テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ブラフラ
なみゃ
20
skbn
11
て ぃ あ ら 。
2,081
8
休憩時間になり、医局の自分のデスクでカルテを見ているとあの少女のカルテと同じ字体が目に止まった。
「何だこれ…。」
少女とは違う俺の担当患者のカルテにその字体で患者さんの情報などが俺の見ないところまで深く書かれていた。仕事の中での上下関係やクラス内の様子、日常生活のある程度のルーティーンなどが各患者ごとに書かれていた。
俺はこんな書き方をしない。他の医者に誰が書いたか訪ねてみてもお前が書いたと、他の人間が書いているところなんて見ていないと口を揃えて言った。
「一体誰が…。」
謎の少女の件に続いて俺が書いていない担当患者のカルテ…。立て続けに摩訶不思議なことがあったせいか、もはや本当に頭痛がしてきた。
―本当に疲れているようだ…。そんなに疲労をためた覚えはないのだが…。
俺は午後の回診を隣のデスクの神崎(かんざき)先生に頼んで仮眠室に向かった。
―早く治して回診に行かなくては…。
精神科の回診では、なるべく担当医が回診に行かなくてはならなかった。ころころと医者が変わっていれば患者によりストレスを与えてしまうおそれがあるからだ。
俺は倒れるようにして仮眠室の硬い二段ベッドの下に横になって眠った。
―やっとか。
私はベッドから体を起こしてハンガーに掛けたばかりの白衣に腕を通す。
「はぁ…まったく。」
私は肩まで伸ばしてしまった髪の毛を乱暴に掻き回した。腕を触っても当たり前だが髪ゴムはなかった。私は髪ゴム仮眠室を出て医局の自分の机の引き出しを開けた。
―また引き出しの中身が変わってる。
私は苛立ちながらも引き出しの中身を整頓し、やっとのおもいで髪ゴムを見つけた。
手慣れた手つきで髪をまとめて、黒縁の眼鏡をかけ、デスクに視線を戻す。
デスクに視点を戻すと、また“俺は”余計なことをしていたようだ。澪のカルテが広がっているのがその証拠だ。私は下の引き出しにそれを入れ、関係者カードも自分のものにすり替え、白藤“作”(しらふじさく)の名前が首から下る。
「あれ?白藤先生休憩していたんじゃ…。」
回診に向かおうとしていた神崎がちょうどカルテを手にして立ち上がったところだった。私のことを不思議そうに見つめて観察していた。
「やっぱり回診は私が行こうと思いまして。」
「そうなんですね…無理はしないでくださいね。」
そう言い残して私は彼女に会釈をしてから医局を出た。それを追うように彼女も続けて医局から出て、自分の担当患者の待つ病室棟に向かった。
コメント
1件
ああ、面白かったですね……! 主人公がふと気づいたら自分の知らないカルテが広がっていて、しかも字体が違うっていう不気味な伏線、すごく引き込まれました。それに「自分」じゃない誰かが体を動かしている感覚――髪ゴムを探したり、黒縁眼鏡をかけたりする描写が細かくて、その違和感がじわじわ伝わってきました。疲れて倒れたはずなのに、起きたらもう一人の人格が動いてる感じ、ゾクゾクしますね。続きがすごく気になります!