出勤準備をしているとスマホが鳴ったので出た。
「もしもし龍也。」美優の声だった。
「どうした?」
「師長から釘を刺されてしばらく会えないんだ今日から看護実習だし…。」龍也は言葉を失ったが「そうか頑張れよ。」と言って電話を切った。
「美優また年上の彼氏に電話してたの?」
「別に良いじゃない。」美優は廊下を怒りながら歩いた。
「お前元気ないな。」
「ん?そう見えるか?」龍也は強がっていたが何処か上の空だった。
「失礼します齋藤さん今日から実習で来ました美優ですよろしくお願いします。」
「可愛い名前だねぇ。」初老の女性が朗らかな笑みを美優に向けた。
「お疲れ様でした。」
「もう帰るのか?」龍也は定時よりも少し早めに会社を出た。
頭の中は美優の事で1杯だったからだ。
「師長実習記録お願いします。」
「はい分かりました。」一方美優は実習を終えて師長に記録を書いてもらっていた。
「美優実習終わった?」と龍也から電話がかかってきた。
「うん終わったよ。」美優は小声で答えた。
「師長の事気にしないで飯食いに行かないか?腹減っただろ?」
「ううん明日も実習だから。」
「そんなに師長の目が気になるのか!」と龍也は怒鳴ってしまった。
「今大事な時期なの!」美優は涙声で反論した。
「すまないじゃぁな。」スマホを閉じて机を叩いた。
師長は電話のやり取りを見て自分を悔いた。