「ピッチ早すぎだぞ…」
その日、珍しくシンがお酒を呑んでいた。
普段は湊の介抱役に徹しているシンなのでこんな光景はあまり見ない。
だから尚さらシンが顔色一つ変えずにグラスを空にしていく様を見ていると心配になる。
「たまにはいいじゃないですか…」
そう言ってまたグラスを空けた。
「お前自分の限界わかってねぇだろ?」
「わかりません。つい最近呑めるようになったんで。でも、今日は湊さんが介抱してくれるんで安心して限界まで呑みます」
「誰が介抱するなんて言ったんだよっ」
「あっ…空になったんで作ってきます」
そう言って立ち上がるとキッチンに向かう。
もう何杯目だよ……。
一切顔色が変わらないシンの限界がわからない。
テンションもいつもと変わった様子はないし……。
あれこれ考えていたが、暫く経っても戻らないシンを心配して湊もキッチンへ向かう。
「どうした…?」
椅子に座るシンの姿があった。
「シン…?」
肩に手をかけると
「湊さん…連れて行って…」
「酔っ払ったのか?」
「……」
「シン?」
「ベッドに連れて行って…」
「ベッドにって……ったく…しょうがねぇな…」
湊はシンの腕を掴み立ちがらせる。
「気持ち悪いのか?」
黙ってシンが頷く。
シンの部屋のベッドに寝かせると
「だから言ったんだ…ばか。呑み過ぎだって…」
立ち去ろうとする湊の腕をシンが掴む。
「え……っ」
「行かないで湊さん」
その声ははっきりとしていて、さっきまでぐったりしていたシンとは明らかに違った。
「お前…気持ち悪いってさっき…」
「アルコールは一滴も入れてません」
「はぁ?!じゃあさっきの…」
「ウソです。こうでもしなきゃ、あんたは俺の部屋に入ってきてくれないから…」
「酔ったふり…してたって事か?なんで?」
「あんた最近冷たいから…」
「冷たいって」
「何度誘っても軽くあしらうし…」
「それは…お前が課題とか忙しくしてたから…」
「俺は毎日湊さんに触れたいし…もっと近くで湊さんを感じていたい。湊さんは違うんですか……?」
「俺は…お前の身体を心配して……」
「身体より気持ちを…心の中を心配してくださいよ。どれだけ傷ついていたと思ってるんですか…?」
「…………俺だって………俺だって傷くらいついてるわっ!お前が平気でウソついて…人がどんだけ心配したかわかってねぇだろっ!ばかっ!!」
「………ごめん…湊さん…」
「許さねぇ」
「本当にごめん…」
「ぜってぇ許さねぇ!」
「……」
「一緒に寝るだけなんて…そんなんじゃぜんぜん足りねぇからなっ!!」
「えっ……」
「今夜は………覚悟しとけよ……ばーか……」
【あとがき】
気がつけばフォロワー様が200人!
まだ書き始めて半年も経たない未熟者の作者ですが…大丈夫ですか……?
ただただ、しんみな 好きの変わり者です。温かい目で見守っていただけると嬉しいです♪
お礼を兼ねて取り急ぎですが、簡単にお話書かせていただきました。
ほっこり楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、また次回作でお会いできますように…
全力のお礼を込めて……
月乃水萌
コメント
9件
最高すぎます🥰 この続きがみたくなっちゃいました💕笑