「あぁ、うん。あり、がとう」
彼女はなんとなくオレに流されてそんな言葉を言う。
ありがとう、って。
別にあなたが言う言葉じゃないし。
まぁそんなとこも可愛いんだけど。
「他の男のことで酔ってる時ってのも気に食わないし」
そう。オレ以外の男のことで酔いつぶれて。
その勢いに流されてとか絶対オレも嫌だし。
そんな弱ってる時につけこむ程情けない男じゃない。
実際はそれがきっとオレの欲望を抑えてくれたのかもだけど。
例え酔っていたとしても、どんな時も、これからはあなたの頭の中をオレでいっぱいにしたいから。
「それ・・は、そうだけど違くて。ってなんで知ってんの?」
「あぁ・・・。美咲さん、から聞いた」
「美咲か・・・」
「そりゃあんな酔いつぶれてたら理由気になるでしょ」
どうせならオレのことで酔いつぶれてくれてたら良かったのに。
あなたがきっと思い出したくないように、オレもあんなツラい思いをしているあなたを、あの時を、もう思い出したくはないから。
だけど、どんな理由でもどんな状況でも、多分オレはあなたと同じ時間を一緒に過ごす度に、この気持ちが大きくなっていくだけ。
「全部・・聞いた・・?」
彼女はさすがに知られたくないのか、恐る恐る不安そうに尋ねる。
「ん~まぁ、なんとなく・・・」
って、あなたは知らないけれど、オレはずっとその時のことも、相手も知ってるんだけどね。
「そんなに・・その彼のこと、好き、だったの?」
思わず不安が隠し切れなくて彼女に尋ねてしまう。
「そんな酔いつぶれるほど今も忘れられないとか?」
本当のあなたの気持ちをオレは知りたい。
「・・・それは、ない」
「まさかヨリ戻すとかじゃないよね?」
「絶対ない!!」
すると、そこはすぐにハッキリと言い切る彼女。
「なら良かった」
そしてさすがに安心して素の反応をしてしまう。
本当はこの瞬間でもそいつのことを考えてるのが気に食わないのに。
オレの部屋で誰のこと考えてんの?
オレだけ見てよ。
正気に戻った彼女を見ていると、今度はまた強気に攻めたくなってきて。
ベッドに座っている彼女が動けないように、ゆっくり彼女の元へ近づく。
そしてベッドに腰掛けて、彼女の顔のすぐそばまで自分の顔も近づける。
「今はオレにドキドキしてもらわなきゃ困るし。他の男に邪魔されたくない」
そして、彼女に意識してほしくてストレートな言葉を伝える。
オレにドキドキしてよ。
オレをちゃんと見つめて。
他の男のことなんて考えずに、オレのことだけ考えて。
「よそ見出来ないように、今オレのモノにしてもいい?」
あぁ、マジもうこんな状況限界。
今すぐオレのモノにしたい。
「・・・はぁ!?」
酔ってない正気でお互いの同意の元でなら問題ないでしょ。
「何もしないって言ったくせに!」
「それはさっき寝てた時だけであって、今は全然違う」
寝てた時はオレは十分我慢した。
一切手を出さなかった。
「今、このままどうにかしてもまったく問題ない」
だから、今あなたがその気になってくれさえすれば。
「いや!ちょっと待って!意味わかんないから!」
オレは気持ちが抑えられなくて、そのままベッドの後ろに彼女を押し倒そうとする。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!