バチッ
「……っと。
こんなもんかな? かんてーっ」
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【高栄養飼料(S+級)】
栄養価がかなり高い飼料。
肉質に高い補正を得る。
※追加効果:肉質×2.0
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……よーし、ちゃんと出来たね!
宿屋に戻った私は、依頼品を早々に完成させることに成功した。
提供された作り方によると、本来は時間が1か月くらいみたいだから……納品するのはいつにしようかな?
真面目に1か月を待っても良いんだけど、そうするとその間は依頼を受けられないかもしれないし……。
……それなら気にしないで、さっさと納品しちゃっても大丈夫かな?
アイテムボックスの中は時間が止まるけど、逆に速めるようにも出来るんだよ……みたいな説明で、納得してもらえないだろうか。
私はS-ランクの錬金術師なのだから、全世界の上位20人には入っているわけで。
それくらいの実力者なのだから、そういうことも本当にあるのかもしれない――
……そんな風に思わせられたら勝ちだよね。
「さて、もう1件もやっちゃおう。まずはかんてーっ」
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【思い出の指輪(B+級)】
熟練の職人が技術を注いで作った指輪。
かなりの年月を伝えられている
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私は錬金術師ギルドで受け取った指輪を鑑定した。
なかなか良さそうな逸品である。
そして、今までアーティファクト錬金をやったことが無いことも確認できた。
それじゃいってみよう! れんきーんっ。
バチッ
そしてかんてーっ。
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【思い出の指輪(S+級)】
熟練の職人が技術を注いで作った指輪。
かなりの年月を伝えられている
※錬金効果:精神力が1%増加する
※追加効果:精神力が1%増加する
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……よし、これもおっけーかな?
これ以上良いものと言われると、ステータスの好き嫌いとか、特殊な錬金効果狙いになってしまうから……。
当然ながら好みが分かれてくるし、ひとまずはここまでにしよう。何か言われたら、もう一度挑戦してみるということで。
「……というわけで終了っと。5分も掛からなかったね」
素材を提供してもらえる以上、あっさりと終了することは約束されている。
いくらS-ランク以上の依頼であっても、どれだけの難易度があっても、私には関係が無いのだ。
「さて、夕食の時間までにはもう少しあるか……」
ルークとエミリアさんはまだ戻ってきていないようだし、ジェラードやリーゼさんは部屋が遠いから、いるのかどうかは分からない。
無駄足になっても嫌だから、とりあえずゆっくりすることにしよう。
そういえば魔法の練習……マナの集中と操作も練習しないといけないか。
王都に着いてからは夜中に少しやってる程度だけど、出来ることは隙間時間にもやっていかないとね。
ルークも毎日練習しているようだし、そういう姿勢も負けてなるものか。
……うん。うちのパーティは真面目くん揃いで素晴らしい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いつもの時間……19時前になると、ルークとエミリアさんが戻ってきたようだった。
私が部屋から出ると、ちょうどルークも部屋から出るところだった。
「おかえりー」
「ただいま戻りました。アイナ様は、早くに戻られていたんですか?」
「うん。戻ってきていろいろと……ああ、ここら辺はあとで話そうかな」
「……私もいろいろありましたので、のちほどお話を」
そんな話をしていると、エミリアさんも部屋から出てきた。
「お二人ともお帰りなさいー。お腹空きました! 早く食堂にいきましょー」
「あー、日常を感じますね。何だか落ち着きます」
エミリアさんの言葉を聞いて、ついつい落ち着いてしまう。
王都やら錬金術師ギルドやら、新しい環境は何かと疲れるものだ。
でもこの三人が集まると、気持ちがとても楽になる。
ああ、ジェラードを入れて四人になっても楽になるかな。
……アドルフさんを入れて五人だと……どうだろう。
「付き合いも長くなってきましたからね。
私もこのメンバーだと落ち着きます」
「わたしもです! ささ、ご飯ご飯♪」
うん。そういうところが落ち着くんですよ、エミリアさん。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
食堂で注文をしてから一息つく。
ジェラードとリーゼさんはいないようだった。
「……さて、今日あったことでもお話しましょう!」
「そうですね、アイナ様からどうぞ」
「え、私から確定なの?」
「やはり最初はアイナさんでしょう!」
「は、はぁ……」
私としては、毎回最初で固定されるとそれはそれで嫌なんだけど……まぁいいか。
「えっと、今日は錬金術師ギルドで調べものをしてきました。
成果はぼちぼちだったけど……でも、欲しい情報は少なかったかな?」
旅の目的……神器を作ることはまだ話していないから、詳しい話は省略だ。
賢者の石で1冊、神器作成で1冊の合計2冊。内容は伏せながら、探している本の数自体が少なかったことを伝えた。
「――というわけで、王立図書館の資格が本当に欲しくなりましたね。
エミリアさんに全部覚えてきてもらうわけにはいきませんし」
「さすがに本を1冊丸々というのは、無理ですね……」
「とりあえず資格に繋がらないかな、ということで。
錬金術師ギルドの高ランクの依頼を、全部で3つ受けてきたんですよ」
「3つもですか? それって時間が掛かりそうです?」
「あ、いえ。1つは納品済みで、2つはさっき作り終わりました」
「「さすがです」」
「というわけで、その2つもあとは納品だけですね。
……ああ、そうだ。錬金術師ギルドの食堂で、美味しいお肉があったんですよ」
「え? お肉?」
「ププピップという豚らしいんですが、錬金術で研究しているそうで」
「へー、錬金術ってそんなこともしているんですねぇ……。
なるほど、一般のお店であればわたしの耳にも入ってきそうですけど、錬金術師ギルドだけとなれば……ぐむむ」
「ギルドに所属していない人でも食堂は使えるそうなので、今度行ってみませんか?」
「ぜひとも! 明日ですか?」
「それは早すぎです」
「ぐむむ……」
「まぁ、機会があったら早めに行ってみましょう。
私はそれくらいかな? 図書室は本を探すのと読むので大体終わっちゃいましたし」
「――失礼します。お食事をお持ちしました」
ちょうど話の切れ目に、注文した食事が運ばれてきた。
狙ったものなら大したものだ。
「それでは次は、わたしがお話しますね!」
えい、とお肉を一切れ口に入れてからエミリアさんが話し始める。
「わたしは大聖堂で、自分の部屋を片付けてきました!
手前の部屋は、もう大丈夫ですよ!」
……レオノーラさんと同じ間取りであれば、エミリアさんのところも2部屋あるのだろう。
手前の部屋は大丈夫で、きっと奥の部屋はダメのまま……。
というか、奥の部屋に色々と詰め込んだんだろうなぁ……。
「それでは、次に大聖堂に行ったときにお邪魔することにしましょう。明日にしますか?」
「ぎゃふん」
「アイナ様、早すぎですよ」
「そうかな?」
「……えぇっと、あとはスケジュール的なお話をしてきました。
大司祭様から、王様への謁見は3日後の午前と伺ってきましたよ」
「わ、結構早い」
今日から3日後の午前ということは、明日と明後日の中2日があって、その次の日になるよね。
そう考えると、やっぱり時間は無さそうだ。
「それとレオノーラ様と装飾魔法の話をしてきたのですが……。
『ちんたらしてるんじゃないわよ! 明日で良いわね!』と、押し切られてしまいました……」
「おおう、さすがレオノーラさん、容赦が無い……。
明日なら私は問題ないけど、ルークはどうする? 一緒に教えてもらう?」
「そうですね、私はまだマナの操作ができませんので。
レオノーラさんにはご迷惑をお掛けできませんし、いつかアイナ様に教えて頂くことは可能ですか?」
「私は大丈夫だけど……。うーん、それじゃそうする?」
「レオノーラ様は気にしなそうですけどね……。
わたしからは以上です! 大体はお掃除でしたので」
そう言うと、エミリアさんは視線をルークに送った。
「では次は私の番ですね。
……はぁ」
む?
ルークの話が溜息から始まるなんて、ずいぶん珍しいね?
一体、何があったのかな……?
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