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イリスの魔眼により、フレアとシンカに催眠を施した。
「では、催眠状態を解きます……。しかし、それでも刷り込まれた暗示は今夜中は残り続けることになります……。いいですね? 3、2、1……」
0になった瞬間、シンカとフレアはハッとする。
「あれ? 僕は一体何をしていたんだ? 確か……イリスさんにドラゴンの姿を見せつけられて……」
「ええっと……私、今まで何か変なことを口にしなかったかしら?」
シンカとフレアが慌てる。
「うむ。特に何も言ってなかったと思うが……」
余は適当にはぐらかす。
「そ、そうよね……? うん、きっと気のせいね!」
「う、うん! そうだよ! 気のせい気のせい……」
シンカとフレアはそう言いつつ、少し動揺しているようだ。
魔法抵抗力が高い彼女たちのことだし、イリスの魔眼で催眠状態に陥っている間の記憶も少しだけは残っているのかもな。
「まあよい。とりあえず、お前たちに聞きたいことがある。答えてくれるか?」
「え、ああ。それはいいけど……」
「私たち、本当に無事で済むのかしら? なんだか不安になってきちゃった」
シンカとフレアがそんなことを言う。
「ふむ……心配しなくても大丈夫だ。さっきも言ったが、悪いようにはしない」
この2人は有望な配下候補兼、伴侶候補だ。
殺すなどもってのほかである。
「余からお前たちに問おう。体に異変は感じないか?」
「体……? 別になんともないけど……」
「私もよ」
「そうか。ならよかった」
余は安堵する。
どうやら、イリスの魔眼の効果はちゃんと効いているようだ。
彼女たちの体には明確に異変が生じているのだが、それを自覚できていないとはな。
「それで、僕らは何をすればいいんだい?」
シンカが尋ねてくる。
「ふむ。実は、余は今、恋人を探しておるのだ」
「「こ、恋人!?」」
シンカとフレアが驚く。
「うむ。そこで、2人が相手としてどうかと思ってな」
「ど、どういうこと? それってつまり……」
「うむ……余の恋人になれと言っている」
「「……!!」」
余の言葉に、シンカとフレアが硬直する。
2人とも顔を真っ赤にして、視線を泳がせている。
「さあ、返事を聞かせてもらおう」
「うっ……」
シンカは目を伏せながら言う。
「ぼ、僕なんかじゃダメだよ……」
「ほう。どうしてだ?」
「だって、僕は男っぽいだから。ディノス君の彼女になる資格なんてないよ……」
「確かにお前は男っぽいな。初めて見たときからしばらくの間は、余もお前のことを男だと勘違いしていた」
シンカの髪型はショートカットで、男子用の制服を着ている。
胸も小さめの上、口調は男のものだ。
「やっぱり、そうだよね。なら……」
「だが、今は違うぞ」
「え?」
余は言う。
「今のお前は可愛い」
「かわっ……! あぅ……」
シンカがさらに赤くなってうつむく。
この様子なら、彼女は落とせそうだな。
しかし一方で、その様子を面白くなさそうな目で見る少女がいる。
「ふうん。ディノスはアクアマリンと付き合う気なのね。私のことはどうでもいいんだ?」
「もちろん、お前のことも十分に魅力的だと思っている」
「……ふ、ふん。当然だわ!」
フレアが嬉しそうに言う。
「でも……」
「ん?」
「私の方がアクアマリンよりもっと美しいわ。そこは譲れないわね」
「うむ? まあ、女らしい美しさではお前の方が上か」
余はフレアの体を上から下まで眺めてみる。
その体はほっそりとしているものの出るところはしっかり出ている。
余の言葉を受けて、フレアは勝ち誇った顔をシンカに向ける。
「ふふーん。ほらご覧なさい。あなたの負けですわ」
「ぐぬぬ……」
シンカが悔しげに歯噛みした。
「で、でも! ディノス君は僕のことを可愛いって言ってくれた! そうだよね!? ディノス君!」
シンカが必死の形相で言う。
「うむ。そうだな。お前は可愛くて魅力的だ。余の嫁にふさわしいと言えよう」
「……! う、嬉しい!! そんなこと言われたの初めて……」
シンカは両手をグッと握ってガッツポーズを取る。
「で、でも、いきなり嫁だとか結婚だとか、早すぎないかしら?」
「それもそうだよね……。僕たち、学園に入学したばかりだし……」
フレアとシンカが困り顔で言ってくる。
「お前たちは恋人もいないと言っていたな? なら、ちょうどいいではないか」
「そ、それは、まあ……」
「う、うん……」
シンカとフレアはまだ少し困惑気味だ。
「なに、難しく考える必要はない。余の子を孕み、産んでくれればよいのだ」
「「……は、はい!?」」
シンカとフレアが素っ頓狂な声を上げる。
「え、ちょっと待って! それってつまり……」
「私たちがディノスのお嫁さんになって、赤ちゃんを産むってこと……?」
「最初からそう言っておる。結婚すれば、子を産むのは自然なことだ」
まあ、世の中にはいろいろな愛の形がある。
子を産むのが絶対的な価値観だと言うつもりはない。
しかし、余は魔王。
跡継ぎをつくり、今後の世の中を平穏に保つ責務がある。
「そ、そんな……。いくらなんでも、急過ぎるよ……」
「そうね。赤ちゃんを産むなんて……。まだ男の人とそういうことをしたこともないのに……」
シンカとフレアがそう言う。
「ふむ。やはり経験がないのか」
彼女たちの反応から察する。
2人とも、誰かと肌を重ねたことはないようだ。
これは都合がいい。
「なに、心配するな。余が手取り足取り教えてやる」
「「え……!?」」
余の言葉に、2人はまた赤くなる。
意外に純情なことだ。
これはこれで魅力の一つではあるが……。
話を先に進めていかないとな。