後背位で責め立てながら、大森は目の前にある藤澤の背中に口付けを落とす。
弓なりにしなった白い背はところどころ紅を差したように赤く色づいていた。
仰け反る度に藤澤の髪はさらさらと揺れ、汗が滲んだ背中に張り付く。その様をまじまじと見つめながら大森は更に藤澤の奥深くまで侵入していった。
「涼ちゃん、もっと乱れてみせて」
大森は熱に浮かされたようにそう言いながら、藤澤の喉元に指を這わせる。そして鎖骨をゆっくりと撫で下ろしたかと思うと、胸の突起を摘んで強く捻り上げた。
「アッ…やだ、、元貴…ダメ…」
「ダメじゃないでしょ。もっとしてほしいくせに。やめていいの?」
指の腹で捏ね回しながら藤澤の反応を伺う大森は愉しそうにも見えた。
「…やめ、ないで…」
涙を浮かべながら藤澤は大森に懇願する。
「いい子だね、ご褒美をあげなきゃ」
片手で胸を弄りながら大森はもう片方の手指を藤澤の口元に差し出すと、半開きになった藤澤のゆ口内へと挿し入れた。
舌を弄ぶような大森の指の動きに藤澤はただただ翻弄されていた。
毎晩のように求めてくる大森は、疲れを知らない。藤澤が乱れればそのほどに、大森は満足そうな顔をしてその身体を掻き抱く。
求められる度に、藤澤の身体は大森の好い様に変貌して行く。
「好きだよ、涼ちゃん」
「俺だって、元貴が好き」
幾度交わしたかもうわからない睦言を交わしながらお互いを求め合う。
大森は一旦自身をゆっくりと引き抜くと、藤澤の身体を横たえた。
横臥させた藤澤の片足の付け根に腕を入れて高く掲げると、肩に担ぎ上げる。
そしてそのまま再度腰を打ちつけた。
「あっ、ん…あっあっあっ…」
小刻みに震えながら藤澤は腰をくねらせる。
「当たってるね、ここ」
藤澤の脇腹を撫で上げながら、大森はそう呟いて先端で藤澤の一番感じやすい箇所を刺激した。
その度に藤澤は踊るように身体をくねらせた。
大森が己の欲望を吐き出すまでの間、藤澤は何度も快楽の波に攫われていた。
抱いても抱いても、抱き潰しても足りない。
大森は、どうしようもないくらい焦燥感に駆られていた。
藤澤の背中を愛おしそうに撫でる大森は時折辛そうな表情を浮かべていた。
幸せなはずなのに。
お互いに想い合うようになり、身体を合わせた。
幾度も身体を重ねるうちに想いは募るばかりとなり、まるで喉の乾きを潤すように、大森は藤澤を求めたし、藤澤も大森を欲した。
「俺、思うんだよね。涼ちゃんは本当は地上に舞い降りた天使なんじゃないかって」
事を終えた後、ベッドで微睡みながら大森はそう言った。
うつ伏せのままで大森を見上げる藤澤の背中を撫でながら、大森は愛おしそうな笑みを浮かべている。
「俺が? まさか」
「涼ちゃんを抱いてるといつも、この辺に翼が見えるような気がして。どっかに飛んでいっちゃうんじゃないかって」
そういう大森は穏やかな目をしていた。
「飛んでなんかいかないよ。俺は元貴のそばにいるよ」
だから、もっと抱きしめて。
藤澤が伸ばした手を取り、大森はその甲に口付ける。そしてそのまま、自分の胸に引き寄せた。
「もし、飛んで行くなら俺は」
羽根を捥いで飛んでいけなくしてあげるから。
心の中でそう呟きながら、大森は藤澤を抱きしめた。
その唇に不穏な笑みを湛えたまま。
いつかこの想いが狂気に変わる日が来ないことを祈りながら大森は藤澤を抱いて眠りにつく。
またいつものように、藤澤が寝入った頃を見計らって部屋を出るために。
「本当はね、朝までずっといたいんだよ。でもね。
朝までいると、涼ちゃんを誰にも会わせたくなくなるんだよ」
fin
コメント
10件
すごい…!なんか重くてめっちゃいい!
ibaraさんが描かれるこの危うい感じの❤️くんがたまらなく好きです
ぬ、?もどきは朝出ていって……、?誰にも会えないように?♡♡♡たの?