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#近未来
鳳蓮荘
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『モニタリング:ドアの向こうのSOS』
【第1章:ねえ、あたし知ってるよ(覗き穴の秘密)】
「……おい、瑠偉。入るぞ」
放課後、数日間も学校を無断欠席している氷狼瑠偉の自宅マンション。如縣遼太がぶっきらぼうにインターホンを押したが、返事はない。
「おーい瑠偉! 隠れてないで出てこいよ!」
大神蹴介と如月秀がドアを叩くが、静まり返ったままだ。しかし、千導渉はドアスコープ(覗き穴)の奥の光が、かすかに遮られたのを見逃さなかった。瑠偉は、ドアのすぐ向こうで息を潜めて、僕らを「モニタリング(監視)」している。
「そこにいるんだろ」
渉が冷淡な声で告げる。いつもはお調子者で、クラスを笑わせている瑠偉。だが今の彼は、部屋の暗闇の中で、一人きりで涙を流し、限界まで凹んで弱音を抱え込んでいた。
【第2章:弱音ヒトカラの夜(隠された涙)】
「帰ってよ……。俺、もうみんなの前に出られるような顔じゃないんだ」
ドア越しに、かすかに震える瑠偉の声が聞こえた。
実は瑠偉、前回の部活の大きな大会で、自分の手痛いミスでチームを負けさせてしまっていた。周囲からは「気にするな」と言われたが、お調子者という仮面を被り続けていた彼にとって、その一言すら自分の無能さを監視されているようで耐えられなかったのだ。
夜が明けるまで一人きり、部屋の隅で「もう嫌だ」と泣き腫らす日々。
「ふざけんな。お前が一人でグスン、グスン凹んでるのなんて、全部お見通しなんだよ」
遼太がぶっきらぼうに言い放つ。
「お前が隠そうとしても、僕らには全部聞こえてる。無駄な隠し事はやめろ」
渉の言葉に、ドアの向こうで瑠偉が息を呑む音がした。
【第3章:愛の才能で泣いてくれ(限界の覚醒)】
「何だよそれ……! 知ったようなこと言うなよ! 俺の痛みの何がわかるんだよ!」
瑠偉がドアの向こうで、狂ったように叫び散らした(感情の完全覚醒)。
いつもおちゃらけている彼の、初めて見せる剥き出しの絶望と叫び。
「――わかるわけねぇだろ、バカ」
遮ったのは、クール系男子の神代悠馬だった。悠馬は真顔のまま、どこからか取り出したピッキング工具(針金)を鍵穴に差し込んでいた。
「……だから、直接中に入って、その痛みを分けてもらいに来た」
「こら悠馬、不法侵入になるからやめろ!」と秀が突っ込むが、蹴介が「いや、今はこじ開けるぞ!」と肩を貸す。
「もう我慢しないで、全部吐き出せ!!」
蹴介の熱い怒号とともに、遼太が力任せにドアを押し開けた。
【第4章:朝が来るまで一緒コース(救済のサビ)】
飛び込んだ先、暗い部屋の床で、瑠偉は涙を流しながらへたり込んでいた。
「お前、本当にめんどくせぇ奴だな」
遼太がぶっきらぼうに歩み寄り、瑠偉の頭をクシャクシャに撫で回した。
「頼り散らしてシックラブ、なんて最高じゃん。弱音くらい、何度だって受け止めてやるよ」
秀が優しく笑い、蹴介が「よし! 朝が来るまで一緒コースだ! 今日は全員で瑠偉の部屋でお泊まり会な!」といつもの大笑いで部屋の暗雲を吹き飛ばした。
覗き見される恐怖じゃない。この6人の「モニタリング」は、どんなに隠そうとした弱音も見つけ出して、強引に救い取ってしまう、お節介で温かい執着だった。
「……みんな、本当に最低で、最高だよ」
瑠偉は涙を拭い、久しぶりに本当の笑顔を取り戻した。
「部屋が散らかってるな。片付けを手伝ってやる」と呆れる渉。
「これ、悠馬が途中で買ってきたお土産のマカロン」と真顔で差し出す悠馬。
遮るドアはもうない。6人の騒がしい笑い声が、新皇都の夜空へと溶けていくのだった。
(完)
コメント
5件
作家むいてるよ
ボカロで物語はもう才能だ、、
うわあ……読んでて胸がぎゅっとなりました。氷狼くんがドアの向こうで一人泣いてる場面、想像しただけで切なくて。でも、無理に開けさせるんじゃなくて、仲間たちが「声が聞こえてるよ」って伝えるところがすごく優しいなと思いました。最後のマカロンの差し出し方、悠馬くんらしさが出てて笑っちゃいました。こんなふうに無理やり救いに来てくれる仲間、いいですね。お疲れ様でした!