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公園のベンチで一人、雪恵はぼんやりと地面を見つめる。頭の中は今朝の出来事のことでいっぱいだ。


飯田のアドバイスを受け、まずは菜々子の言葉を聞こうと思った。でもどうやって切り出していいか分からなかったから、先ずは話がしたいと自分なりに伝えたつもりだったが、結果は話すことも出来ずに終わってしまった。


自分のことを無視する冷たい菜々子の表情が頭から離れず、目を閉じると瞼の裏に現れ睨まれる。


強く瞼を閉じれば消えるかもしれない、そんな願いを込めぎゅっと目を瞑る。


だが菜々子が消えることはなく、冷たい視線から逃げるように瞼を開くと茶色い地面が目に入る。最近下を見てばかりだとそんな自分が嫌になってしまう。


「女の子が一人、公園のベンチでぼんやりと過ごすのは感心しないなぁ」


突然声を掛けられ、大きなため息をつこうとした吸った息を思わず飲みこんでしまう。雪恵が視線を地面から上に向けると、目の前にはこやかに微笑む女性が立っていた。


──すごく綺麗な人……


そう第一印象を持った雪恵はぼんやりと目の前の女性を見つめてしまう。


──年齢は自分より上だろうか? そもそもなぜ自分に声を掛けてきたのだろうか?


「ぼんやりとしてると変な人に絡まれるよ。私みたいなのに、ねっ?」


考えている途中で、反応に困る内容の会話を振られ雪恵は困惑する。困惑する姿を見て女性はくすくすと笑うので、雪恵はなんだか恥ずかしくなり、顔を赤くしてうつむいてしまう。


「可愛い反応するね。隣いいかな?」


日頃「可愛い」と言われたことのない雪恵は、更に顔を赤くして下を向きながらも何度も頷いて、女性が座ることを了承する。


「ふふっつ、その顔はスキンシップとか慣れてない感じ。真面目さんかな?」


頬を突然突っつかれて生きてきて中で一番目を丸くした雪恵は女性を見つめる。その表情が面白かったのか女性は口元を押えてくすくす笑う。


「ごめんね、あんまり可愛い反応するからつい突っついちゃった。あぁそうだ私は花蓮麻琴かれんまこっていうの。あなたのお名前は?」


「お、大多和雪恵おおたわゆきえ……です」


「可愛い名前っ。じゃあ雪恵ちゃんあなたのお悩みはなにかな?」


突然核心をついた質問をされ更に目を丸くする雪恵を見て麻琴は妖艶な笑みを浮かべる。


「雪恵ちゃんさ、顔だけじゃなくて『悩んでます』って体全身で表してるんだもの。誰にでも分かっちゃうよ」


麻琴は雪恵の頬に触れ顔を覗き込む。麻琴の瞳を見つめて体が痺れたように動かなくなるのは、目の前の相手にどこか恐怖を覚えているからだろうか。雪恵は麻琴の瞳に映る強張った表情の自分を一心に見つめる。


「そんな隙だらけだと悪い人に付け込まれるよ。私みたいなのにねっ」


そう言いながら笑う麻琴に雪恵は下唇を噛むが、そのとき自分の唇が震えていることに気が付く。

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