テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
こつ 、こつ 、こつ ____。
履き慣れた靴の足音。
静寂で包まれた病院の廊下を、
長身でくせっ毛の男が歩く。
「505」病室の表札にはそう書かれている。
2回のノックを済ませ、病室へと入る。
乱雑に並べられた雑誌に、白い花束。
『 … ぇ 、? 』
その白くて、
淡くて、
惹き込まれる髪と肌。
白過ぎてベットに重なったような気がして、
長身の男は驚いていた。
「 やぁやぁ、敦裙 。気分はどうだい ? 」
少し高い、柔らかい声で男は問い掛ける。
「 … 、 御免なさい 誰ですか ? 」
” 敦裙 “ は、全てを見透かすような
美しい瞳の白い少年。
男は哀しそうに苦笑いをしながら、
病室の木製の椅子に腰掛けた。
「っ、すいません…
きっと御知り合いでしたよね。」
「いいや。気にしないで、
ただの通りすがりの見舞い客だよ。」
男からは親しい者と思う様な声がして、
少年からは全く知らない赤の他人と思う声がする。
2人とも、嘘偽りない接し方なのに、
どうしてこんなに違うのだろうか。
その頃、病室の外では看護師たちが雑談を
していた。
「ねぇ…そうよねぇ。」「本当に可哀想、」
「真逆、」
『 記憶喪失だなんて… 』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Next . ♡ 200