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#ブラフラ
なみゃ
18
skbn
11
て ぃ あ ら 。
2,014
8
「はぁ…今日はやたらと人が多い」
山のように積み上がったカルテ、病院特有の消毒の香りがマスクを付けていても鼻腔をつつく。ラフな見た目の精神科の診察室。患者にストレスを与えないためにできたこのラフな診察室に俺一人…次の患者を待つ間のちょっとした休憩時間。
―まぁ、力は抜けないけどな。
重い体を椅子の背もたれから剥がすと、眼の前の患者用のソファーには先程までは居なかったはずの幼い少女がいた。あまりにも急だったのでつい固まってしまった。
「えっと…君は?」
少女は淡い水色のワンピースを身に纏って、綺麗にポニーテールをしていた。
「私、白藤先生に話があって」
白藤朔(しらふじさく)。俺が首から下げる病院の関係者カードを見たのだろうか。
彼女の声はとても静かで、責めるわけでもなく、甘えるわけでもないただそこにあるだけの音だった。
「…予約してきましたか?」
自分でも驚くほどよそよそしい声が出た。山積みのカルテを一つ取り、目を通したが何も書かれてなかった。白紙だったのだ。
「してません。」
少女はあっさりと言った。
「でも先生はいつも会ってくれるから」
その言葉にほんの少しだけ胸がざわついた。
―“いつも”?そんなはずは…。
「…名前は?」
「澪。」
光のない目だった。この精神科ではよくある見る目だった。ガラスのような、ただ映すだけの目。痛々しいその目が私を見つめていた。
「先生、私もうすぐ消えるんです。」
書き留めていたペンが止まった。自殺願望か…。
「…なにか思い悩むことでも?」
医師らしく言葉も選んでいったつもりだった。それでも少女はゆるく首を横に振る。
「消されるんです。」
空気が少しだけ冷えた気がした。どこかで紙をめくる音がして我に返り、視線を落とすと白紙の裏から一枚のカルテが見つかった。
―患者名:澪(みお)
その下には見慣れない字体でこう書かれていた。
―この患者は、記録してはいけない。
その瞬間、確かになにかを思い出しかけて―思い出せなかった。
「君は一体…っ!」
顔を上げると、そこにもう彼女は居なかった。風のように、通り過ぎてしまえば何もなかったのと同じで、過ぎ去っては消えてしまった。とどまるのはほんの一瞬。
「先生、次の患者さんをお呼びしますよ…って、顔色悪いですよ。大丈夫ですか?」
「あっ…ええ……。」
「一人で話していて…本当に大丈夫ですか?無理はしないで、後で休んでください。」
それだけを言って看護師は出ていった。
―は…?今、“一人で”だと…?疲れているのだろうか……。
とりあえず俺は昼の休憩時間まで診察を続けた。
コメント
1件
第2話、一気に不気味な空気に変わりましたね。精神科医という日常的な舞台に、突然現れた澪という少女。彼女の「消される」という言葉と、カルテの「記録してはいけない」の一文が絶妙に怖いです。そして看護師さんの「一人で喋ってた」発言で、本当は存在しないのか…とぞわりとしました。伏線の張り方が上手くて、続きがすごく気になります。