話し方が戻った及川に起きた事を聞いた
無論俺も同意見
教師2人してバカしかいねぇみてぇだな
とりあえずもう帰った方がいいだろう
先刻花巻から急遽点検で部活は休み
都合良すぎだろ
帰り道朝の光は見えなくなったが
雨は止んでいた
及川の首にはマフラーを巻いた
1度家に帰った時に寒いからと
母ちゃんが持たせてくれた
マジでありがてぇ
何時もは及川がずっと
話しているところだが今日はほぼ
俺が話し続けている
いつから本当はこうなっていたのか
何がここまで及川を追い詰めたのか
ずっと気になってはいた
聞けるタイミングがどうしても
分からなかった
ただどうして隠したのかという愚問だけは
さすがに分かった
挙げるならば及川の性格、プライドだろう
何でも隠したがる
自分の弱いところは見せず
周りに強く美しい部分だけを「及川徹」
だと認識させるのが上手い
それ故に誰も気が付かない
その上自分の真黒の箱に閉じ込めすぎて
いっぱいいっぱいになってでも
自分で自分を追い詰めてゆく
そういう性質なのだ「及川」という男は
及川を俺の家にあげ、並んで座る
母ちゃんはまだ帰っていないようだった
ごちゃごちゃ考えんのは苦手だ
自分で仮定を立てた所で正解が
分からないならそれも意味がねぇ
だから直球できく
いつからか、どうしてか
岩ちゃんは待っていてくれたんだろう
俺が話しやすそうなタイミングを。
分かってるよ、分かってる。
でもね口に出すのがこんなにも恐ろしい
自分以外とかバレーとかそういうのは
いくらでも話せる
それでも心の中の事を話すのだけは
どう考え方を変えてもどうやっても
こわいのは変わらなかった
何度も口をぱくぱく開閉してから
ゆっくり話し始める。
まずは質問に答えよう
違和感を覚えたのは丁度1年ほど前の事
そこから少しずつ悪化していって
呼吸がしずらくなっていった
音に敏感になって生活しにくくなった事
少し前からもう自殺を考えていた事
そして今日周りの視線が纏わりついて
息もままならなくなった事
そしてどうしてかは…
瞳を少し揺れさせて表情が強ばった及川
あまりにも直球すぎたか?
だが遠回しな言い方は得意では無いし
はぐらかされると困る
何回も口を開けたり閉めたりしている
でも及川は迷っているのでは無い
話そうとしてくれている
ならば何時間でも持つ
及川の声が出るようになるまでいくらでも
横に置かれた及川の手が
悟られないようにでも小さく揺れていた
そっと手を重ねて及川を待った
及川の口から声が出るのにどれ程の時間
が経ったのだろう
でもそんな事全くに気にならなかった
及川から聞いた期間は1年ほどと長く
症状は話しているだけでもう辛そうだった
話し終えてから及川は俺に謝った
なんでだ?
原因が分からないことか?
それともこんなんに付き合わせてとでも
思ってやがんのかコイツは。
及川が謝るのに有り得ない内容じゃない
もしそうだったとしたらふざけてやがる
俺は自分で好んで及川の近くにいる
それに対して謝られるなんて俺に対する
侮辱も入んぞ と伝えると
嬉しさ半分何とも言えないという
気持ち半分 という表情だった
とりあえず少しは理解したようなので
まずは良しとする
コメント
12件
岩ちゃんかっこよ過ぎぃぃぃぃぃぃぃ
今回も最高…✨ いや、私も廊下なんかでそんな話したくない…、及川さんと岩ちゃんと同じ意見だわ…、、 本当に教師なのかn(((殴