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彼女は消灯した自室で一人、憔悴しきっていた。
机にあるのは、あどけない笑顔をした娘の遺影。
彼女はシングルマザーだった。一人娘に限り無い愛情を注ぎ、育ててきた。
幸せだった日々。だがある日、突然それは終わりを迎える。
『行ってきます』
それが高校二年生になる愛娘の、最期の言葉だった。
元気に学校へ登校する、何時も通りの朝。
だが、その日は帰りが遅かった。というより、遂に帰って来なかった。
そして翌日、彼女は遺体で発見される事になる。
遺体は集団暴行の跡があった。彼女は凌辱された後、無惨にも殺害されたのだ。
この事件で、無職の少年三人が逮捕された。
犯行理由は『たまたま目について』――それだけだった。
彼等は傷害事件等の前科も多々あったが、未成年という理由と、死亡した被害者が一人という点で、当然ながら死刑にはなる筈もなかった。
判決を聞いて、彼女は愕然とした。何故何の罪も無い娘が暴行の果てに殺され、その張本人たる彼等は、のうのうと生きているのか? しかも法によって守られ。
彼等は法廷で笑っていた。反省の素振りすら、見出だす事は出来なかった。
――許せない。殺してやりたい。
だが、それは叶わぬ事。
“では、この行き場の無い想いは、どうすればいいの?”
その時だった。突然、机上のパソコンの電源が点いた。
これは高校入学祝いに、娘に買ってあげたもの。
彼女は食い入るように、電源の入った液晶画面を凝視する。
其処には赤い文字で――“あなたの恨み、晴らします”と表示された。
晴らしたい、娘の無念を。例え悪魔に魂を売ってでも――。
彼女は直感で理解した。これはそれを叶えてくれるものだと。
彼女は震える手で、マウスを操作する。
その震えは恐怖によるものなのか、それとも――歓喜の奮え?
彼女の瞳は妖しく輝き、口角はつり上がっていく。
もう、人間の顔はしていない。
彼女が選んだ道は当然――
…
*
――ねえねえ、狂座って裏サイト知ってる?
※昔流行ったみたいね。でも、ずっと前に閉鎖したんでしょ?
※それがさ、噂ではまた最近活動したって。
※えっ、マジ?
※殺したい人を殺してくれる殺人代行サイト……。
※恨みを晴らしてくれるんじゃなかったっけ?
※どっちでもいいよ。もし本当なら、私は頼みたいなぁ。
※ええ! アンタ殺したい人でもいるの~?
※いっぱいいるじゃん。アイツむかつくし~。
※言えてる~。殺せるもんなら殺したいよね~。まあ自分の手は汚したくないけど。
※でも、それが本当なら、どうやってそのサイトにいけるんだろうね?
……なんでも、本当の恨みを持っていれば、向こうからやってくるらしいよ――
※Eliminator~エリミネ-タ-(完)