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「みんな大丈夫かっ!?」

俺は魔力波で辺りを確認しながら、大声で声をかける。

耳がおかしくて聞こえない……

「聞こえていたらでいい!女王岩蟻の反応はない!みんな穴の中の岩蟻に気をつけて出てきてくれ!」

くそっ。返事があってもわからんっ!

俺は穴を飛び出して待つ。

魔力波に反応はあるから、みんな無事だとは思うけど……

「■★〓◆」

何か音が聞こえたかと思ったら風が吹いて砂塵が晴れた。

これは…魔法、か?


「◆★〓◆■?」

みんないる!けど……

何言ってるかわかんねーよ!

「エリーの魔法か?」

多分ウインド系の魔法を使って砂塵を吹き飛ばしてくれたんだろう。エリーの得意系統だ。

「◆★■★■★!」

「■★★〓◆!」

「何言ってるか聞こえねーよ!」

「「「◆★★〓◆!」」」

くそっ!ミラン以外が、こっちを指差して笑ってきやがる……




穴から出てきた残党を倒した後。

現状を把握する為に話を始める。


「セイは馬鹿なのか?」

「セイくん。耳を塞がないなんてありえないよ」ぷぷっ

「セイさんはおっちょこちょいです!」

「元気を出してください」

どうやら聞こえていなかったのは俺だけだったようだ。

ミラン…俺だけの天使……

あと、エリー。お前にだけは言われたくはなかった。

「もうやめてくれ…それよりどれが次の入り口だ?」

「俺のところにあったぞ。あそこだ」

何も残党が出てくるのをただ待っていた訳じゃない。

次の階層の入り口がどれかわからなかったから、みんなで手分けして探していたんだ。

「よし。こんなところ、とっととおさらばしよう」

「ぷぷっ。みんなが出て確認してた時に・・セイくんだけ・・・ぷぷっ」

「セーナさん。揶揄いが過ぎますっよ」ふっ

ミ、ミラン?今、笑ってなかったか?鼻で。

くそーーーー!

俺は泣きながら次の階層へ向かった。





「やっぱり砂漠か…」

遂に17階層まで来れたのはいいが、やはり砂漠か……

動きづらいから嫌なんだよな……

「迷う心配がないからいいじゃねーか」

「そうだよ。多分この階層は遭難率高いよ?」

まぁ目印なんて何一つないもんな。他の人達はどうしているのだろうか。俺達には転移もあるし魔力波もあるからいいけど。

「とりあえず今日はこの辺りまでにしよう」

「一当てもしないのか?」

「いや、それはしたい。もちろんみんなが良ければだがな」

みんなに聞いたらそもそもここも突破したいそうだ。

だが俺は嫌だ!こういう時は一人でも反対なら進まないべきだ!

うん!言い訳だ!何が悪い!

「じゃあ、当てしたら帰る。右前方に一体の反応があるから行くぞ。

蛇みたいに地中にいるかもしれない。緊張感は持っていてくれ」

俺が言わなくとも、みんなしっかりと確認している。やはり一度失敗したことが活きているな。

エリーには悪いが、あれはあって良かったんだ。お陰で今後のリスクが減った。

もう二度とゴメンだがな。




「あれは…懐かしいな」

俺の視線の先には、過去に見た事がある魔物がいた。

「懐かしいって最近だよね?お爺ちゃんみたいなこと言ってないで、どうするか決めてね」

「それにあの時のとは、色が違いますね。今回は砂色です」

「緑じゃなくてもリザードマンっていうんです?」

試験の時に討伐した魔物、リザードマンだ。だが、ミランの言う通り、その色は違った。


「サンドリザードマンってとこか?聖奈」

すでにライフルを構えていた聖奈さんへ、声を掛ける。

パァンッ

「命中しました。消滅確認」

「どうやら保護色のような見た目だけど、強さはリザードマンと変わらないかな?」

「少なくとも耐久力は同じだね。砂の中に隠れてなくて良かったよ」

「おい。即死させたら強さがわかんねーだろ?多分この階層でもアイツらを大量に倒さなきゃいけねーんだ。対策は?」

…しまったな。いつもの癖で。まぁ銃でやれるのがわかったからええやん?

「聖奈でも倒せることがわかったから良しにしよう。対策は外で練ろう。帰るぞ」

今日はもういいだろ。相手も把握できたしな。




帰った後、俺は相変わらず荷運びをして過ごした。

聖奈さんは王都の店に。ミランとエリーとライルはエトランゼの冒険者組合で情報収集するとのこと。





そして夕食後、リゴルドーの家で食後の話し合いに。

「サンドリザードマンについてですが」

おっ!適当に付けた名前だったけど、そのままだったか。それとも翻訳のお陰かな?

「固有魔法を使うみたいです」

「固有魔法?」

聞き慣れない言葉に聞き返した。

「それは私が説明します」

魔法博士エリーが教えてくれるみたいだ。

「固有魔法とは、風系魔法、水系魔法、火系魔法などではない、その種族のみに発現した魔法のことなのです。ちなみに人は魔力系魔法、又は無系魔法という固有魔法があります。

サンドリザードマンは砂系魔法ですね。ちなみに岩亀の魔法は人と同じ無系魔法なのです」

「ん?固有魔法はその種族だけ・・のじゃないのか?」

「いえ。元々はそのつもりで付けた名前らしいですが、後から他の種族でも発現していた事がわかったモノもあるので、あくまでも特性なのです。その種族だけ・・のモノではないです」

紛らわしいな…じゃあ特性魔法でええやん……

トゲアリトゲナシなんとかみたいやんけ……

「固有魔法についてはいい。ついでに聞くけど、転移魔法や魔力視・魔力波はどんなカテゴリーなんだ?」

「カテゴリーとしては無系魔法でしょう」

「時空系とかじゃないのか?」

「時空?よくわかりません」

空間系でもないのか?

「よくわからなく、はっきりと系統が絞れない魔法は、全て無系魔法の扱いになります。岩亀の魔法は岩を飛ばしてくるので無系なのです。サンドリザードマンは砂を生み出す事が出来るので砂系なのです」

なるほど?岩を生み出せば岩系になるで合っているのかな?

まぁ実際の所はわからんよな?

地球の科学力で見れば、水魔法ももしかしたら大気中の原子や分子を結合しているだけなのに、こちらの科学力では生み出しているように見えているだけかもしれんし。

頭痛くなるからやめだ、やめっ!

「わかった。それでサンドリザードマンはどんな攻撃をするんだ?」

「攻撃は普通の打撃系です。時々砂を操るみたいですが、所詮砂なので目眩し程度で大した攻撃力はありません」

「え?じゃあ、リザードマンと変わらない?」

魔法講義が終わるとまたミラン先生の説明だ。

雑魚じゃん。まぁCランク試験に使われる程度には強いけど。

「魔法は主に攻撃ではなく防御に使います」

「防御?」

「はい。こちらの攻撃時に身体を砂に変えます」

それ無敵じゃん?

「どうやって攻撃を当てるんだ?そもそも聖奈が撃ったときは普通に倒せたぞ?」

「それは視認していなかったからですね。敵がこちらの攻撃を確認した時に、魔法で砂になるようです。

サンドリザードマンも攻撃する時は実態なので、他の冒険者はその時にカウンターとして攻撃を当てて倒すみたいですよ」

なるほどな。

「フレアボムとかで吹き飛ばしたらどーなるんだろうな?」

「ライル。是非試そう!」

「面白そうだね!RPGは勿体無いから魔法で吹き飛ばそうね!」

大人達三人が、砂になったリザードマンを吹き飛ばしたらどうなるのか、興味津々で話していると・・・

「この人達はもしかしてアホなのです?」コソコソ

「エリーさん。もしかしてではありません」ゴニョゴニョ

うん。何も聞こえないな。

だって、ダンジョンは浪漫と夢の国なんだぜ?

もしかしたらネズミ人間がいるかもしれないしな!






翌日。17階層にチャレンジすることとなった俺達は、サンドリザードマンを捕捉していた。

「俺が攻撃する素振りを見せるから、砂になったら撃ってくれ」

「おう!間違えて逃げ遅れるなよ?」

俺達(大人組)は結局好奇心に負けて、サンドリザードマン(砂状)を吹き飛ばすことにした。

「行ってくるぜ」

ライルは足元が砂地とは思えない加速で、サンドリザードマンに接近した。

「避けろよぉ!」

ブォンッ

声で注意を引きながら、大ぶりの一撃をサンドリザードマンへと放つ。

すると、サンドリザードマンは地面の砂漠へと溶け込むように、砂へとその形態を変えた。

「っ!!砂になったぞ!」

見えてるよ!

『フレアボム』

俺から放たれた魔法はかなりの速度で砂地へと向かう。ライルは消えるように、その場から離脱した。


ドゴーンッ!


辺りは砂が舞い、何も観測出来なくなった。


砂が落ち着いた頃、ライルが戻ってきて一言。

「どうなった?」

「さぁな。何も変わらん。というか、魔力波に反応がないから、死んだのだろう」

見た目はただの砂漠だが…ホントにただの砂漠だった。

「次は砂になった時に魔力波で追ってみない?」

「そうだな。その場の砂に反応があれば地面に向けて攻撃すれば倒せるかもな」

うん。初めからそうすれば良かった。



結果から言おう。

サンドリザードマンが砂になると、よく探せばその砂の中に魔石が残り、それを破壊すると倒せることがわかった。

「じゃあ、何も収穫出来ないということですね」

「そうだな…砂になる前に倒すしか魔石を手に入れる方法はないな。…いや、魔石をそのまま拾えば…」

どうなるんだ?

「やめましょう!もういいです!こんな砂鱗なんてどうでもいいです!」

ついにエリーがキレた。

「わ、わかった。よし!このままここを突破するぞ!」

「そ、そうだね!もうっ。セイくんがどうしてもって言うから!怒られたじゃないっ!」

「そうだ!セイが悪い!悪かったな二人とも。セイを殴ってもいいぞ」

ひ、卑怯な…全部俺のせいかよ……

まぁさっさとこの砂漠は突破しよう。動きづらいからな。





「なぁ」

俺達の眼下にはサンドリザードマンがウジャウジャいる。中心には洞窟の様なモノも見える。

ここは周囲より少し高くなっている砂山の頂上だ。

「なんだ?」

「あそこが次の階層の入り口だろ?無理矢理突破すれば戦わずに済むぞ」

いや、そりゃライルだけだろ…俺も頑張ったらいけるけど、他三人は置いてけぼりだぞ。

「ライルくん。それは私達を置いていくってことかな?」

「そうです!」

「い、いや、セイがそうしようかって…」

また俺のせい・・かよ!セイ・・って名前やめよーかな……

「まぁここからフレアボムとRPGを撃ち込めば倒せるだろ。

俺とエリーで魔法を、ミランはRPGを頼む。ライルは手榴弾だが…ここから届くか?」

高さはこちらが10mくらい高いけど、敵陣まで距離が150mくらいある。

「届くだろ」

そうか。

「私は!?」

「いや、聖奈にもちゃんと役割があるから。

聖奈はサンドリザードマンキングと思われる洞窟前の奴に対物ライフルをお見舞いしてくれ。撃ったら砂が飛んでくる前に仕舞うからそのつもりでな」

銃に砂塵は天敵だからな。

メンテナンスは毎回しているが、昨日は二人の腰に付けていた銃に砂が噛んでいたから、メンテナンスが大変だったようだ。


全員から返事を貰った後、指示を細かく出した。


「俺は左側に撃ち込む。エリーは奥の方に頼む。ミランは洞窟手前だ。ライルはさらに手前に頼む」

「おう!」「「はいっ!」」

「同時に撃つぞ!砂になられたらわからなくなるからな!俺達の詠唱の終わりにみんな撃ってくれ!」


さあ!爆撃の時間だ!





〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓



聖奈「全部セイくんのせいだから」


エリー「ええっ!?そうなのです!?」


聖奈「そうなの。エリーちゃんが猫耳と尻尾をつけなきゃいけないのは、セイくんの趣味だからだよ」


ミラン (それは流石に無理が…)


エリー「では仕方ないです。私が似合いすぎるのが罪なのです」


ミラン (なかったですね)


聖奈「デュフフフッ」(聖くんごめん。でも、抗えないの…)




聖の好感度は自動的に下がっていきますが、この小説の評価は上げてください!なにとぞっ!!

〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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