横になびく風に当たり、ヒラヒラと動いている髪を器用に取り、耳に掛ける動作、
こちらに気が付いたのかフッと笑う仕草、表情。
全てが好きでした。
彼女はよく屋上にいた。
教室には居らず、屋上を家のように思っているのか毎日行くと毎日そこにいた。
その横顔は白い肌が太陽に当たり、輝き白い髪は透明のように美しくて天使のようだった。
制服は少しダボついており、細い足からは少し薄い痣が見えていた。
ある日、俺が居ることに気が付いたのかにこっと微笑みこちらを見た。その表情に俺は心臓が少し早く動いていた。
一目で思った
これが”恋の感情”と言うことに。
彼女は
白い髪を耳に掛け、また遠くを見つめていた。
少し緑かかった目はどこか儚く光っていた。
それから数週間が経った。
屋上に行って彼女を見るのが日課になっていた。制服を見る限り俺と同じ科の人で、学年は知らない。不思議な彼女。しかし、その不思議な彼女に俺は魅了されていた。
口を開いて何度も話かけようとしたが、それ以上に彼女が美しく、儚くて、だから話しかける事なんて忘れていた。
他の友達から噂を聞いた
〈屋上にいる謎の女〉
絶対に彼女だと思った。それ以外の女の人が思い浮かばなかった。
噂は噂。
・その女の人は死んでいる
だとか
・”トイレの花子さん”的な”屋上の花子さん”?
とか
・不登校少女…?家出少女?誰かの隠し子?
馬鹿馬鹿しい噂が回っていた。
見た事があると言えば、皆、不思議な顔をして俺を見ていた。
死んでいた。
そう思った
息も忘れて、風も暑さも感じてなくて、ただ、彼女を見ていたのだから。
チラチラと見ている緑かかった目がキラキラと光っていた。
太陽はまるで彼女の為に作られたスポットライトの様だった。
1度、友達と屋上に行ったことがある。
しかし、
そこには彼女は居なかった
噂されている理由がその時、何となく分かった気がした。
_______
寒い日だった。
屋上には息をするように歩いて行き、また彼女を見る。
驚いた
何故なら
夏服だったから
「寒くないんですか?」
返答無し
冷たく、静かな風が肌に当たり、その部分が冷たくなったように感じた。
「、、君、私が見えるの?」
初めて聞いた声だった。
透明で、彼女の雰囲気にピッタリな声だった。
「?まぁ…はい、見えますけども」
「そっか、面白いね」
面白い
意味が少し分からなかった。
曇っていた空が少しづつ晴れてきて太陽が見え隠れしていた。その度に彼女を輝かせていた
「私、数年前にここで死んでるんだよね。」
「は?」
「可笑しな話でしょ、」
少し気まずそうに眉を下げてこちらを見ていた
「いや…別に」
「でもありがとう、君のお陰で未練が無くなったから」
「?」
「初めてだよ、こんな感情。」
これが”友達”なんだね
そう言って彼女は消えた
横になびく風に当たり、ヒラヒラと動いている髪を器用に取り、耳に掛ける動作、
こちらに気が付いたのかフッと笑う仕草、表情。
全てが好きでした。
『屋上にいる君。』END
コメント
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駄文and没作品です。変な文章ですがお許し下さい…