🌷神獣ミルキー 神獣は、神殿の至るところにある光の部屋のひとつに住んでいる。違うのは、神獣が暮らしやすいように、ふかふかの毛布、トイレが置いてあり、おもちゃ箱には神獣のためのおもちゃらしきものが入っている。その隣の箱には、神獣用のフードやおやつなどが入れられている。神獣は、白い毛で、大きくフサフサな耳を持ち、カールしたしっぽ、毛布の上にまるまって眠っていた。
「この子の名前はミルキー、性別はメスです、とても警戒心が強く人に慣れるのに時間がかかる子です、言葉でわかり合えないですものね、でもミルキーも大切な神殿の一員であり、この子の光の力は、光の石を生みだすこと、神殿になくてはならない力です」ミリアが説明していると、ミルキーは目を覚ました。ミルキーの瞳は、光の石に似たオレンジ色だった。「ミルキー、これからあなたのお世話をしてくれるティアさんですよ」ミルキーはミリアにすり寄った。「愛情深く接していると、そのお返しに光の石をいくつか生成してくれます、神殿のみんなでお世話をしているのですが、ティアさんには午前中ミルキーの朝食、トイレの世話、おもちゃで遊んであげるなどお願いします」ティアの仕事はやはり午前中だけでいいらしい。「ミルキーは愛情深く接していれば必ず応えてくれますから、責任を持ってお世話して下さい、それではミルキーに挨拶をお願いします」ミリアに促され、ティアはミルキーに近づいた。ティアはひざまずいて、意識を集中させた。「ティアです、これからあなたのお世話をすることになります、よろしくお願いします」ティアはミルキーの精神に働きかけながら話しかけた。(驚いた、わたしと話せるの?それなら少しはやりやすいかも知れないけれど、だからと言ってあなたを簡単に信用しないわ、人間は動物を捨てたり、裏切ったりすることがあるもの)ミルキーは言った。ティアは、ミルキーの信頼を得るのが簡単ではないことを知ったのだった。「挨拶は済みました」ティアは立ち上がり言った。「人間を信用していないんですね、人間は動物を捨てたり、裏切ったりすることがあると言っています」ティアはミルキーの心の声を伝えた。「ええ、光の石は光の力をエネルギーに変えることができます、それがわたし達の生活を便利にしていますが、光の力に目覚めた人間が光の石を作り出すのは大変手間と時間がかかります、だからこういう能力を持つ神獣の力も借りるのです、ミルキーは、光の石のためにずっと人間に利用されてきた過去があります、人間がミルキーに優しくするのは光の石のためだったのです、それでもミルキーが生きていくためにはそのような優しさにすがるしかありませんでしたが、ミルキーは光の石研究所がミルキーの警戒心の強さに困り果てていたのを、視察に来た神殿関係者が引き取ったのです」ミルキーには悲しい過去があった。「ミリアさんにはなついているんですね」ミリアはティアを解雇しなかったので、本当に優しい女性なのかも知れないとティアは思った。「つきあいが長いですからね、神獣の寿命は他の動物に比べて長いです、神殿に来てもう5年になりますがこの子はまだ若いです」ミリアはミルキーをなでながら答えた。
「それではミルキーの食事作りから始めましょうか?」いよいよティアの新しい仕事が始まった。
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