「…ごめん、こんな時間に呼び出して。」
「大丈夫だよ、まだ起きてたし。」
時刻は深夜3時。
そろそろ寝ようかとベッドに潜り込んだところで、携帯が鳴り、急いで来た。
何時だろうと、どこだろうと、行かないなんて選択肢はおれにはないから。
活動休止期間に入り、久しぶりに会った元貴は明らかにやつれていて、目の下には大きなクマが出来ていた。
「眠れなくて。」
ソファーで小さくなっている元貴の横に腰掛ける。
大きいソファーなのに間は空けずに。
元貴も少しでもおれとの間に隙間が出来ないように、ピッタリとくっついてくる。
それがおれたちの”普通”。
お互い何も言わない。
ただ、お互いの体温を感じるだけ。
「……若井は、居なくならないよね…?」
しばらくの沈黙のあと、元貴が消えそうな声でそう呟いた。
「何年一緒に居ると思ってんの…おれはずっと元貴の隣に居るよ。」
人生の半分以上一緒に居るのに、今更離れる訳なんてない。
…絶対に。
「ありがと。」
元貴はそう言うと静かに目を閉じた。
長い睫毛が濡れている気がしたけど、気付かないふりをした。
胸になにかが込み上げてくる。
これが情なのか愛なのか、
そんなのどっちでもいい。
だって、おれが元貴の隣に居る事に変わりはないないんだから。
だから、今はまだ気付かないふりをしよう。
今はただこの体温を感じていたいから。
-fin-
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