3月卒業式
「葛葉先輩!ずっと好きでした。ネクタイ譲ってくれませんか?」
🎲「…ー〜ー」
ローレンは葛葉の卒業祝いで用意した花束を片手に衝撃的な場面を見てしまった。
🗝「……」
🗝「…イブもふわっちもファンの女の子に追いかけられてて捕まらないし、くっさんもか…」
🗝「今になってびっくりすることでもないけどな…」
学ランではないうちの学校は第二ボタンではなく心臓に近いネクタイを好きな人に渡す、貰う、という流行りがあった。
ローレンはつまらなそうな顔をしながらお花の花びらを数える。
🗝「今日、くっさんと話せる、くっさんと話せない、くっさんと話せる、くっさんと話せない……」
ドンッ!!
🗝「わあ?!」
「絶対あっちだよ!」
「グルラで情報入ってた!」
走っている女生徒はローレンにぶつかり、見向きもせず走りさっていく。
尻もちを着いたローレンは急いで起き上がろうとするが、パッと目の前に手を差し出される。
「はい」
ピンク色のふわふわとした髪が初めに目に入り、女性的な印象を残しながらも、背も高く声も重低音な響きをしていた。
🗝「?…あ、ありがとうございます」
ローレンは手を取り、花束を抱える。
「俺のファンがごめんね」
胸にお花を咲かせた男子生徒は女生徒が向かった真反対の方向へと歩き出していった。
🗝「俺のファン。か、とんだナルシストだ…」
ボケッとしているといきなりスマホが震える。
ヴヴー
🎲「今どこ?会って話したいことが」
🗝「くっさん〜!!」
ローレンは窓から飛び出る勢いで裏庭にいる葛葉に手を振る。
🎲「すぐ行くから待ってて」
電話越しの葛葉の声を聞きローレンは頬が緩んでしまう。
🎲「ローレン!」
声を聞いた瞬間ローレンはサッと花束を背中側に隠す。
🗝「くっさん卒業おめでとう!」
ニカッと歯を見せてローレンは微笑み、花束を葛葉の目の前に出す。
🎲「ありがと」
葛葉は大事そうにその花束を受け取る。葛葉のブレザーには卒業生が付けるお花が胸ポケットに咲いており、その隣にネクタイの姿は無かった。
🗝「くっさん、泣きそうな顔してる」
ローレンは葛葉の袖を掴み頬を触る。
葛葉はそのままローレンの手に自身の掌を重ね葛葉のまつ毛は明かりに照らされキラキラと光っていた。
その姿に見惚れているとローレンは唇に心地よい体温が重なる。
おでことおでこをくっ付かせこの時間を惜しむように2人は見つめ合う。
🎲「ローレンも泣きそうな顔してる」
🗝「…そう?」
葛葉はポケットに手を入れ何かを取り出す。
🎲「俺一人暮らしになるから合鍵ローレンに渡す。」
🎲「あと、これもあげる」
葛葉はローレンの首に腕を回しネクタイを外す。自分のネクタイをポケットから取り出しローレンのワイシャツに引っ掛け結んでいく。
ローレンは「kuzuha」という名前が刺繍がされているネクタイを確認するようにその印を見つめる。
🎲「…ちょっと恥ずかしいかもだけど今日だけで良いから外さないで」
🗝「ん」
ローレンはこくんと頷く。
🗝「…じゃあくっさんは」
🗝「俺のね」
ネクタイを結んでくれたようにローレンも葛葉にネクタイを結ぼうとする。
🎲「うん」
🗝「…ネクタイ結びずらいからちょっと…屈んで欲しいかも」
🎲「あぁ、はい!」
葛葉が少し屈んだ瞬間、ローレンはネクタイから手を離す。
葛葉の頭を優しく掴みローレンはおでこにキスをする。
🎲「…?!///」
おでこ、瞼、頬、耳、ローレンの柔らかい唇が触れる。
🗝「くっさんがモテなくなりますように」
🎲「笑///」
🎲「ローレン、まだここが残ってんだけど」
そう言い葛葉はローレンの身体を抱きしめながら自身の唇に指を指す。
🗝「目瞑ったらしてあげる…///」
葛葉は大人しく目を瞑り期待を膨らませる。ローレンの優しい掌が頬を伝い指先で唇をなぞられる。ローレンは少し背伸びをし葛葉の唇に愛してるを重ねていくのであった。
コメント
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kzhさんlrさんの為にネクタイも断って、合鍵まで作ってきちゃうところほんとに愛ですねぇ…、ネクタイ巻いてあげるスパダリ感最高です…🫶🏻︎ lrさんどこでそんなことを覚えてきたんだ…、可愛すぎます…