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5月16日の夜、楽屋にて
「ねえ、明日ってさ……」
佐久間が声を潜めながら、楽屋の隅でメンバーを集めた。視線の先には、イヤホンをして熱心にダンス動画をチェックしている岩本の姿がある。
「シーッ! 佐久間、お前声デカい」
渡辺が慌てて口元に人差し指を立てるが、当の岩本は集中していてこちらに気づく様子はない。
「明日は照の誕生日当日だからね。今年はいつもと違うサプライズ、仕掛けちゃおうよ」
阿部が楽しそうにノートを開く。そこには、事前にみんなでコッソリ話し合っていたタイムスケジュールがびっしりと書き込まれていた。
深澤とラウールが顔を見合わせてニヤリと笑う。
「俺、ケーキ運ぶ係やりたい!」
「じゃあ、俺は照を驚かせるタイミングでクラッカー鳴らすね」
「そのタイミング俺が言いたいです」
ビデオ電話越しで目黒も会議に参加中だ。
「よし、作戦名は『チョコと筋肉と、時々、涙。』な。絶対成功させるぞ!」
深澤の小さな号令とともに、メンバーたちは明日への期待を胸に、そっと楽屋を後にした。
5月17日、誕生日当日
スタジオでの雑誌撮影の日。 岩本が「おはよう」と楽屋に入ると、そこにはなぜか、異様なほど静まり返った空間が広がっていた。
メンバーは8人が揃っている。しかし、誰も「おめでとう」と言わないばかりか、どこか余所余所しい。
宮舘は優雅にコーヒーを飲み、向井はカメラのレンズを黙々と拭いている。
「(……あれ、みんな今日が何の日か忘れてる?)」
さすがの岩本も、少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。しかし、そこは頼れるリーダー。「まあ、みんな忙しいしな」とすぐに気持ちを切り替え、筋トレ用の器具を取り出した。
撮影は順調に進み、いよいよ最後の全員カットが終わったその時——。
「はい、オッケーです! お疲れ様でした!」
スタッフの声を合図に、スタジオの照明がパッと消え、真っ暗になった。
「え、停電?」
岩本が戸惑った瞬間、暗闇の向こうから、優しく温かい光が近づいてくる。
「ハッピ〜バ〜スデ〜ィ、トゥ〜ユ〜♪」
お馴染みのイントロを大声で歌いながら、光の主たちが現れた。 ケーキを持って満面の笑みを浮かべるラウールと、その横で全力で踊りながらクラッカーを構える深澤。
「みんな!せーのっ、!」
「照、お誕生日おめでとうーーー!!!」
パパンッ!と華やかな音が響き、スタジオの電気が再び点いた。 メンバー全員が岩本を囲み、弾けるような笑顔で拍手を送っている。
「なんだよ、みんな……覚えててくれたんじゃん。目黒も、わざわざありがと。」
「せっかくの誕生日だから。」
岩本は驚きで目を丸くした後、すぐにいつものクシャッとした、100点満点のチョコレートスマイルを咲かせた。
「忘れるわけないじゃん! 朝のあの演技、めちゃくちゃ緊張した〜!」
向井が岩本に抱きつきながら訴える。
「はい、照くん。今年のケーキは特別だよ」
ラウールが指さした先にある特大ケーキを見て、岩本は思わず声をあげた。
そこにあったのは、精巧に作られた「チョコレート製のダンベル」がドカンと鎮座し、その周りを色とりどりのプロテインバー(風のマジパン)が彩る、超マッスル仕様の特製チョコケーキだった。
「すげえ……! これ、全部チョコ?」 「そう! 照の好きなものしか乗ってない特注品!」
阿部が胸を張る。
「じゃあ、主役から一言どうぞ!」
深澤に促され、岩本は少し照れくさそうに、でも力強い声でメンバーを見回した。
「みんな、本当にありがとう。朝はちょっとビビったけど(笑)、こうやって毎年、大好きなメンバーに祝ってもらえる俺は、世界一幸せなリーダーです。これからもこの9人で、もっともっと高いところへ行こう。よろしく!」
パチパチパチと、スタジオ中に鳴り響く温かい拍手。
「よし、じゃあケーキ食べよう! 舘さん、切り分けお願い!」
「美しく切り分けよう」
宮舘が華麗にナイフを入れる横で、すでに一口分のチョコを狙っている渡辺。 それをスマホで連写する向井と、すかさずポーズを決める佐久間。 そんな賑やかな光景を、岩本は嬉しそうに、愛おしそうに見つめていた。
最高の仲間たちと迎えた、新しい1年の幕開け。 岩本照の周りには、今年もたくさんの笑顔と、甘いチョコレートの香りが満ち溢れていた。
☃️🖤最推し大好きの箱推し
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