところでできるだけ補充しておかないとな。暫くここを探索するけど、いいか?」


アルは背嚢の中でまだ眠そうにあくびをしながら、 いいよー というように「にゃぁぁ」と鳴いた。


じゃあ、アルも良いって言っているし、気分転換として遺跡の中を探索しますか。

俺は歩きながら崩れた柱や倒れた石像などを調べていた時、突然かすかな金属の音が聞こえた。

本当に小さい音で、聴覚や視覚が強化された光族ルグナルじゃなかったら聞き逃していたくらいの、かすかな音だった。


、、、少し怖いが行ってみるか。


モンスターではないことを祈ろう。


少し警戒しながら音の聞こえた方向に向かって進んでいくと、岩壁が道を塞いでいた。

そしてその岩壁の上には、巨大な古びた扉が岩壁に嵌め込まれているのが見えた。

扉の上には、ここからだとよく見えないが何かの文字、記号のようなものが刻まれていた。


まさか、ここを登れって言うのか、、?


助けを求めるように背嚢の中でくつろいでいるアルに目を向けたが、アルは何も言わず。

結局自力で登るしかないのか。


試しに岩壁に足を掛けてみた。

普通に掛けれたから、次は手を上の方に持っていってみる。


、、、この後どうすれば良いんだ?


とりあえず手で身体を上に上げよう、と手に力を込めると、ガリッという音とともに手があったところの岩が粉々になり、俺は体制を崩した、


今は地面に片足がついていたから良かったが、下手すると持つところがなくなって地面に真っ逆さまに落ちるとか、普通にありえる。

まじで力加減には気をつけないと、、、


再び足をかけて手を上に伸ばして体を持ち上げる、、、お、できた。

じゃあ次に足を上げて手を伸ばして持ち上げて、、、の繰り返しだな。


そこから先は順調に岩壁を登ることができた。


◇◇


ふぅ、やっと着いた。


俺はずっと背負っていた背嚢を地面におろした。


一体、何分くらい登っていたんだ?

大体体感で30分くらいだったが。

俺はなんとも言えない達成感を堪能していたが、ふと我に返って古びた扉に向き直った。

扉の前の岩壁は岩棚のようになっていて、そこに立つことができた。


さて、気になる扉の中には何があるのかなーっと。

あれ、扉に手をかけて開けようとしたが、何故か開かない。

思いっきり力を込めても、扉が壊れるどころか微動だにしない。


どうやって開けるんだ?


そういえば、こういう扉にはなにか鍵になるような物があったりして、触れたり何かを嵌め込むと開いたりとかしなかったっけ?


あれ、というか、


「この文字、見たことがあるような気がする、、、」


扉の上に書いてある読めない文字を見て突然何かを感じた。

試しにその文字に手で触れてみると文字と扉がわずかに光り、扉が勢いよく開く音とともに、中から冷たい風が吹き抜けてきた。


「ここは、、、」


扉の先に広がるのは、巨大な空間だった。壁には古代の絵画が描かれており、その中央には金色の鉱石が埋め込まれていた。


「一体、この空間は、、、」


「にゃぁぁ!」


俺が立ち竦んでいると、突然アルが警戒するように鳴いた。

気配を感じて俺が背後を振り返ると、通路の奥から何かが近づいて来ていた。


逆光になっていて顔は見えない。

そして音が徐々に近づいてくると、近づいてくる者の顔がはっきりと見えた。

それは、小柄なドワーフのような生物だった。


「異邦の者よ」


ドワーフは俺に話しかけてきた。

手には、そのドワーフの2倍ほどもある大きな斧。そして無精髭が伸びたその顔には驚きの表情と共に、警戒するような雰囲気があった。


「ここに何の用だ?」


ここは正直に答えたほうが良いな。

変に誤解されて攻撃されても困るしな。


「俺達はこの地下で彷徨っていた、ただの旅人だよ。そして使えるものがないか探索していた時に、この扉を見つけただけだ。」


俺の言葉を聞いたドワーフは何か考え込むような顔をして呟いた。


「突然光神と闇神の気配が僅かに増加したから、遺跡荒らしがとうとうここにも来たかと思って来てみたが、、、気の所為だったか」


そんなドワーフの言葉に、俺は興味を持った。


「その言葉から考えるに、あなたはここの守護者のような者なのか?」


ドワーフは一瞬黙り込んだが、口を開いた。


「その通りだ。我はガルードだ。数千年もの間この遺跡と、この遺跡に眠る秘宝を守護してきた。」


「ん、秘宝?それに数千年もの間って、、、ガルードさん、どういうことなんだ?」


気になることが沢山ありすぎるが、一番気になった秘宝のことから聞いてみる。


ガルードは少し考える素振りをした後、再び口を開いた。


「遺跡の中心部の地下深くには、古代の力を封じ込めたクリスタルがあるんだ。秘宝が封印されている秘宝の間までは巨大な迷宮が広がっているんだ。そしてその迷宮を攻略し秘宝の間に辿り着いた、選ばれし者だけがその秘宝を扱うことが出来る、という話を父から聞いたことがある。あと、頼むからさんはつけないでくれ。吐き気がする」


「あぁ、すまない。それにしても、古代の力か…」


欲しい。

俺は瞬間的にそう思った。


「その秘宝があるところまで案内してもらえるか?」


「別に構わないが、、、我が守護者を父から受け継いでから今まで、1000年以上の年月の間に秘宝の間まで到達した者は一人も居なかった。それでも行くのか?」


、、、当たり前だ。


「行く。だが、もし秘宝が俺のものになってもあなたは問題がないのか?」


「問題ない。我ら一族はこの遺跡を守護するのが使命で、そのついでに秘宝を守護しているだけだからな」


、、、普通逆だろ、それ。


「そもそも秘宝は共鳴する者にしか扱えないわけだし、共鳴する者が秘宝を持って行くのは本望だ」


なら、別にいいか。


「じゃあ、早速その秘宝があるところまで案内してくれ。」


「そんなに急かすな。言われなくてもわかっている。」


そう言ってガルードは遺跡の中心部へ歩き出した。

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