テラーノベル
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翌朝、目が覚めた瑠姫は、あのペンダントが彼の胸元にあることに気づいた。
タイムスリップした時、純喜の部屋で外したはずのペンダント。
どうしてここにあるのだろうと不思議に思っていると、ペンダントの側面にある小さな突起に気づいた。
「…なんだこれ?」
突起を押すと、ペンダントが二つに分かれ、中から小さな紙切れが出てきた。
瑠姫は、震える手で紙切れを広げた。そこには、見慣れた純喜の字で、文字が書かれていた。
「未来の瑠姫へ」
そう書かれた文字に、瑠姫は息をのんだ。それは、過去の純喜から、未来の瑠姫への手紙だった。
『未来の瑠姫へ
この手紙を読んでいるってことは、お前は無事に未来に帰れたんやな。よかった。俺は、お前との時間が、どんなに短くても、一生の宝物や。お前が俺にしてくれたように、俺も、未来の俺を、お前と出会わせてやりたい。
未来の俺は、きっとお前のことを忘れとる。でも、大丈夫。俺は、お前との思い出を、歌にして残しておくから。もし、未来の俺がお前のことを思い出せなくても、俺たちの歌を聴かせてやってほしい。きっと、未来の俺も、お前のことを思い出すはずやから。
未来で、また瑠姫に会える日を、楽しみにしとるよ。
過去の純喜より』
手紙を読み終えた瑠姫の目から、大粒の涙が溢れ出した。
過去の純喜は、別れの時に、瑠姫のためにこの手紙を書いてくれたのだ。
その時、純喜が目を覚まし、泣いている瑠姫を見て驚いた。
「え、どうしたん、瑠姫!?」
瑠姫は、純喜に手紙を差し出した。純喜は、手紙を読み、自分の字で書かれた文字に、目を丸くした。
「これ…俺が書いたん?」
純喜の言葉に、瑠姫は頷いた。
純喜は、手紙を読み進め、最後に書かれた「未来の俺も、お前のことを思い出すはずだ」という言葉に、胸が締め付けられるほど感動した。
「…瑠姫。俺、過去の俺に、嫉妬してると思ってたけど、違ったみたいだ」
純喜は、瑠姫を優しく抱きしめた。
「俺は、過去の俺じゃなくて、今の俺を、瑠姫に愛してほしい。でも、過去の俺が、瑠姫のこと、すごく愛してたって知れて、よかった」
純喜の言葉に、瑠姫は笑顔を見せた。二人の愛は、時を超えて繋がっていたのだと、二人は再確認した。
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