「バデーニさん…なにして、っむ」
最後まで言わせる前に口を塞いだ。
彼の人一倍暖かい体温が伝わる。
唇を何度か重ねては離し、舌を絡め始め、次第に互いの唾液が混ざってくる。
段々と彼の瞳が、普段とは違う″それ″になっていくのが分かった。
腰に手を回され、背筋に電流が走るような快感が私を襲った。
下半身があつい。脳は焼けそうで、舌は蕩けてしまいそうだ。
既に何も考えられない程、私は崩れていた。
考えられない…あ、息。
「っぷぁっ……はぁっ、はっ、げほっ、げほ…はぁ… 」
「だっ、大丈夫ですか…」
「あぁ、別に…。」
「…」
彼が何が言いたそうなので、聞いてやることにした。
「め、目覚めの…キスってやつですか…?にしてはその…激しいです…」
「は?嫌か?」
「いえ嫌では無くて…」
「そうか。」
「「………」」
謎の沈黙。先に口を開いたのはオクジー君だった。
「その…しないんですか、続き。」
「あ?まだ朝だぞ。何言ってるんだ。」
「でも先にしてきたのはバデーニさんであって…」
「あぁもう…」
仰向けにまっすぐ寝転がり、オクジーくんの方を見る。
「…?」
「乗れ。」
「…え、なんですか。」
「上に。乗れ。」
分かりにくいですと呟きつつ、オクジー君は指示通りに覆いかぶさり、私の顔の横に手をつく。
彼の男らしい胸元が僅かに見え、自分との体格差と、これからされる事を考え息を飲む。
「あっ、服のボタン開けます…」
「フン…」
わざわざ言わなくても脱がせるようになったか。
トップスを脱がされ、上半身が露出する。
途端に、肩を掴まれる。素肌なので、少しピクっとしてしまった。
「…綺麗です。」
「何回目だ。するなら早くしろ。」
何回言われようと慣れんものだ。
再び唇が触れ合い、胸を弄られ、体を這う大きな手が、やがて腰より下に移動する。
「あ゙っ…!」
思いもよらぬ声が漏れ、咄嗟に手で口を塞ぐ。が、それを解かれ、額に優しく口付けされる。
…もう一度生まれた意味なんて、私には分かりません、神様。どんな主命を背負ってるかはもっと分からない。
ですが一つだけ理解出来る事があります。
この人と過ごす時間を尊いと感じ、それに浸るのが幸せだと思うのは。
それは、愛なのでしょう。
コメント
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おまけ C教の教えの主たるものは「神を愛せ」。 また、隣人を愛すことは神を愛す事と同義だというものがあります。