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川からの帰り道は、夕暮れの柔らかな光に包まれていた。木々を抜ける風がまだ冷たく感じる水の感触を肌に思い出させる。
涼架はふと立ち止まり、振り返って僕を見た。
「ねぇ、元貴くん、手、冷たいでしょ?」
彼の声は軽やかでほんの少しだけ悪戯っぽかった。僕は咄嗟に、顔を逸らして答えた。
「いや、大丈夫だよ」心臓はバクバクしていたけど、それを悟られたくなかった。だから、少し強がってしまった。
涼架はそれを聞いて、少し寂しそうに笑った。
「そう、、、?そっか、、、」
その上手く笑えていない顔を見て、僕はますます自分の不器用さを痛感した。
「好き」とか「一緒に居たい」って気持ちを、素直に伝えられたらどんなにいいだろう。
だから今は、ただ一緒にいる時間を大切にしたいと思う。涼架が笑ってくれるなら、それだけでいい。